その3
グオォォォォォキュルルルルルルルッ!
「・・・今日もめっちゃ疲れたんだけど・・・」
わたしは漸く討伐し終えたっぽいので六神通力を全てオフにして辺りを見渡していた。
今日もたぶん全回収が夜遅くまで掛かりそうなぐらいに辺り一面には魔石が転がりまくっていて、それを副隊長は嬉々として拾い始め、副隊長以外は死んだ魚の目をしながら拾い出していた。
そして、ハムちゃん達は今日で一週間になるGっぽい魔獣の大型版の討伐に疲れ果てたらしく、そこら辺に散らばる様に落ちていた。
「・・・ねぇ、白龍。風魔法で魔石だけ集められるよね?」
「集められるで〜。せやけど、安い魔石やから集めた時にぶつかったら割れるんも出て来るよってな〜。ヴァージルがええ顔せんのとちゃうか?」
わたしは笑顔でせっせと拾い集めている副隊長を見て、まあ、絶対に許可はしないよねと諦めるしかなかった。
「・・・って言うか、わたし達いつになったらこの先に行けるんだろ?一週間ずっと同じ魔獣討伐してて殆ど移動してないよね?それにわたしがブルド王国側から入った時はこいつら全く見かけなかったんだけど?」
「せやな〜。こいつらは魔力を好むからブルド王国側の大連峰にはほぼほぼ棲息しとらんやろな〜。日が暮れてから移動したらこいつらは夜行性とちゃうし巣穴に戻ってるから会わんと思うで?」
「あたしも流石にこいつらばっかりで飽きたし、昼夜が逆転すると夜更かしよりお肌に悪いけど夜間移動にしましょうか」
「は?」
わたしはこの一週間一時間も歩いてないのにGっぽい魔獣の襲撃にあっていて全く進んでない状況だったので、何でそれを早く言わなかったのかと白龍と白亀に聞いたら、聞かれてないからだとしれっと答えたので、思わず足元に落ちてる魔石を白龍と白亀に向かってぶん投げたのは許して欲しい。
こうして、わたし達は次の日の日没後に移動する事にしたのだ。
グギャーーーーーーーーッ!!!
わたしは一瞬立ち止まり、わたし達を襲って来た全身トゲだらけの熊っぽいめちゃくちゃ大きな超級魔獣をホクホク顔で剣で討伐した副隊長をチラッと見てから、また歩き出した。
「・・・ん?何か向こうにめっちゃ強い魔力があるよね?」
「そうね〜。結構進んだし、かなり大連峰に近づいてるから、神災級魔獣でもいるんじゃない?」
わたし達は日が暮れてから既に十時間近く歩いていたので、果てしなく広がる暗い森の中をいつの間にか大連峰まであと一息と言う感じらしかった。
そして、神災級魔獣と言うワードに反応した副隊長が見に行きたいと言うので、仕方なしにわたしは強い魔力に向かって歩き出したのだ。
「・・・うわぁ、めっちゃ綺麗」
わたし達が辿り着いた先は深いすり鉢状の巨大な窪地になっていて、暗い森が途切れたそこには夜明け前の月明かりに照らされ所々玉虫色に光り輝いているまるでビロードの様なもの広がっていたのだ。
「・・・リーナ、何も見えないぞ?」
「・・・強い魔力は感じるのだがな」
「めっちゃ綺麗な草原だよね!」
「え?」
わたしは不思議そうな副隊長と怪訝そうな隊長と笑顔のニックにびっくりして白龍達を見た。
「俺様にも草しか見えへんな〜」
「あたしにも何の変哲もない草原にしか見えないから、もしかして魔植物かしら?」
「魔植物?」
わたしはブルド王国の王太子妃教育で、そう言えば魔力が皆無の獣人にしか見えない魔植物とか言うものがあったな〜と思い出した。
「魔植物!?それは神災級魔獣の魔石と同じくらいの超、超高額な、あの魔植物ですか!?」
副隊長がカッと目を見開き一瞬で白亀に詰め寄ると、白亀はビクっとなり大きく頷いた。
そして、魔植物と言うのは見えない者には触れる事が出来ないので、わたし一人でのだだっ広い窪地の魔植物の全採集が決定したのだ。
「リーナ、襲って来よる魔獣は俺様達が討伐したるさかいに、まあ、頑張れや!」
わたしはせっせと寛ぐ気満々のテーブルセットの設置を始めた白龍や副隊長達にイラッとしたのは言うまでもない。
(((((((リーナ様!あたし達はリーナ様のお手伝い致します!)))))))
そして、わたしがハムちゃん達だけに後で、まだ作ってない前世のオヤツを作ってあげようと思ったのも言うまでもない。
キャーーーーーーーーーーッ!!!!!
わたしが微かに聞こえて来た女性の悲鳴に何事かと、すり鉢状の底の遥か彼方を見たら、そこには大きな魔獣にロックオンされてしまっている五人の女性達がいたので、わたしは直ぐ様頭陀袋から釣竿を取り出すと魔獣に向かって投擲した。
「よしっ!釣れたっ!」
そして、間一髪と言う所で魔獣を釣り上げるとこちらに引き戻し地面に叩き付けたのだ。
グギャーーーーーーーーッ!
「隊長!あっちに女性達がいるから見に行くよ!」
「分かった」
こうして、わたし達は夜明け前の大連峰の裾野に広がる暗い森の中で魔獣に襲われていた彼女達の状況を確かめるべく、すり鉢状の底へと向かったのだ。




