表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現代冒険者のすゝめ ~高校受験に落ちた僕、冒険者になってみた!~  作者: あっかんべー
第4部:異世界《アルカディア》

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
93/100

第92話 アウストラの樹海

矢が、また飛んできた。

木の幹に刺さる音が連続して響く。


「アルト君、どうするの!?」


「……考えてるっ!」


「早く!」


「考えてるっ!!」


頭の奥で、アルディスが静かにいた。


アルディス、何か分かるっ!?


――耳長エルフだね。この森は、エルフ族の縄張りだったようだ。


今もそうなのっ!?


――……おそらく?

  何しろ8年経過しちゃってるし…。


「……上から来てる!木の上に複数いるみたいだっ!」


「見えてるよ!どうするの!?」


「……降参しよう。」


「えっ。」


「武力を行使しないと示して、降参しよう。戦っても勝てない状況で逃げようとすれば、本気で仕留めにかかってくるかもしれない。」


「……それって大丈夫なの?」


「…分からない。でも、他に選択肢も時間もないんだよ…。」


小林さんが、少しの間僕を見た。


「……分かった。アルト君を信じるよ?」


「ありがとう。」


木の陰から、ゆっくりと出て両手を上げた。

矢が、止まりしばらく、静寂があった。


木の上で、何かを話している声が聞こえる。

言語が、分からないのに知っている。

これはアルディス効果なのか?

頭の奥で、意味が無理やり理解させられる。


「あれは、人間だ。」「しかし、あの気配は……。」「まさか。」


木の上から、人影が降りてきた。

一人、また一人と、音もなく着地していく。

全員、耳がピンっと尖っており、長い金色の髪を持つ者、銀色の髪を持つ者、様々だったが、全員の目が鋭く僕と小林さんに突き刺さる。


先頭に立った男が、こちらへ近づいてきた。

長い銀色の髪を後ろで束ねていて目が、深い緑色だった。


そのエルフが、僕の顔を見た。

次の瞬間、目が大きく見開いた。


「……っ!?」


息を呑む声がした。


「な、なぜだ。」


後ろのエルフたちも、次々と同じ反応をした。


「アルディス……っ!?」「我らが友アルディスではないか!?」「なぜ若返っているのだっ!?」


全員が、一様に動揺していた。

弓を下ろす者もいた。

中には跪こうとする者もいた。


正直僕も動揺してしまう。


「……っ。」


小林さんが、僕の袖を引っ張った。


「アルト君、アルディスって呼ばれてるよ?」


「……勘違いされているみたいだ。」


「どうするの?」


頭の中で、高速で考えた。

アルディスではないと言えば、どうなるか?

アルカディアでは、王は歓迎されていない、っと、ヒナさんがそう言っていた。


でも、このエルフたちはアルディス保守派だとアルディスが教えてくれた。


アルディスではないと分かれば、少なくともこの歓迎はなくなってしまう。

それどころか、脅威として排除されるかもしれない。


人間とエルフの関係は最悪だと、アルディスの記憶が教えてくれた。

この森に、人間二人《僕と小林さん》で迷い込んでいる。

アルディスだと思われているから、今は矢が止まっている。

もし、ただの人間だと分かれば――


「……小林さん。」


「うん。」


「少しだけ、嘘をつこう。」


小林さんが、少しの間僕を見た。


「……失敗したら、殺されちゃうかもしれないから全力で演技して?」


「……わ、分かった。」


「ありがとう。」


深呼吸した。

先頭のエルフに向かって、前へ出る。


「……驚かせてしまいましたか。」


エルフが、また目を見開いた。


「……言葉が通じるのか。いや、当然か、アルディス様なら。でも、なぜそのようなお姿に?」


「……ほら、色々あったじゃないですか?だから身を隠すために色々と、ね?」


「色々、とは?」


「……今は、詳しく話せません。ただ、連れがいます。彼女には手を出さないでほしい。」


エルフが、小林さんを見た。


「……人間の娘か。」


「俺の連れです。」


「……アルディス様のこれ、ということですか?」


こっちの世界にもこんなオヤジ臭いものがあるんだ…。

目の前のエルフがしたのは、小指をピンっと立ててこちらにつき出してきた、無表情で。


地球でも、今時やる人なんて気ないのに…。


「……そうです。」


「……っ!?」


小林さん……驚くのは分かるけど、こっちを見ないでください…。流石にバレちゃうからっ!?


いや、大丈夫そうだ。


エルフたちも、互いに顔を見合わせた。

ざわめきが広がった。

先頭のエルフが、深く頭を下げた。


「……失礼をしました。アルディス様とは知らず、矢を向けてしまい申し訳ありません。」


「大丈夫ですよ。気にしていません。」


「……族長に報告しなければなりません。アルディス様がお戻りになったと。どうか、我々の集落へお越しいただけますか?」


「……分かりました。案内をお願いします。」


「……?分かりました。」


頭の奥で、アルディスも少し存在感が薄いけどまだいてくれたようだ。


大丈夫かな、これ?


――……大丈夫じゃないと思うやるしかないだろ?

  あっ……族長に会うときは正直になるんだよ?


……ごめんなさい。


――謝らなくていいよ。

  僕も、出来る限り一緒にいるから。


――白川ヒナは何処行ったんじゃろうな…。

――私がぁ、必要なのはアルトちゃんだけよぉ?

  その他は知らないわぁ?

――じゃあ、王都に着いとる、か。

  王都と森は近いが、今の状況じゃあ…。


面白いと思ったら、レビュー、コメント、フォロー、評価をお願いするのじゃ!

とても、励みになるからの!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