第47話 鬼畜外道武田ソウカクの地獄のレッスン終
学生時代は先生嫌いだったなぁ…。
今元気にしているのだろうか。
「…『僕』…勝負だっ!」
英雄になりたい。
その夢も。
生きて帰るという約束も。
何一つ諦めるつもりはない。
だから――
僕は『僕』へ向かって踏み込んだ。
「はぁぁぁっ!」
ガキィン!!!
さっきと違い僕が攻めに入る。
流石僕の可能性なだけあって、僕の攻撃をきれいにパリィしてくる。
でも、今の僕ならできることがある。
ヒナさん達に教わった魔法スキルと魔力視があることで実現可能となった技――
「❘凍えろ《アイス・ピラー》!!!!」
そうスキル発動の魔力だけで魔法を行使することが今の僕にならできる。
「…っ!?」
『僕』は驚きはするが、しっかりと魔法をパリィしてくる。
なら、僕はその上を行くっ!
発動した自分の魔法の魔力を用いナイフに❘パリィする《集約させていく》。
アクリさんが僕の破損してしてしまったナイフの一部を使用し作ってコバルトナイフ…その中には微量のミスリル片が混ぜ込まれている。
以前のナイフのようにはいかないくて、ナイフに負担を掛けてしまうが、そこで僕のパリィと組み合わせ複合スキルとして生み出す。
「合技…蒼氷刃!」
刃が伸びていき『僕』がパリィをしているその上から凍り付けていく。
結果、『僕』はパリィの格好のまま氷像となった。
刀身を見る、パリィの魔力で刃が保護されていたので刃こぼれはなさそうだ。
視線を向けると氷像となったはずなのに『僕』はこちらを睨みつけたままだった。
諦め悪いところまで僕と同じか…。
ならば、これで行こう。
これで、決めよう…。
僕はナイフを目の高さまで上げ魔力を手中させていく。
心威も合わさり魔力量は以前とは段違いのようだ。
だけど、今の僕ならできる――
パリィ。
さらにパリィ。
何度も何度も魔力を受け流し、圧縮し、刃へと重ねていく。
1回。
2回。
3回。
10回。
20回。
限界を超えてなお重ね続ける。
心威と紫紺の魔力をパリィしていく。
刃に届かず紫紺の魔力が刃の周りで塊となって固まっていくのが分かる。
そして出来上がるのは、マチェットサイズの魔力刃。
以前はこれでミスリルナイフが壊れてしまった。
しかし今の僕ならば出来る気がする。
ピシッ――
氷像に亀裂が走る。
バキバキバキッ!!
『僕』は力任せに氷を砕きながら現れ、『僕』はパリィの構えを取る。
…なるほど、真っ向勝負か。
僕と『僕』の戦いの終着点はここだ。
「…はぁぁぁぁ!」
――紫煌・蓮華
マグマトードの時とは違い刃に負担を掛けないように尚且つ魔力に余裕を持たせた。
1枚の刃が飛ぶ。
しかし空中で分裂していく。
2枚。
4枚。
8枚。
紫の花弁のような魔力刃が『僕』を包囲した。
勿論僕がパリィして作った技なら『僕』にもパリィ出来るはずだ。
思った通りに『僕』は紫煌をパリィしていく。
『僕』がパリィしている間に背後を取り残った魔力で攻撃を重ねる。
「紫煌!」
残魔力があまりないせいで足元がふらつく。
…もう持ってる魔力を振り絞り全力の一撃を放った。
三日月のような形で飛んで行った刃は一直線に『僕』へ迫る。
『僕』は冷静だった。
ガキィン!!
迷いなく紫煌をパリィする。
やっぱり、『僕』は僕だ。
だから、この技も知っている。
だけど――
それで終わりじゃないっ!
「散れっ!!」
僕が叫んだ瞬間だった。
パリィされたはずの紫煌が砕け散る。
いや、違う。
砕けたのではない。
最初からそうなるようにしていた。
――紫煌・蓮華
無数の花弁のように展開していた魔力刃が再度一斉に軌道を変え全方位から『僕』へ襲い掛かった。
前。横。上。後ろ。
先程はなった紫煌蓮華との二重奏――
「…っ!?」
『僕』の表情が変わる。
パリィ。
パリィ。
パリィ。
凄まじい速度で弾き続ける。
だが足りない。
1枚。
2枚。
3枚。
弾いた先から次の刃が迫る。
僕自身だから分かる。
この攻撃は全部防げない。
そして――
最後の一枚。
誰にも気付かれないように隠していた刃。
それが『僕』の胸元へ吸い込まれていく。
「終わりだぁッ!!!」
ザシュッ――
紫の光が走る。
『僕』の身体が停止した。
そのまま粒子となって崩れていく。
『僕』は最後まで僕を睨んでいた。
だけど消える寸前ほんの少しだけ口元が開き言葉が聞こえた。
僕がその言葉に頭を振り了承したら、『僕』は納得したのか、ふっとその表情から憎悪が消えた。
『…そうか』
小さく。
本当に小さく。
それだけ呟き、そして――
『僕』は完全に光となって消滅した。
◇
勝った…。
『僕』との戦いで体中が擦り切れていたり、土汚れが目立つ。
疲れた僕はそのまま闘技場の中で座り込む。
パチパチパチっ!
静かになった闘技場に拍手の音が反響する。
「おめでとう、心威は使えるようになったね!」
僕としては一切助けてくれなかった先生に恨みごとの一つでも言ってやりたいところだけど、疲れが酷過ぎてそれどころではない。
「あぁ、心威は発動すると半端なく疲労がたまるから気を付けて使うようにしてね!」
息も絶え絶えの僕に軽く話しかけてくるこの人が本当に教師なのか怪しく思えてくる…。
「じゃあ、もう一回行ってみようか。」
えっ
「…えっ」
「だって、神威使ってないじゃん。心威から昇華させないと!」
「もう、無理です…。」
「あっ、お~い!」
疲労のせいか、先生から言われた言葉せいでストレス値の限界を超えたせいか分からないけど、どんどんと意識が遠のいていく。
あぁ、また気絶するのかな…。
一つ気がかりなことがあった。
『僕』が最後に言った言葉――
『ダンジョン賊と蛙、そして雛《?》は絶対に気を許すな。』
訳も分からず了承してしまったけど、未来の可能性に関係することなのだろうか?
あぁ、ダ、メだ意識が保、てな、い…。
今度こそ僕の意識は完全に落ちてしまった。
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