チャプター12「反撃」
体育館へと迷い込んだ男子生徒を助けるべく祐也たちは体育館に戻るが、ピンチに陥る。祐也たちの生死は如何に…
ーー祐也サイドーー
「おい!おい!返事をしろ!祐也!」
大和がゴブリンの王の攻撃を受けた後、煙立ち込む場所へ呼びかけ続ける。
そばではトドメをさせたと大喜びなゴブリンの王が「ギャッギャギャ」と笑っていた。
そんな中煙の中から
「ぐっ、うっせぇな」
という声が聞こえる。
「!?祐也!祐也なのか!?」
「うるせぇって言ってるだろ多田もう少し静かにしてくれ!」
煙が晴れていきそこには両手で刀を持ち、ゴブリンの王の攻撃を防ぐ祐也の姿があった。
「ググ…グガァ!!」
祐也の存在に気づいたゴブリンの王は押しつぶそうと力を込める。
「ぐっ…なんてパワーだ…だけど、それだけじゃあ、僕には勝てないぞぉっと!」
そう言って、祐也は王を押し戻す。
「ふぅ、今のはヒヤッとしたぜ」
「ヒヤッとしたレベルじゃねぇーよ!バカ野郎が!」
「バカってなんだバカって!って言っている暇もないか…」
と言ってゴブリンたちに向き直す。
ゴブリンの王が指示を出すと5体ほどゴブリンが飛び込んでくる。
祐也は走り込み、飛んでくるゴブリンの攻撃を無視し、懐に入り、1体を真っ二つ。
そのゴブリンから剣を奪い、2体目を刀で抑えた後、3体目に剣を投げ顔に刺す。4体目は多田が居抜き、5体目のゴブリンは2体目のゴブリンを押し返しゴブリン通しでぶつかりあわせ、行動を制限する。
「何か数減ってねぇか?」
「あぁ、半分ほど那由多さんたちの方向に向かってやがる。」
ゴブリンの攻撃を避け、攻撃を返すが空を切る。
そんな戦いの途中で話を続ける。
「その中に盾と剣を装備したやつはいるか?」
「ん?待ってろ今確認する。」
「頼んだ!」
と言ったあとゴブリンの王の薙ぎ払いが飛んできたのでバックステップで避ける。
「ちっ、敵の数が減ったとはいえ、王を一緒に相手にするときつすぎるな…」
横から攻撃してくるゴブリンを刀でいなし前に転倒させ刀の先で突き刺しゴブリンの肩の宝石(核)を破壊する。
(ただ、数自体は減ってきて隙も増えてきている。今ならあっちの援護にも行こうと思えば行けるな、あの知能の高いゴブリンがいなければだけど…)
そう考えたあと刀を構え直しゴブリンにもう一度対峙する。
「いたぞ!今那由多さんたちと対峙している!」
「何!?」
(まずい、あいつは特に…)
「くそ!多田!那由多さんたちの援護出来るか?」
「駄目だ那由多さんたちが、今体育館の左奥にいて、2階の通路から届かない!」
(なんてこった…流石にこっちから向こうに抜けるのはきつい…なら、こっちから…)
祐也は咄嗟に走り出し、先輩に駆け寄る。
「先輩!すいませんが背負いますよ!」
「え?あっ、わかった!」
そう返事をもらうと祐也は先輩を背負い左手前の角へ走り出す。
それを追ってゴブリンたちも走ってくる。
「おい!このままだと追い詰められるじゃないのか!?」
「それが狙いですよ!」
さっきよりも人数が増えたゴブリンを連れ壁まで駆け寄る。そして祐也はジャンプし、左足で壁を踏み台に蹴り上がり前の壁に両足を当て踏み込みもう一度蹴り上がる。
「はっ!?はぁぁぁ!?」
その行動と中学生ではありえない身体能力によるジャンプに驚き声をあげる先輩。
「ふっ!」
と気合を入れた声と共に柵を掴みそのまま上に腕の力でよじ登り先輩を2階に運ぶ。
「先輩を頼んだ!」
「あっ、あぁ、」と呆気にとられながら多田は返事する。
祐也はその返事を聞いてから頷き、下のゴブリンたちの動転している様子を見てから遠くにいる、那由多たちの様子を見ると那由多の懐へゴブリンが入り込んだ瞬間だった。
「まずい!間に合えぇぇ!!」
そう言って、刀を全力でゴブリンへ投げ込み。
祐也自身も柵を足場に飛び込んでいく。
ーー那由多サイドーー
気づいたときには目の前にゴブリンが詰め寄られ、咄嗟に構えた木刀も弾き飛ばされ宙を舞う。
「しまっ!?」
ゴブリンに向き直ると剣をうえに構え振り落とす所であった。
(くっ、ここまでか…)
那由多は死を覚悟し目をつぶる。
「まだだ!」と言う声が聞こえ、目を開けるとゴブリンは盾を横に向けなにかの攻撃を防ぎにかかっていた。
「早く!その場を離れて!」
声の主の方向を向くとこちらに向けて走ってきている祐也の姿があった。
