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現代冒険者のすゝめ ~高校受験に落ちた僕、冒険者になってみた!~  作者: あっかんべー
第4部:異世界《アルカディア》

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第89話 ヒナの話 後

150ポイントいったら、特別話書きます!

タイトル【時詠みの偶像アイドルと時喰いモンストロ】を製作します。

「じゃあ、話していくね?」


「……お願いします。」


「これはお父さんから聞いた話になるけど――」


ヒナさんが話した話をまとめるとこうなる。


アルカディアには数多くの種族が存在し種族間での関りはあまりなく時折争いがあるくらいだったらしい。


そんな世界に魔獣王が誕生してしまい人類は追い詰められてしまったらしい。

そして、そんな時にとある人間の王国にその王は誕生したらしい。まるで魔獣王と対をなすかのように。


その人間国の王…アルディスは最弱種の人種であるにもかかわらず弛まぬ努力の末に各種族と平定を結び数多くの仲間たちと共に魔獣王の討伐に成功したらしい。


……その後アルディスに待ち受けていたのは、助けた人たちから無慈悲な迫害だった。

そう、助けた人たちの瞳には恩義ではなく、怪物を…魔獣王を見るようにアルディスを見られ怯え排除しようとしていたらしい。


アルディスも手を尽くそうとしたけど。何かをすればするほど状況は悪化していくばかりで、平定したはずの種族間関係もどんどんと酷い有様となっていった。


アルディスは逃げることを選んだ。

自分の存在が世界を狂わせていると考えたから。


逃げるアルディスをさらに追い詰め殺害、封印を目的とする組織として生まれたのがヒナさんが所属する閉門衆と言われる組織なのだと言う。


どうやったかは分からないけど、アルディスが地球に逃げてきてそれを追ってきてしまった閉門衆は地球アースに来てしまい帰れなくなってしまった。


そこからは、地球人として生きてきたらしい。

幸いなことに地球人はダンジョンについてあまり進歩していなかったのでアルカディアの知識を活かし地位を築いてこれたのだとか。


……8年前の渋谷のD災害が恐らくアルカディアと地球アースが繋がった瞬間だった……らしい。


「……ヒナさんのこと全然知らなかったです。それに、8年前の事も。」


正直8年前のことは覚えていないからそこまでショックはない。

でも、聞く話によると閉門衆というよりはアルディスの方がD災害に関係している気がする。

聞いたら答えてくれるのだろうか?


アルディス?


――…………。


ダメだ、聞こえているのかすら分からない状態だ。

今度声が聞こえたら尋ねてみよう。


「……知らなくて当然だよ。うちたちが隠していたんだから。」


ヒナさんが、小さく俯いた。


「……白川グループは、表向きはダンジョン関連の大企業。でも、実態の一部は閉門衆の組織…全員がそうじゃないけど、上層部の一部と、専門の部署には閉門衆の組員がいるの。」


