第111話 神装心威――王鍵《グラムキー》
あともう少しで特別編作成に取りかかりますね。
150ポイント…いったらですね…。
「……先生は、加護を持っていなかった。クロノリアが召喚したものだから、加護の力まで再現されていないのかもしれない。」
――……気づくのが遅い。最初から思っていた。
気 づ い て た ?
なら、なぜ言わない……。
いや、いい…、きっと…おそらく…多分?何かしらの考えがあるのだろう。
「……。」
――で、それで?
「……【僕】も、同じはずなんじゃないかな。おそらくだけど、【僕】には加護がない。」
――……続けて
「……僕には、天照大御神の加護がある。で、それが【僕】には、ない。」
――そういうこと、それが主が秀でている点。
槍を構え直し【僕】を見る。
威風堂々とは、まさにこのことだな……。
いつでも、襲い掛かれるように僕…いや、穂先に注意を向けていた。
「……でも、どうやって使えばっ。神威解放だと時間がかかっちゃう…。」
――……考えて
「……っ、この空間っ。」
辺りを見回しすと、多少荒れてはいるけど、やはり何もない白い空間。
だけどここは――
「……ここ…アマテラスさんがいたあの白い場所に、似ている?」
――……何を考えている?
「……アマテラスさんを、呼べないかと。」
――……呼べるの?神を?
「……ルージュとえんあを呼べたんだ。だったら、呼べるかもしれない。」
――……試す価値はある…かも?
「あるがとう、えんあ。僕やってみるよ……アマテラスさんっっ!」
心の中で、呼びかけてみるが、
聞こえますかっ、神様っ!
――何も返ってこないんだけど。
本当にウンともスンとも言わない…。
【僕】は、これを隙と捉えたのかまたこちらへ踏み込んでくる。
「……っ。」
槍で【僕】を受け流そうとするけど、上手く捌けず距離を詰められてしまい、気づくと僕は、
「あ、天照大御神さまぁぁぁぁ!」
――心の中どころか大きな声で叫んでいた。
その声に驚いたのか【僕】の動きも止まった。
さ、作戦通りっ!
その時だった。
――……なんじゃぁ?おっ?聞こえておるぞっ、アルトぁっ!
声が、返って来たのだ。
あの声だ…っ。
穏やかで、温かくて、山の奥の泉のように澄んだ優しい声。
しかし、以前とは違いなぜかテンションが高い?なぜ?
「アマテラスさん!」
――ん?ここは…現世ではないのぉ。3次世界?いや、お前の精神内の世界か。
「……精神内の世界?」
わ、分からない…。精神世界なんて入れるものなのか?
いや、気にするところはそこじゃないし、今はそれどころじゃないっ!
「神様っ!力を…力を少し分けていただけませんでしょうかっ?」
――ふぬぅ…。いや、ここでなら妾も、少しばかりなら力を与えることはできるかもしれんが…。
「……っ!?お願いしますっ、少しでも問題ありませんっ!」
――ただ、アルトの器が足りていないのぉ。妾の力を引き出すだけの器が、今のアルトには不足しておる…。
「……っ!?」
ここに来てまた僕の力不足…っ!?
力を付けた、技を磨いた、友達と研鑽し、昇華までした…。
それでも、まだ…まだ僕のせいで足りないと言うのか…っ?
――……おい、そこな兎
アマテラスの声が、響くと僕を通してかルージュのうさ耳がピクリと揺れる。
――妾の愛し子アルトに力を…※※※※※を使用しなさい。
「……ルージュ?」
「えんあっ!」
――……分かった。
ルージュの掛け声で、えんあが武器化を解き元の少女の姿に戻る。
武器化の影響か着ている服の端々が傷つき破れており白い肌には、えんあの血が滲んでいた。
ごめん、えんあ…僕が弱いばっかりに、えんあがこんなボロボロに…。
「……気にしなくていい、主。我はルージュと交代してくる。」
えんあが、魔物化したヒナさんの前に立ち
「……我が、ここを抑える。」
とルージュが抑えていた魔物化ヒナさんを取り押さえ始めた。
「……えんあ、偽物であっても…ヒナさんを出来るだけ傷つけないで欲しい。でも…えんあが危なくなるくらいなら……。」
「……分かっている。主今は急げ。」
えんあと代わる形でルージュが、僕の傍へやってくる。
【僕】はアマテラスさんを警戒しているのか傍観している?
「……主様。」
「ルージュ、大丈夫なの?」
「……兎の道しるべ、でしょ。」
ルージュが、前に来て再確認として僕に尋ねてくる。
「……使うよ?いい?……でも、これを使うと…私は、もう動けなくなる…。」
新宿ダンジョンのことを思い出す。
最終階層でのことだ、ルージュがこのスキルを使い確かに動けなくなっていた…。もしかしなくとも、かなり消耗するスキルなのか?
