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現代冒険者のすゝめ ~高校受験に落ちた僕、冒険者になってみた!~  作者: あっかんべー


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第20話 封《アビリティ・ロスト》

今回は短いです。

僕たちは病院からそのまま渋谷区役所の訓練施設まで来た。


「…ヒナさん、この間もそうでしたけど、前回訓練していただいた時の僕の態度が最後悪くなってしまい申し訳ありません。」


やっと謝れた…。

ずっと謝れなかったことが心につっかえていたんだ。

自分勝手だけど、僕は一方的にヒナさんに謝罪を告げた。


「…うちは別に怒ってないよ?」


ヒナさんはのほほんと言ってくれる。

でもこれを当たり前だと思ってはきっといけないんだろう。


「ヒナさん…ありがとうございます。」


「ん~?どういたしまして?」


笑いながらヒナさんは僕の顔を見てくる。

僕は顔が熱くなり顔を背けてしまった。


なんで、顔を背けちゃったんだろう…?


「……ヒナさん、そろそろ始めてもいいですか?」


話を変えるように僕は訓練開始をお願いをする。


「いいよ~!前と同じでコイントスでいい?」


「はい、問題ありません。」


「じゃあ、いくよ~!」


ヒナさんはそう言ってコインを空中に弾いた。


火球ファイアボール


ヒナさんは初級魔法スキルの魔法を使用してくる。


魔法ならばいくらでもやりようはある。

僕は目に集中して火球ファイアボールの魔力を見ようとする。


「……っ!」


見えない…。

なんで…っ!

いや、気のせいか?


もう一度挑戦するためにヒナさんに魔法の使用をお願いする。


「…ヒナさん、すみません、一旦タイムをお願いしてもいいですか?」


「ん?いいよ!どうしたの?」


「魔法を…魔法をもう一度使ってくれませんか?」


火球ファイアボールのこと?牽制で使っただけなんだけどなぁ、まぁいいよ!」


「…ありがとうございます。」


ヒナさんが魔法をまた唱え始め火の玉がこちらに飛んでくる。


火球ファイアボール


僕は魔力の流れを見るために先程と同じように集中する。


見えない…。

やっぱり、気のせいなんかじゃない…。

魔力が見えなくなっている…。

なんで…っ!


視界がおかしい。

世界から“色”が消えたみたいだった。

今まで確かに存在していた紫の流れが、どこにもない。

ダンジョンに入ってから、ずっと当たり前に見えていたもの。

それが突然、僕から消えていた。


「……なんで、見えないの……?」


喉が震え、呼吸が浅くなる。

まるで、自分だけが世界から切り離されたみたいだった。


「ちょ、ちょっとアルト君どうしたの!?」


「魔力が…魔力が見えないんです…っ!」


「……え?」


ヒナさんの顔から、いつもの軽い笑みが消える。


「それ、本当に……?」


「……はい。」


僕は何度も目を凝らす。


だけど、何も見えない。


そこにあるはずの紫の流れが、どこにも存在していなかった。


「…分かりません。今日気づいたら見えないくなっていました…。」


冒険者になってから、ずっと使っていた能力アビリティが無くなってしまって、自分の能力アビリティに裏切られた気持ちになる。

どうして消えてしまったのかは僕にも分からない。

このままだと、あのマグマトードに勝てなくなってしまう…。


どうしよう…。

どうしよう…。


どうしたら…。


「…原因が分からないなら、プラスに考えるようにしよ?」


えっ?


「えっ?」


「アルト君は今までその…魔力視って呼ぶね?魔力視を使って戦ってきたでしょ?だから、今は基礎を鍛えるときが来たって考えようよ!」



落ち着いた僕はヒナさんに改めて聞き直す。


「すみません…落ち着きました。…さっき言っていた、今は基礎を鍛えるときって、どういうことですか?」


「だって、アルト君学校に入りたいんでしょ?ダンジョン攻略を進めるよりも先に」


「…はい、そうですけど、何の関係が?」


「学校に最初から完璧なんて人いないよ、その過程を育む施設なんだから。だから、基礎を学校で鍛えていけばいいと思うよ。……それに一緒に学校通えるよ?」


「…学校。」


行きたいとは考えていたけど、こんな形で学校に入ってやっていけるのだろうか…。

正直、魔力視だけじゃなくて身体能力も低下している気がする。

さっきから身体が重い。呼吸のリズムも噛み合わない。まるで、自分の身体じゃないみたいだった。


佐藤さんは昇華レベルアップしているかもって言っていたから、一般人よりかは体は頑丈なんだろうけど、それでも前の方が身体能力が高かった気がする。


「それに学校にあの先生がいるから、アルト君も来るべきだと思うよ?」


「先生ですか?」


僕が会いたい人なんていないんだけど、誰のことを言っているんだろう。


「学校の先生の中にいるんだよ、日本最強って言われている人がね」


――日本最強。


その言葉に、僕は思わず顔を上げた。


もしかしたら、その人なら。


この状態の理由を知っているんじゃないか。


……そんな期待を、僕は少しだけ抱いてしまった。


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