チャプター3「噛み合い始める歯車」
みーちゃんを見つけた大和と多田は、迷子になってしまった丸尾へメールを送り、事務所にむけて歩き始めるのであった。
みーちゃんを抱きかかえ、裕也と多田は繁華街を歩いていると多田がため息交じりに話し始める。
「たく、丸尾のやつ何処にいったんだ…」
「うーん…まぁ、あそこ入り組んでたからなぁ」
「それでも30分探して見つからないことあるか?」
「たしかになぁ」
「メールにも返事ないんだろ?たくあいつは…」
「あはは…」
そうして話に集中していたせいか歩行者にぶつかってしまう。
「あっ!すいません」
「いえいえ、こちら…」
と相手が顔を上げながら話しているところで気づいた。
「え?兎田さん?」
「へ?…あっ!大和か!それと多田も久しぶり」
「久しぶりです兎田さん」
「久しぶりです…ね、偶然ってすごいですね」
「おう、そうだなびっくりだ、ってなんだ?その抱えているのは…猫か?」
「ええ、ちょっと迷子になっていた猫を見つけたので飼い主さんの所へ連れて行く最中なんですよ」
「なるほどな」
そんな話をしていると多田が兎田さんに質問していた。
「それで兎田さんは?」
「俺か?俺は買い物帰りだよ、ほら」
と片手に持っている食材が入ったビニール袋を見せる。
「あれ?でも兎田さんの家結構遠くないですか?」
とふと家が遠いことを思いだし疑問に思い聞いてみたところ
「あー…いや、遠いんだけどな?」
言いづらそうな兎田さんの様子をみて2人は目を合わせて首を傾げ兎田さんに視点を戻す。
兎田さんの家は河内短野市にはなく、なんなら電車を利用しても5駅ほどの距離がある。
「別に言いづらかったら言わなくてもいいです…よ?」と多田が話す。
「んにゃ、違う違う、えーと知り合いの手伝いだよ」
「そうだったんですか」
「それよりもいいのか?飼い主困ってるんじゃ?」
と言われはっとする。
「そうだった!すみません兎田さん!それでは!」
「また学校で!」
と2人で兎田さんに挨拶をして目的の事務所まで走る。
「あぁ、じゃあな」
と兎田さんは僕たちを見送ってくれていた。
ーー河内短野市:夜桜事務所前ーー
「ここか」
裕也と多田は迷い猫のチラシにあった住所を見て裏路地にある夜桜事務所の前にいた。
「なんでこんな裏路地にあるんだろうな」
「さぁな、金がないとか?それかあんまり目立ちたくないって感じか?」
「なんか裏仕事とかしてそうだな…むぐ!」
大慌てで多田の口を塞ぎ周りに誰もいないことを確認し安堵と共にため息をつく、
「多田お前、事務所の前でなんてこというんだ!」
「はは、すまねぇ」
「笑い事じゃねぇ!」
と多田にツッコミを入れていると扉が開き中から銀髪ショートのベレー帽を被った女性が顔を出してきた。
「なにか用事があるならどうぞ?」
「あっ、はい…」と2人で同時に話し事務所に入る。
「ということで、夜桜事務所にいらっしゃいませ、私はここで受付をしています
理上 莉穂ですよろしくおねがいします。
ここでは相談から、捜し物、動物捜し、探偵業など色んな依頼を引き受けています。今日はなんのご要件で来られたのですか?」と理上さんは定型文であろう文章を話す。
「あっ、いや、そういう訳ではなくて…チラシを見てこの子を連れてきたんですよ」
とみーちゃんを見せながら話をする。
「あー!?みーちゃんじゃないですか!!ご協力ありがとうございます!是非そこのソファーに座ってお待ち下さい。飼い主さんに連絡を取ります!」
なんか元気な人だなと多田が隣で話をしている。
静かに頷き2人はソファーに座る。
大和たちが座ると理上さんがお茶と菓子を目の前に置いてくれる。
「あっありがとうございます。」
「いえいえ」
その後、理上さんは電話で3箇所へ電話をしていた。
数分後電話が終わった理上さんは対面の席に座り話し始める。
「2人共ありがとうね」
「いえいえ、当然のことですよ」
「ふふ、そっか当然か、君たち優しいね」
「はは、そうですかね?」
「うん、そうだよ」
と話が区切られたとおもうと、理上さんが思い出したかのように話を始める。
「そういや、君たちどうしてみーちゃんのこと知ってたの?」
「あぁ、駅前で飼い主の方がみーちゃんを探していますっていうチラシを配ってたのでそれで知ったんですよ」
と理上さんにチラシを渡しながら話す。
「へー、チラシ完成してたんだ。昨日作るのに時間掛かりそうって言って確認することも話ししてたのに、完成してみたら自信ができて確認なしで配り始めたのかな?」
「え?じゃあチラシ配ってるの知らなかったんですか?」
「うん、だから事務所のみんなはとにかく探しに出てるんだよ」
と言ってるとガチャと扉が開く音が聞える。
「あっ、言ってたら本当に誰か帰ってきたのかな?」