「……。」
それを考えるとルージュに頼ってしまって良いものか、また悩み止まってしまう。これがきっと僕のダメなところなのだろう…。危機的状況でも…僕は迷い立ち止まってしまうところが…。
ルージュが、少し間を置き僕に告げた。
「……主様っ、しっかりするっ!一人で抱えられないのなら私が隣に立って主様を支えるっ!だから…だから――」
小さな手が、僕の胸に当てられる。
ルージュの手は、白くてとても…そう、とても小さな手の平をしていた。
僕は一体何を迷っているんだっ。
迷うなよっ、何に縋ろうとしているっ?こんな小さな女の子に言葉で甘えなくてはいけないほど僕は…僕は落ちぶれてなんかいないっ!
女の子の前でくらい格好つけろよっ!
「……ルージュ、ありがとう。…スキル、お願いっ。」
結局は頼ることになったとしても、それならせめてルージュを不安にさせないようにしなければならない。
「主様……わかった………兎の道しるべ。」
温かな光が、胸から全身へと広がっていく。
身体の奥から、何かが覚めていく感覚。
「……アマテラスさん。」
――これで器は満ちた、のじゃぁぁぁぁぁぁっ!
空間が、揺れ白い空間が僕を中心に光の柱が立ち上り地面の砕けた塵が舞う。
気付くと僕の眼前には黄金色に輝く光の球が浮いていた。
――のじゃ…ハァハァハァ…。これが、妾がアルトへ授ける力じゃ。精神世界内限定じゃが、とても特別な力じゃぞ
「……これ、は?」
――神装心威じゃ
「……神装心威?」
――使用者の心の力を具現化させた心具を、神威で神格化させたものじゃ。人によって、現れるものが違うからの、アルトに現れるものが、何かは妾にも分からんのじゃ
「……分からないっ!?」
不確定要素が大きすぎるっ!?
そんなことの為にルージュを消費させたのっ!?僕っ!?
――心の強さで形は変わるのじゃ、だからこれこそがアルトの心の強さ現れじゃな、ほれ始まったぞっ!
黄金球はグニグニと形作っていき最終的には――
「……これはっ!!」
手の平サイズの鍵だった。
金細工が施されていて、持ち手の部分に複雑な紋様が刻まれてはいるが、ただちょっと豪華なだけの…ただの鍵ぃ!?
一目で、高価なものだと分かるけど…。
だが、これは鍵だ…。
「……鍵?」
「……うん。」
ルージュが、スキルを使い果たし、よろめきながらそう言う。
「……っ!」
「ルージュ、ありがとう。もう休んでいて大丈夫だよっ!」
否っ!全然大丈夫なんではない。
でも、ここでこんな状態のルージュに頼るわけにもいかないわけで…。
「……う、うん。でも、その鍵でどうするの?」
いつも無表情のルージュも流石に鍵が現れたことにより少し動揺しているようだ。
「……分からない。」
正直に言ってしまう。
いや、本当にどうしよう…。
「……武器を期待していたんですが。」
――……えっ?
「……え?…僕は鍵でどう戦えばいいんですか?」
――えっ?
……困りました。
どうしましょう…。アマテラスさんが、えっ?、しか言わなくなってしまった…。
「……うん、困ったね。」
沈黙が、落ちる。
一瞬の静寂――
気のせいか【僕】も呆れている気がする。
……んっ?その向こうに見えるクロノリアはこっちを凝視している?なぜ?
――……アルト
まさかじゃが、ただの鍵だと思っておるのか?
「……ただの鍵では、ないんですか、これ?」
――あ、当たり前じゃぁぁぁぁ!よく聞きなさいっ!
アマテラスの声が、荒ぶっているっ!?
――王鍵。それが、その心具の名前じゃ
「……王鍵?」
――効果は単純、開くことじゃっ!
「……開く?」
そ、それだけっ?
――それだけだと、思ったじゃろ?アルト…?
「……。」
――……真価はそこじゃない。この鍵が開けるのは、物理的な鍵穴だけではない
「……どういうことですか?」
――事象でさえ、開くことができるのじゃ
「……事象を、開く、とは?」
――アルト…お主の潜在能力や可能性ですら、この鍵に掛かれば簡単に開くことができる、と言えばアルトでも、もう分かる、のじゃ?
わざとらしい、のじゃボイスは、もう僕には聞こえなくなっていた。
可能性を開くっ!?つまり――
「……っ!」
――お前はまだ、自分の全てを使えていない、封じられているものがあるはずなのじゃ。その全てを、この鍵で開けることができる。
「……それが、王鍵の力。」
――そうじゃっ!やってしまうのじゃ妾のアルトぉっ!
話を聞いてた【僕】が、焦り僕に向かってきている。
しかし、もう遅い……。
なぜなら、どうすればいいか既に僕が理解してしまったのだから。
「……僕の可能性を開かせてもらいます。」
王鍵を、握り直し告げる。
――開錠『僕の可能性』
「――神威解放」
――妾さん絶好調だね…。
――あははは…、ずっと出番待ってたから仕方ないよ…。
――でも、これで形成逆転できるよっ!
――……それはどうかな?
――……えっ?
面白いと思ったら、レビュー、コメント、フォロー、評価をお願いいたします!
とても、励みになります!




