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現代冒険者のすゝめ ~高校受験に落ちた僕、冒険者になってみた!~  作者: あっかんべー


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第16話 Boys, be ambitious

僕は目を開いた。

先程の声はもう聞こえてこない。


しかし、さっきの自分と変わったことがあった。


――目に熱が籠っている。


この熱が僕に勇気をくれる。

あの軍隊アントが怖い。

あのマグマトードが怖い。


でも今は恐怖心をしまい込んで立ち向かわなければならない。


――僕はもう奪われたくないから。



先程の掛け合いから時間は全く立っていなかった。

理由は分からないし、今はそんなことを気にしている暇はない。

さっきよりもダンジョンの全体の流れが見えるようになった気がする。


アントの位置、マグマトードの息遣い、冒険者たちの立ち位置、そして佐藤さんの場所。僕は、真っ先に佐藤さんの元に駆けよる。


「…田中様…目が…。」


倒れ伏す佐藤さんが僕を見てそんなこと言う。

僕の目が変わったことには気づいていた、そんなことよりも、確認しなくてはいけないことがある。


幾分か冷静になった僕は佐藤さんに尋ねた。


「…佐藤さん、回復薬かポーションはありますか?」


先程までは焦っていて考えられなかったが、よく考えれば佐藤さんならそういった備品を持ってこないはずがない。道中の指示出しや行動を見ている限り絶対に数本は所持しているはずだ。


「…私の、ポーチに、入って、います。」


半身が焼け爛れている佐藤さんにはポーチに手を伸ばせない様で僕がポーチからポーションを取り出し佐藤さんに飲ませる。


焼け爛れた皮膚は完全には戻らなかった。

それでも、命の危険だけは脱したようだった。


「…ありがとうございます。助かりました。」


「いえ、ポーションをいただいてもいいですか?」


「…はい、持って行ってください。私はまだ動けそうにないのでここでお待ちしています…。」


まだ数本残ったポーションを貰い僕はアントに襲われている冒険者たちの元に紫紺の風の如く駆けていく。


軍隊アントが僕の行方を拒む。


しかし、今の僕にはアントたちの動きがしっかり見えている。

スライディングフォームで最前列のアントの下に潜り込みそのままナイフでアントの身体を切断する。


この感触…。

一匹一匹はそこまで強くない…?

だけど、数が多すぎる。


アントの下を潜り抜けたところをマグマトードの唾液が僕を狙う。


…今なら見える。


僕はその唾液をミスリルナイフで逸らすように地面に落とす。

ミスリルナイフには、先程の唾液から獲得した魔力が朱色に光っていた。


やっぱり唾液に魔力はあったっ…!


唾液に微量な魔力が薄っすら見えた。

だから、これは僕にとってかなりの賭けであった。


賭けに勝ったっ…!


僕はそのままナイフに宿った魔力を開放する。

ナイフから出たのは炎ではなく朱色の魔力線だった。

その線は、空中に弧を描くように数体のアントたちを切断していく。


その勢いのまま僕は駆け続ける。

そして――


「あぶないっ!」


男性冒険者の背後のアントを切り伏せる。


「…すまない、また助かった…!」


「いえ大丈夫です、それよりもこれを使ってください。」


僕は佐藤さんから貰ったポーションを目の前の男性に残り2本すべてを渡した。


「こ、これは君が持っていた方がっ!」


「いえ、貴方達が飲んでください。」


「…!恩に着る!」


軽傷の男性冒険者と重症の女性冒険者がポーションを飲み回復していく。

元々軽傷だった冒険者の方は全快とまではいかないがかなり回復しているようだ。


だから、僕は男性冒険者に言った。


「すみません、貴方達の力を貸してください、僕だけじゃこの数は捌けません…。助けてください!」


僕は軽く頭を下げ男性冒険者にお願いをする。

目の前の男性は目を見開きこちらを見た後、苦笑しながら言ってくる。


「助けてもらったのに、君に助けてくださいなんて言われるとは思わなかったよ…。もちろんだ協力しよう!」


「…!ありがとうございます!少し試したいことがあります、時間を稼いでいただけますか?」


「…?分かった!盾くらいにはなってみせよう!」


そう言って男性冒険者は斧を持ちアントと僕の間に立った。


第四層に行く予定だったが、現状マグマトードが集まっていない為その作戦は実行できない。

なら、別の方法で活路を切り開くしかない…。


集中しろ、感覚を研ぎ澄ませ。


先程の声は僕にヒントを与えてくれた。


【血の中にヒントはある】


今の僕の目は普段よりも見えている。

15%…つまり僕のスキル。

だから、集中して僕の中の流れを感じ取れ。


まだ、見えない。


集中


まだ、見えな


…見えた。

フワッと紫の光が見える。


今までただ光っているだけなのかと思っていたけど、今の僕には分かる。


この紫色の光は魔力だ。


しかも、今まで見たどの魔力より純度が高く体の奥…心臓付近から湧き出てくる。

今まで魔物の魔力を利用してナイフに魔力を纏わせていた。

この紫色の魔力をナイフに纏わせられたら、どうなる?


また、賭けになる、か。


僕たちはポーションは全部使ってしまったので、もう回復はできない。

攻撃力を持っていなかったら、もう詰みだ…。


でも、これに賭けるしかもう手段がない…。


だから…


更に集中しろ、流れを汲み取れ!


…っ!

ダメだ、魔力が、動かないっ!


動けっ!動けよっ!

今動かなかったら、全滅だぞっ!

今突破できる可能性があるのは、お前《僕》だけだぞっ!

佐藤さんは、僕を信じてポーションを託してくれた、冒険者さんは僕を信じて今も僕の前で魔物たちを妨げてくれている。


…っ!

ダメだ…出来ない。

いや、視点を変えろ、僕は今までミスリルナイフに魔物の外的魔力を添わせて纏わせていた。

なら、内側からじゃなくて外側から魔力はまとわせられるはず。

それなら、身体の魔力を操るんじゃなくてどこか魔力が出ている所から補填できれば…。

…っ!もしかして、今、目から魔力が溢出ているのではないだろうか?

佐藤さんが先程、目が、と言っていた。

僕は目を瞑り目元にミスリルナイフを当てる。


スゥと体からナイフに魔力が流れていく。


目を開けナイフを見ると、ナイフは魔力で刃が伸びてマチェットナイフ程の長さになっていた。


出来たっ!


「…すみません、お待たせしました。」


僕は冒険者さんに声を掛けた。

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