「……組員が、日本社会に紛れ込んでいると?」


「そうなるね。8年前に、アルカディアから来た時に、こちらの社会に溶け込んで、組織を作った。」


みんな一様に黙り込んでしまう。

僕たちの知らないところで色々なことが動いていたことに驚いてしまっているんだろう。


「……あなた自身は。」


リオさんが、静かに言った。


「その処分に、賛成だったんですか?」


ヒナさんが、首を横に振った。


「……賛成じゃなかったよ。陛下は悪くないのに、殺されるのは理不尽だと思っていた。だから、ずっと王候補のアルト君のそばにいて、何かあれば守ろうとしていたの。」


「……だから毎日ついてきていたんですか。」


「……うん。」


ヒナさんが、小さく頷いた。


「最初は任務だった。王の候補を監視するという任務で、そばにいた。でも、いつの間にかに…。」


ヒナさんが、少し言葉を止めた。


「……いつの間にか、任務じゃなくなってたの。」


部屋が、静かになった。


「ありがとうございます。」


「……なんでお礼を言うの?監視をしていたんだよ?」


「守ってくれていたようですから。」


「……うちは、何もできなかったよ。結局、アルト君は危ない目に遭って、うちは死んで――」


「それでも、ずっとそばにいてくれていたじゃないですか?僕はヒナさんに多くの物を貰い助けてもらいました。」


ヒナさんが、俯いた。

しばらく、誰も何も言わなかった。


「……一つだけ、聞いていいですか。」


リオさんが、静かに言った。


「……父のことを、知っていますか?神崎トシヒコといいます。ダンジョン研究者で、数ヶ月前から新宿ダンジョンの調査に行ったきり行方不明になっています。」


ヒナさんが、やっぱりか、と言わんばかりの顔で目を瞑り覚悟を決めたように目を開く。

ヒナさんのその反応で、分かってしまう。


「……知っているんですね?」


「……知っています。」


「……どこにいますかっ!?父は今、どこにいるんですかっ!?」


リオさんが、立ち上がった。

声が、震えていた。

今にもヒナさんに掴みかかろうとする勢いで迫るが誰もリオさんを止める者はいない。

ヒナさんも逃げるようなことはせず真っすぐリオさんを見ている。


「……リオさん。」


「どこにいますか?教えてください。父は今どこに――」


「リオさん。」


ヒナさんが、リオさんの手を取った。


「……落ち着いて聞いてください。」


「……っ!?失礼しました。続きをお願いします。」


やはり僕たちよりも大人なだけあって一瞬で落ち着きを取り戻しヒナさんの話の続きを待つようだ。


「リオさんのお父さんは……アルカディアへ通じる門の実験に使われてしまいました。」


リオさんの顔が、白くなった。


「……実験、という、のは?」


「……碑文に記されていたと思いますが門を、王ではない人間が通れるかどうかを確かめるための実験です。王以外の人間が門を通ることができるのか、それとも跳ね返されるのかを、閉門衆…いえそこで寝ているうちの父が調べていました。」


「……私の父が、その実験台になったということですか?」


「……はい。」


「……生きて、いるんですよね?」


ヒナさんが、少しの間黙った。


「……ごめんなさい、可能性はなくはないと思いますが…うちには分かりません。」


「可能性は低いということですか?でも、生きている可能性あるんですよね?」


「……あります。跳ね返された場合、アルカディア側に弾き出される可能性があります。もしそうなら、アルカディアのどこかにいるはずです。」


リオさんが、唇を噛んだ。


「……生きているかもしれない。」


「……正直可能性は低いです。でも、ゼロではありません。」


「……それで、十分です。」


リオさんが、静かに言った。


「……父を探します。アルカディアへ行って、探します。」


「……リオさん。」


「田中さん、門はまだ開いていますよね?」


「……おそらくは。」


今の僕なら分かる。

門の扉は開かれている、と。

……理由は分からないけど。


「……連れて行ってもらえませんか?」


「……分かりました。ただし、リオさんが門を潜るのならば僕も一緒に行きます。」


「……ありがとうございます。」


リオさんが、座り直した。

その目が赤く染まっていたけど、その瞳に宿る決意は揺れていなかった。


「……すみません、ヒナさん、教えてくれて。」


「……うちの方こそ、ごめんなさい。止められなくて。」


「……あなたのせいじゃないです。」


部屋が、また静かになった。

気絶している白川の顔に、まだ涙の跡が残っている。

この部屋には…ヒナさんから出てきた塵がまだ微妙に残っていた。

蘇生薬エリクシルで、ヒナさんを生き返らせたけどこの塵を見ていると、まだやるせない気持ちが残ってしまう。

だけど――


「……武田先生に、お礼を言わないといけないですね。」


「武田先生?」


マサトが言った。


「ほら、蘇生薬をくれたから。」


「……あの先生、とんでもないものを持ってるよな。」


「そうだね。」


ヒナさんが、小さく笑った。


「……うちは武田先生は怖いなぁ、アルト君をぼこぼこにしているところ見ちゃったし…攻撃もされかけたし…。」


「……そうですよね。でも、意外と面倒見はいい人ですよ?」


「……アハハ、なにそれ。」


「それに先生は何か色々知っているかもしれないですから。」


「……武田先生は試験の時も意味深なことを言っていたしなんなんだろうね。」


「でも、今回も助けてもらいました。」


ヒナさんが、そうだね、といってまた笑う。

今日一番、穏やかに笑っていた。


頭の奥で、アルディスの気配がする。

こちらも穏やかな、そして静かな気配だった。


――長い夜だったね、有人。


さっきまで返事をしなかったくせに…。

でも、門の在処が分かるのはこの人だけだから攻めるのは後にしよう。

聞きたいことはたくさんあるし。


「……そうですね。」


もうバレてしまっているので声に出して普通に話しているとマサトが、またか、という顔をしていた。


「絶対後で説明しろよ?」


「全てが片付いたら必ずね。」


「約束だぞ。」


「約束するよ。」


早朝の渋谷街が、窓の外で変わらず光っていた。


――もぉ、少しぃ。

――何で誰も気付かんのじゃ…。


あっ、面白いと思ったら、レビュー、コメント、フォロー、評価をお願いするのじゃ!

とても、励みになるからの!

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