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おバカ貴族と風穴

「分……解……?バラバラにしちゃったってこと?はうぅ……困るなぁー……困っちゃうなぁー……」


マリエは口を窄め、あたかも世界最大の難問に直面したかのように悩む素振りを見せた。しかし、その瞳の奥は未だ執念の炎が燃え盛っているようにカサルには映った。


「諦めの悪い女だ……」


「えへへ。”しつこい”ってよく言われる」


「だろうな」


カサルは、天井にぽっかりと開いた穴を、慣れた手つきで風魔法によって塞いでいきながら、その傍らで揺れる銀髪の空賊に、彼は冷徹な視線を向けていた。


「未練があるなら見に来るといい」


そう言い放ち、カサルは自らの地下工場を案内することにした。


「いいの?」


「勝手に侵入しておいていいもクソもあるか。……お前を放置していたのでは、いずれまた天井に穴が空く。それを看過できんだけだ」


「へー。嬉しいなぁ」


マリエの無邪気な返答に、カサルは小さく息を吐いた。この女は、己の意図など到底理解できないだろう。いや、理解しようともしないだろう。


「足元、気をつけろよ」


「うん」


工場の奥へと続く道すがら、カサルは敢えて、この非凡な侵入者に問いを投げかけた。それは談笑の意味合いよりも、彼女の思考パターンを測る、精密な心理実験に近い。


「なぜ、魔法使いになりたいのだ?」


「私が魔女になりたい理由?えー、なんでだろう。いい人そうだから?私、悪い人だから、魔女になって皆から良い人だって思われたいのかも」


「承認欲求か?」


カサルの分析的な問いに、マリエは首を傾げる。


「えー、わかんない。悪い魔法使いをやっつけるとかしちゃう?わかんないなぁ、でも、魔女が好きなんだよなぁ」


カサルは、彼女が何を考えているのか、その思考回路の構造を全く理解できなかった。あるいは、彼女は何も考えていないのかもしれない。


言葉をはぐらかしているようにも聞こえるし、答えを用意していなかったようにも聞こえた。ただ、純粋に”そうありたい”という、根源的な願いそのものが彼女を突き動かす、ある種の原始的な衝動。


それは、合理性という尺度では決して測れない、人間の本質の一端であるかのようにカサルには映った。そしてそんな彼女に彼は心をくすぐられたのか、彼は彼女を励ますような不必要な言葉を吐く。


「だがまあ、人生、魔法が使えれば大抵の問題は解決する」


その言葉には彼の幼少時代から、絶望、無念、悔恨、その全てが皮肉にも凝縮されていた。しかしそんなことは露知らず、そこには彼の言葉に瞳を輝かせるマリエの姿があった。


「アハッ、やっぱり?やっぱり魔法って凄いんだ!」


魔法に一途な夢を持つ彼女を冷めた目で距離をとりながら、しかしどこか彼女の熱に恐れをなしている自分もいるような気がカサルにはしていた。


「ああ。───ついたぞ、ここが(オレ)の工房だ」



掴みどころのない感じ……を出そうとしたらなんか不気味な少女になり始めたマリエさん。

歳の割には幼稚な感じがして、それも彼女の言動とミスマッチしていてなんだか怖いなぁ、という感想です。


ではまた(^_^)ノシ




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