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現代冒険者のすゝめ ~高校受験に落ちた僕、冒険者になってみた!~  作者: あっかんべー


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第35話 歓迎会《フレンド・パーティー》

区役所から出た僕たちは時間も頃合いになったことで歓迎会の会場へと足を向けた。


こんな僕の為に歓迎会を開いてくれるなんて…。

今までの人生で幼少期を除いて友達が出来たことが無い僕にとって歓迎会とは無縁だと思っていたけど、……高校生って、こういうの普通なのかな。


しかも、マサトの話では30人もいるクラスメイト全員参加すると言っていたので皆さんとても仲がいいみたいだ。


僕もこの学校でなら友達をたくさん作れるのかな…。

マサトは友達としてカウントしてもいいよね…?

エミリさんは友達なのかな…なんか敵視されているようだしちょっと違うのかもしれない。


まだ登校初日でクラスメイト全員の名前を把握していないけど、楽しみ半分…怖さ半分だった。


中学の時も最初、皆仲良くしようとしてくれていた。

だけど、僕がDサバイバーだと知るとみんな逃げていくんだ…。


マサトたちがそれに気づいているのかは分からない。

…自分から明かすのは、正直怖い…。

仲良くしてくれた人が離れていく感覚はどうしても慣れないと思う。


そんなことを勝手に一人で悩んでいたら会場のファミレスについてしまった…。


「ほら、入ろうぜ?」


「…。」


「ほらほら、主役がとまっていてどうすんだ?」


マサトはそう言うが、やはり少し怯んでしまう。

そんな僕の背中を押しファミレスに入っていく。

エミリさんはマサトの後ろでスマホを見ながら付いてきているようだ。


自動ドアが開くと、そこには何の変哲もない普通のファミレスだけど、お店の一角をクラスメイトと思われる人たちが席を取っていた。


マサトは僕を押しながらその方向へまっすぐ進んでいく。どうやら、席はここで間違いないようだ。


僕がどうして入るのを躊躇っていたのかというと――


「田中君~!ようこそ2年B組へ~!」


そう、横断幕とまではいわないが小さな旗が準備されていたからだ。どうして、こんなに歓迎してくれるのだろう…。それともこれが普通なの?


「み、皆さん、あ、ありがとうございます…。」


「どうこの旗?短時間だったけど頑張って作ったんだよ?」


そうクラスメイトの女の子が言ってきた。

小動物のような小さな女の子でクラスで見かけてはいたけど…。


この人は…いや、まだ名前は知らない…。


「あ、私、小林ナユタ!よろしくね!」


「あっ、先に自己紹介すんなよ!俺は、菊池イチロウってんだ!よろしくな!」


クラスメイト達が僕に集まっていきどんどんと自己紹介をしていく。


こ、こんなに一気に覚えられるかな…っ!?

とりあえず思ったのは、みんなとても前向きで、とにかく明るい、そんな印象だった。


クラスメイト達の冒険者になった理由は様々で、


「お金を稼ぎたい!」


「有名になりたいなぁ~」


「モテると聞いていたんだ…。」


と自己紹介に合わせて教えてくれた。

一人俯きながら言っている人もいたけど…。


僕が冒険者になったのは、義父さん達にこれ以上迷惑を掛けたくないと思ったからで、皆みたいに目標があってなった訳じゃないから浮いてしまうかと思ってしまった。


僕は、学生を目指して浪人をしたとしても学力に自信がないので無理だと思ったし、じゃあ、就職するっていうのもDサバイバーだって知られた瞬間、働き口なんて無くなるんじゃないかと思っていたんだ…。


でも、これをクラスメイト達に言ったら場が冷めちゃうよね、多分…。


「田中君はどうして冒険者になったの?」


最初に自己紹介をしてくれた小林さんが僕に聞いてきた。


やっぱり聞かれるよね…。


「…。」


回答に詰まってしまう。


言っていいんだろうか…?

…あっ、そうだっ!


「…この学校の先輩に進められて冒険者になりました。」


これでどうだ…?


