第11話 入学の話と訪問
昨日ヒナさん達に自分の考えを伝えた。
そして、先日のゴーレム討伐で途中入学の条件は達成しているはず…。
あっ、入学金どうしよう…。
義父さんたちにはまだ何も伝えていなかったことを思い出した。
「…ヒナさん達と一緒に学校に通いたい…。」
僕は誰に伝えるでもなくそうつぶやいた。
バンっ!
「うわっ!」
僕の部屋の扉が勢いよく開かれた。
扉を開いたのは、満面な笑顔を浮かべる義母さんだった。
「アルト!聞こえていたわ、やっぱり学校に行きたいのね?」
「か、義母さん…!」
「任せて!一年後の受験にはお金をどうにかして見せるわ!行きたいのは公立?私立?」
「…。」
「まだ決まっていないの?」
「…冒険者学校。」
「…冒険者学校に行きたいの?」
そう義父さんと義母さんは僕が冒険者になるのを反対していた。
特に義母さんは平和主義者なので戦いとか争いごとが嫌いなのである。
「…うん。今一緒に探索に行っている仲間が冒険者学校に通っていると言っていまして、もしかしたら、一部試験免除で途中入学できるかもしれないと教えてくれました。」
「…。」
「だから、一度学校の方に確認してしてみたいんです。僕でも入学できるかを…。」
「…友達が出来たのね、アルト。」
「えっ、あっ、はい!」
「…。」
「…Dサバイバーの僕に、普通に接してくれたんです。」
「…わかったわ、一度話を聞きに行くわ。」
「……反対、しないんですか?」
「…反対しても続けたいんでしょ?」
「…はい。」
「じゃあ、そのアルトの仲間にまず合わせてくれないかしら?」
「…何を話すんですか?」
「それは会ってからじゃないと分からないわ。」
「…分かりました。」
こうして、トントン拍子に勝手に進んでいくのだった。
◇
義母さんの言う通り僕はヒナさんに連絡をした。
ヒナさんは今日暇だったらしくこの後来てくれるらしい。
もうちょっと遅くてもいいのに…。
「…今日来てくれるらしいです。」
「そう、分かったわ、じゃあこのまま待ちましょうか。」
◇
ピンポーン
家のチャイムが鳴り僕は玄関に向かった。
「やっほー、来たよ!」
「…待ってました。」
「話があるんだよね?」
「はい…とりあえず、中にどうぞ。」
「お邪魔します!」
ヒナさんを連れてリビングいきテーブルに案内する。
ちょうど、義母さんの前に座る形でヒナさんは座った。
「初めまして、アルト君と一緒に探索させていただいております、白川ヒナと申します。」
「とても、元気があって可愛らしい子じゃない!なんで秘密にしてたのよ!初めまして、ヒナさん!アルトの母のスミコと申します。いつも、アルトをありがとう!」
義母さんはヒナさんを見てテンションが上がっている様だった。
中学校の時は家に友達を呼ぶことがなかったので、とても喜んでいるみたいだ…。
そう言えば、女の子と探索していることを言ってなかったなぁ…。
「白川さんも探索者なのよね?」
「はい、Dランク冒険者です!あっ、あとヒナって呼んでください!」
「ありがとうヒナちゃん、いきなりなんだどね質問いいかしら?」
「はい、大丈夫です。何でしょうか?」
「ヒナちゃんは何で冒険者になったの?」
ヒナさんは黙り込み少し俯く。
僕は何かまずいことを聞いてしまったのではないか、と思い義母さんを見る。
「無理に答える必要はないけど、できれば聞かせてほしいわ?ダメかしら?」
「…いえ、大したことではないんですがお話しさせてもらいますね。」
「ありがとう、聞かせてもらうわね。」
そこから、ポツポツとヒナさんが話をしていく。
「…うち、昔に魔物氾濫に巻き込まれたことがあったんです。」
「えっ」
「D災害ほどではないですよ?ほら、うちにDサバイバーの方々みたいに紫色になっているところないでしょ?だから、災害と呼べるほどのものではありません。でも、当時のうちには十分過ぎるほど怖かったんです…。…そして、魔物氾濫でダンジョンから出てきたモンスターがダンジョン近辺の家や人を襲いました…。」
「…。」
色々言いたいことがあったが、今はヒナさんの話を聞こう。
「それで当時まだ小さかったうちとサクラがそのダンジョン近くの公園で遊んでいました…。とても、とても怖かったのを今でも覚えています。実際公園の近くにはモンスターが来ていましたし、結構ピンチでしたね…。これ以上近づかれたらって時にある冒険者に助けてもらいました。それが、最初の冒険者になった理由です。その後、引っ越しをしましたが、襲われたモンスターへの恐怖は拭えませんでした…。」
「それは…。」
…分かる。
僕にはD災害の時の記憶はない、でも、魔物を見ると体の奥底からくる恐怖と覚えていないが両親を失った時の喪失感だろうか、そんな感情が沸く時がある。
「そんな時でした助けてくれた冒険者さんが動画配信を見つけたのは。」
「動画配信?」
「はい、動画配信です!…うちも配信者でしたし。」
あっこれも義父さんと義母さんに何も言っていない…。
忘れていたわけではないが、伝えようとも思っていなかった…。
…あ~義母さんがこっちを見てくる。
何だろうか、罪悪感が…。
「…なるほどね、続きいいかしら?」
「あっ、はい。それで動画配信を見ているうちに何でしょうか、こう、高揚感を覚えるようになりました。そこで気づきました、ダンジョンへの恐怖心が薄まったと。その時思ったんです、うちもダンジョンに怯える人の恐怖心を和らげられるようになりたい、と。」
…ヒナさんは凄いなぁ。
僕は自分を塞ぐことしかできなかったのに、ヒナさんは行動を取れたことが。
「だけど、その冒険者さんと同じ順番にダンジョンを回って配信をしていましたが、渋谷ダンジョン第三層のゴーレムがどうしても倒せなくて諦めて帰っているときアルト君と出会いました。」
「…。」
…あの時ゴーレムに敗走してたのか。
確かにヒナさんの実力でゴブリンナイトやアシッドスライムには負けないはずなんでだろうとは思っていた。
「…正直、運命だと思いました。だから、ちょっと強引に誘っちゃいました、ゴメンね、アルト君…。」
「…いえ、僕もヒナさんの明るさに救われたので、その…ありがとうございます。」
「えへへ、そっか、うちも誰かの助けになれたんだ!」
ヒナさんは一瞬だけ驚いていたが、その後はにかむように笑っていた。
「…はい、ヒナさんのおかげで僕もちょっとだけですが前を向けるようになりました。」
「アルト君…。」
「ヒナさん…。」
二人して黙り込む。
…何だろう、この空気。
なんだか、恥ずかしい…?
「んんっ!なるほどね、ヒナちゃんありがとう、あなたの理由を聞けて良かったわ。…どうかこれからもアルトをよろしくね?」
「…はい!」
ヒナさんと僕は義母さんの咳払いで現実に戻された。
あぶないあぶない…空気に持っていかれるところだった…。
「じゃあ、学校の件は何か知っているかしら?」
「ある程度は知っていますので説明しますね!」
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