そして間近でキン!盾と刀がぶつかり合い、甲高い音がなっていた。
それを見ていると後ろから襟を捕まれ引っ張られる。
ーー祐也サイドーー
柵を足場に飛び込んだが、流石に距離が足りなく手前で着地する。
だが、先に投げた刀に武装したゴブリンは気づき、防御体制を取っていたため、那由多さんが逃げる隙が出来ていた。
しかし、何故か那由多さんは動けずにいる。大きな声で「早く!その場を離れて!」と声をかける。
動くことは出来ていなかったが、とにかく時間をかせぐため地面に落ちていた剣を拾い上げ、ゴブリンへ飛び込み、剣を振り下ろす。そうしている間に翔太が那由多さんを引きずり下げたようで距離が空いていた。
「すまんな、翔太」
「いいや、大丈夫だよ兄ちゃん」
「って!兄ちゃん大丈夫!?」
「まぁな、何箇所か切れているが別に支障はないそれよりそっちのほうがヤバそうだな」
「うん、でも兄ちゃんのおかげで助かったよ。」
「いいや、そんなこともない」
投げた刀を拾い上げながらそんなことを言う。
「へ?」
「僕がここにいるってことは敵も一つになるってことだろ?」
「!!そっか、そうだよね。」
「よし、それじゃあ、2人共僕に任せてその舞台袖から上がって上に行ってください」
のそのそとゴブリンたちが歩いてくるのを見ながら声をかけていく。
「へ?でも…」
「頼みます」
那由多さんに目を向ける
「…わかった、翔太下がろう」
「でも…」
「まだ、俺たちが全力ならいいが、こんなにもボロボロなんだ」
「あっ、」
「そうだ、とにかくここは任せて下がったほうがいい…」
静かに翔太を見る。
翔太は目を合わせたあと少し考え
「わかった」と返事する。
「だけど無事に帰ってきてね」
「あぁ、わかった」
そう言うと那由多たちは舞台袖に下がっていく。2人を見送った後、前を向き直しゴブリンたちへと対峙する。
前には武装したゴブリン、後ろにはゴブリンが11体、そして王…
「…」右下を見てゴブリン達に向き直す。
まずは武装したゴブリンと3体ほどゴブリンが飛び込んてくる。まずは正面の武装ゴブリンが剣を振り下ろす。
刀を両手で抑え押し返し、横からくるゴブリンの攻撃を右手で抑え引き寄せ、蹴りを入れ左から来るゴブリンへ飛ばす
ギャッ!といいゴブリンたちはぶつかり合う。床に落としていた剣を拾い投げ、倒れた2体のゴブリンの核を破壊する。
多田は上から後ろ側のゴブリンへと矢を飛ばしているのが見える。
(出来ればあそこまで下がれれば助かるんだが、難しそうだな…とにかく今はゴブリンたちの数を減らして武装ゴブリンと王との戦いを楽にしないと…)
武装ゴブリンの攻撃を刀で受け流し2撃入れるが盾と剣で防がれ、そのまま左右真ん中と3撃攻撃をしてくる。それを横に弾き、3撃目の攻撃を真正面に受け鍔迫り合いになる。
抑え込みにかかろうとするが王が薙ぎ払ってきて後ろに下がる。
「くそ!攻めきれねぇな!」
そう言っていると左右からもう一度ゴブリンたちが飛び込んでくる。
対処しようと構えるが、王が足を上げているのを見て、刀を投げ1体のバランスを崩させゴブリンがいない後ろへとタイミング良く飛ぶ。
地面を揺らす攻撃を避けて、床に落ちている剣を拾い、バランスを崩しているゴブリンの核を潰す。
その後刀を拾い直しゴブリンに向き直すと
ゴブリンがどんどん倒され苦虫を噛んだような顔をするのが見える。
そうして、仲間をゲートから呼んだときと同じ雄叫びをあげる。
「また仲間を呼ぶ気が、そんなことさせるか!」
(真正面は武装ゴブリンがいるなら…)
と横に走り出し、壁に足を合わせて踏み込み、ゴブリン王に飛び込む。
「いっけぇ!」
刀を横に向け顔を切ろうとするが目の前には王の手が見える。
「しまった!?」
反応はしたが勢いを止めることが出来ずそのまま手で壁にまで弾き飛ばされる。
「ぐはぁっ!!」
「大丈夫か!?祐也!」
遠くから多田が心配する声が聞こえる。
「はぁはぁ、迂闊だったな…だが、呼ぶこと自体は防げたみたいだ」
口の中が切れたのか血の味がする。その血を唾と混ぜだし、ゴブリンたちの様子をみる。
ゴブリンたちが増えた様子はなく、その場には6体のゴブリンと武装ゴブリン、そして王がいる。
頭を振りダメージによるふらつきを抑え、刀を構え直す。
「そろそろ決着をつけようか…」
見てくださりありがとうございました。
また良ければコメント、そして次回もよろしくお願いします。