目の前の彼女の顔をうかがってみる。


「おぉぉぉ!だれだれ?」


「…一つ上のヒナ…白川さんって方です。」


ごめんなさい、ヒナさん名前使わせてもらいます…!


僕は悪いことをしているわけでもないのになぜか罪悪感に襲われてしまう。


「えっ、ヒナ先輩と知り合いなの!?」


えっ、驚くことなの?

なんでだ?


「ヒナ先輩ってめちゃくちゃ強いし、それに今は休業しているみたいだけど配信者としてかなり人気なんだよ!?そして、めっちゃ可愛くて…おっぱいも大きいし…。」


なんかこの子…おじさん臭い子だな…。

確かに…目のやり場に困るときもあるけど…。

いやいや、お世話になっている人にそんなふしだらな視線を向けちゃダメだろ!


頭をぶんぶん振って自分の中の自分を否定していると目の前の小林さんがニンマリと笑っている。


「…ヒナ先輩は超人気者でファンクラブまであるくらいだから…消されないようにね!」


そう言って、小林さんは後ろで手を組みながら、にやにやと席へ戻っていった。


ファンクラブ…?


えっ、消されるっ!?


いきなり物騒な話を聞かされてしまったんだけど。


「おーい、アルト!楽しんでいるか?」


マサトがやってきて、僕に話しかけてきた。


「…うん、とても楽しいよ。…歓迎会をやってくれてありがとう、マサト。」


楽しかったのは本当だ。

こんなに大勢に囲まれるのはいつぶりだっただろう。…もう覚えてないくらい前だったと思う。


それに、多分何人かは僕がDサバイバーだと気づいていると思う。目が合ってしまったから…。

このご時世好き好んで紫色のカラコンを付ける人なんているはずもないし、僕もそう思われると覚悟した。だけど、気づいたと思ったクラスメイト達はDサバイバーの話題には触れず僕に話しかけてくれた。

…それが、少しだけ嬉しかった。


ちょっと気が早いかもしれないけど、このクラスに入れてよかった、とそう思えたんだ…。


「そうかそうか!じゃあ、2次会も行くよな?」


えっ、2次会?

それって、大人の人たちだけの話じゃないの?

高校生で2次会って言い方はどうなんだろう…。


僕は苦笑しながらマサトに言った。


「…一応家族に確認してもいいかな?」


「おう、分かった!いい返事がもらえるように願ってるぜ!」


そう言って僕はお店の外に出て義母さんに電話をした。メールでもよかったけど、なんだか電話で伝えたい気分だったから。


pruuuupruuuu


「もしもし、アルト~、どうしたの?」


「もしもし、義母さん。今日、夜ご飯外で食べてきてもいいですか…?」


「…………。」


…どうして黙っているんだろうか。

やっぱりダメだったのかな…。


「…誰と?」


「…クラスメイトと。」


「…グスグス。」


えっ、泣いてる!?

なんでっ!?


「どうしたんですか?…やっぱり、すぐに帰った方がいいですか?」


「ごめんなさい、違うのよ。…アルトが友達とご飯を食べてくるって言ったからちょっと驚いちゃっただけよ。…アルト、楽しんでいってらっしゃい!」


「…うん。」


そう言って電話を切ってポケットにしまう。

よかった…2次会には行けるみたいだ。


「あの、マサト。」


「おう、どうだった?」


「大丈夫だったから、僕も、その…2次会に行ってもいいかな?」


マサトは目を丸くして笑い出した。


「アルトお前、またそれかよ!アハハ!あ~可笑しい。」


…僕だって自信を持って言いたいけど、残念ながらそんな自信僕にはないよ…。


「ひぃ~笑った笑った!…んとじゃあ、2次会会場に移ろうか!」


会場って…。


「どこでやるの?」


「時間も時間だし、飯も食ったから高校生ともなれば――」


「高校生となれば?」


「カラオケ一択だろっ!」


「「いえぇ~い!」」


周りからも声が上がりこのままカラオケに行く流れになるようだ。


そして、僕は顔を青くする。

なぜなら、僕はカラオケに行ったことが無いから――


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