表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
15/32

第15話 異世界魔王、先輩に絡まれる



 俺と千歳と澄香が会話をしながら校舎へと向かっている時。



「おや、弓村さんじゃないか」


 と、話しかけてくる男が現れた。

 キザな笑顔を張り付けた軽薄そうな男だ。 


 こいつはだれだっけか?

 どこかで見た覚えはあるのだが。


「おはよう。今日も君は可愛いね」


「あはは……。おはようございます。高野先輩」


 澄香の告げた「高野」という名前でやっと思い出した。


「ああ。お前、昨日の朝も見た男か」


 思い出したぞ。

 昨日も朝の同じ時間帯に俺と澄香に話しかけてきた。

 なぜこいつはいつもこの時間帯にいるんだろうか。


「きみは……昨日も弓村さんのとなりにいた男だね。どうして今日も弓村さんの隣にいるんだい? 偶然にしては二連続っていうのはおかしいよね。ひょっとして彼女のストーカーかなにか?」


「偶然でもなければストーカーでもない。昨日も今日も、俺が学校に来るなり話しかけてきたから、一緒にいるというだけだ」


「どうして弓村さんが君みたいな陰気な男に話かけるんだ……! そんなことするわけないだろう!」


「そんなことするわけない、と言われてもな。実際そうなのだからどうしようもない」


「私の方から話しかけたんです。クラスメイトに、朝話しかけるのは普通ですよね?」


「クラスメイト。クラスメイトね。あははは! たしかに《《ただの》》クラスメイトに話しかけるのは普通だね。それもそうだ。あははは」


 澄香の言葉に、なぜか高野は上機嫌となっていた。

 急に機嫌がよくなった理由はよくわからんが、単純な奴だ。


「魔王様、この方は?」


 千歳が俺に質問してくる。


「こいつは高野だ。3年生」


 なので、俺は至極簡潔な情報を千歳に教えてやった。


「いくらなんでも情報量少なくない?」


「仕方ないだろう。こいつのことをよく知らないのだから」


「それもそうだね……。芦野さん。この人は3年の高野先輩。軽音部の部長をしている人だよ」


「どうもよろしく。軽音部部長にして、この学校で一番のイケメンの高野佐助さ」


「……よ、よろしくお願いします」


「君の名前はなんていうんだい?」


「芦野千歳といいます。魔王様や弓村さんのクラスメイトです」


「へぇー、そうなんだ。芦野さんも弓村さんに負けず劣らず可愛いね。こんなに可愛い子がこの学校にもまだいたなんて知らなかったよ。それに――」


 高野は千歳の顔を見て褒め、そしてチラリと彼女の大きな胸を見てニヤリとほほ笑む。

 その視線を感じて、ビクリと千歳は背を震わせた。


「君は、とても素晴らしいね」


「おい。高野とやら。性欲が隠せていないぞ。朝っぱらから学校で盛るな」


 俺が注意してやると、高野は舌打ちして、小声で


「うるせぇな。いま俺が話してんだから、男が話しかけんじゃねえよ」


 とつぶやいていた。


 どうやら隠せてないのは性欲だけではなくその薄汚い本性もらしい。


 高野は小さくつぶやいた後、先ほどの発言がなかったかのように肩をすくめる。


「やれやれ。朝から性欲だのなんだの言い始めるなんて。ずいぶん品のない男のようだね。どうして君みたいな程度の低い男が、こんな素晴らしい女性たちと一緒にいられるのかわからないよ」


「俺がどこの誰と一緒にいようが俺の勝手だ。お前が理解できるかどうかはどうでもいい。そして澄香も千歳が俺と一緒にいる理由は、俺の配下だからだな」


「配下……? ていうか、きみ、いま澄香とか千歳って言ったか!?」


「ああ。言ったが。なにか?」


「どうして君みたいな男が、弓村さんや芦野さんを名前で呼んでいるんだ!」


「どうして? 俺がそう決めたから呼んでいるだけだ」


「なんだって! そんなの彼女たちに失礼だろう! 2人はそれでいいのか!?」



「はい。もちろん構いません。むしろ光栄の極みです」


「あはは……。私は自分から名前呼んでもらおうとした方ですので。名前で呼んでもらった方が嬉しいくらい」


「なっ! バカな! じゃあ、僕も君たちのことを名前で呼んでもいいか! こいつがいいならいいだろう!」


「いえ。あなたからは、べつに」

「……すみません。高野先輩」


 名前で呼んでもいいかと、2人に詰め寄る高野だが、すげなくことわられていた。


「そんな、ありえない!」 


 と、高野は叫ぶ。


「くそっ。どうしてこんな奴が。こんな美少女たちと! ありえないありえない……!」


 ぶつぶつと高野はつぶやき続ける。



「くだらん。こんな奴をいつまでも相手する必要などない。行くぞ」


 と、俺は高野を放って校舎へと向かう。


「すみません、先輩。そろそろホームルームなので、私たちもう行きますね」

「し、失礼します」


 澄香と千歳も、高野を放置して俺と共に校舎へと向かった。




「ありえない……。どうして……。ああ、そっか。あの男が2人のことを脅しているんだ。そういえばさっき配下がどうのとか言っていたな。絶対そうだ。そうに違いない。そうじゃなかったら、僕が断られた名前呼びをあんな男に許すはずがない……! 待っていてね、すぐに僕が救って見せるから。弓村さんに芦野さん――いいや、澄香に千歳」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