「あっちぃなぁ、おい、りーりジュースあるかぁ?」
「こらぁ!お客様客間の方から入ってきてるんだからそんなラフに話さない!」
僕たちが入ってきた入口から高校生ぐらいの男性が家でくつろいでいるみたいに話しながら入ってくる。
「別にいいだろ?って本当にお客さんいるのか」
「どっ、どうも」
「お邪魔してます」
「おう、すまなかったな。」
「ちょっと!すみませんでしょ?」
「ごめんごめんじゃあ俺部屋に戻るわ」
「たく、もう…」
と理上さん頭を抱える。
「あれ?あの人はみーちゃん捜しはしてなかったんですか?」
みーちゃんについてそんなに興味なさそうにしていたところからふとそんな疑問が浮かんできて理上さんに質問して見る。
「うん、個人情報だから詳細は言えないけどね」
「そうですか」
と返事をしたところで客間の入口から扉が開く音が聞こえる。
「理上さーん、みつかったって本当ですかぁ!!」
と嬉しそうに話しながらドタドタと音を立てて客間へと入っていくる女性。
「あっ、さっきはど…え?」
ふと振り返り挨拶をしようと立ち上がるがそこには初対面の女子高生が立っていた。
「あなたがみーちゃんを見つけてくれた方ですね?本当にありがとうございました。」
と言って女子高生は裕也と多田の手を握る。
「いっいえ…たまたま見つかっただけですし…」
「いや、それでも私の恩人です!本当にありがとう!」
「なぁ、裕也…こんな子だったっけ?」
と多田がこちらにこそこそっと声をかけてきたので首を横に振って答える。
「ん?どうかしましたか?」
と女子高生は首を傾げながら顔を確認している。
「いっいえなんでもないですよ?」
と返事を返していると理上さんが女子高生に話し始める。
「そういや風里さんチラシ完成したのね」
「へ?何言ってるんですか?ボケるのにははやいですよ理上さん」
「え?でもここにチラシがあるわよ?」
と理上さんがさっき見ていたチラシを風里さんに渡し、風里さんと呼ばれた女子高生は眺め始める。
「うわ、なにこれすごい!でも、これ私じゃないですよ。作ってるの最中だったし」
「え!?そうなの!?」
と理上さんが驚いていたが、聞きたいことがあったため風里さんに質問をする。
「あっ、あのすみません、風里さん?」
「なぁに?」
「姉妹っていたりします?双子だったり1歳2歳ほど離れた」
「うんん?いないよ?私一人っ子だし」
「そうなんですね」
と聞き終わると理上さんが頭を抱えながら質問してきた。
「ちょっと待って?じゃあ一体あなた達にチラシを配ったのって誰だったの?特徴だけでも教えてくれない?」
「ええ、たしか女子高生のような感じで白黒のオーソドックスなセーラー服を着ていて…」
と思い出しながら話し始める。それに合わせて多田が話を続ける。
「たしか髪の毛は黒で肩まであるロングヘアー、顔は整っていて、話し方は風里さんと似た感じでしたね」
その話を聞いて風里さんはうーんと考え話し始める。
「情報が少ないけど、まず私の友達に肩まであるロングの子はいないんだよねぇ…」
「事務所にもそんな人はいないわね」
「不思議なこともあるもんだねぇ…おかげでみーちゃんが帰ってきたから結果オーライだけど」
(じゃあ一体あの人は誰だったんだ?こんなことしてメリットはあるのか?それともただの善…意?もし、そうだとしても風里さんや理上さんが全く知らないなんて…それにどうやってみーちゃんの情報を調べたんだろう…)
ーー河内短野市:夜桜事務所付近屋上ーー
「どうやら、作戦成功みたいですね」
「えぇ」
屋上には少年とセーラ服の女子高生、2人の影があった。
「それにしてもあのハイテンションで近づいて来るのは驚きましたよ」
「悪い?」
「いいえ?今のクールな雰囲気で来られても身構えてしまうだろうしよかったんじゃないですかね?」
「そう、」
「はは、全く嬉しそうでもなんでもない」
「ええ、別にうれしくともなんとも思ってないから」
「それより…あんな別れ方でよかったの?」
「ええ、俺たちにはまだやることがある…それに一生の別れってわけでもないですしねぇ」
「…そう、それならいいわ」
「それより、合流したのはいいけどこっからどうなりますかね?」
「必ず協力するはずよあの子ならね」
「お、見てきたんですか?」
「いいえ、でも、あの子は必ず協力関係になる。なんせ…ーーーーーーなんだから」
「…」
「それではそろそろ行きましょうか丸尾君」
「ええ、そうですね」
そう返事をして丸尾は立ち上がり、裕也や多田を眺めた後、振り返り歩き始め、2人は屋上から姿を消した。
謎の女子高生の…丸尾の正体とは一体…
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