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俺の周りは絶望ばかりだ  作者: キノコ二等兵
日南休直史の周りは絶望ばかりだ
37/202

次の日〜

ジリリリと目覚ましの音がなる。あれ?俺って昨日寝る前に目覚ましなんてかけたか?というか聞いたことがない音だ。いつもかけてもそう簡単に目が覚めないのに、目が覚めたのはその違和感が原因か?


目を開けると、窓からの光がちょうど目に当たり眩しい。目を悪くしそうなので反転して枕に頭を埋める。ああぁ・・・丁度いい明かりだし、これなら目も慣れていきそうだな。


数分かけて目を慣らしてもう一度目を開く。視線の位置も変えたので問題なく目が開けられる。そういや昨日は目が開けるのでさえ辛かったんだよな。窓原がくれた薬が良く効いたみたいだ。


ベッドから降りるには最低でも足は使う訳だし、今動かせられるか試してみると痛みも特になく、強いて言うなら筋肉痛になった時程度の痛みぐらいだ。走ったり、最近の状況みたいな事にならなければ、気にするレベルじゃない。


本当にびっくりだな・・・・・・漫画みたいな回復速度だ。それか逆に普通はこれぐらいのが普通なのかな?


リーリャさんに会いに行く為にベッドを出ると、自分の足に昨日狂学者(マッド)が用意してくれた脚部ユニットが着けたままになっていた事に気がついた。


———昨晩はよく寝ましたね、平凡さん。ここ最近は心休まるところがありませんでしたし当然と言えば当然ですが———


いきなり声を出すなって。びっくりするだろ?というか独り言さえ聞かれてたら、何も考えられないからやめてくれよ。


———そう思われるのであれば、これからは意識しますが・・・。しかし気になることはあるのではないですか?平凡さん?———


気になること?特にはないが・・・?


———そうですか・・・まあいいでしょう。(わたくし)に聞きたいことがあれば、その時にでも。では———


向こうは何か話したかったのか?言われた通り何か聞きたくなったら呼んでみようか。BOWの時みたいに呼べばいいんだろうけど。というか、今のこの考えてる事も,聞かれてるんだろうか?だとしたらもう反応されてるよな?少し待ってみるか。


————————————


うーむ。何の反応もない。さっきはこちらから声をかける前に反応があったのにな。もしかしたら狂学者(マッド)は俺が起きる前から待っていたのかもしれない。それならいきなり話しかけても何も違和感はないが・・・だけどそれって結構キツイよな。いつ目が覚めるか分からない訳だし。


細かい事は後でいくらでも聞けるし、その前に腹ごしらえと行きますか。リーリャさんが昨日着ていた服を洗濯してくれていたようで、シワもなく綺麗に畳まれて置いてあったので、それに着替える。


着替える時に気付いたんだが、服の傷も縫われていた。細かいのも結構あったのにわざわざ縫ってくれたみたいだ。いやこれマジでありがたい。ヒナに見つかったらまた泣かれるしな。リーリャさんには後でお礼を言っておこう。


着替えを済ませて部屋を出ると、当たり前だが廊下があった。一般の家のような広さではなく、軽自動車程度なら丸々一台が入れて走れるほどの広さだ。廊下だけでこうならば、この建物は非常に広いと思う。外を見たのは身体を無理しないと視界さえまともに動かせない状況だったし、それを今知るのはしょうがないだろう。


廊下の壁に手を付けながら進んで行く。どこでリーリャさんやシラヌイ達と合流出来るんだろうな。やはり部屋で待っていたほうがいいか。


進んでいくと窓が並んだT字路に出た。ちょうどいい窓から見える景色を使えば、多分誰かとは合流できる筈だ。


窓に近づき外の景色を見ると、首を上に上げないと屋上部が見えないほど高いビルがいくつも建っていた。相変わらずの成長速度でやっぱり驚く。いやあすげぇなやっぱ。けど、こんな速度で成長してる所に結構な土地を持ってるって思うと、リーリャさんって結構な金持ちだよなぁ。


・・・・・・っと、今は他の人に合流するのが先だな。外の景色なんて後で飽きるほど見られるんだし、まずはどちら側に出入り口があるかを確認する。


右にはあるのかもしれないが、少なくとも俺が見ている位置からでは確認できない。じゃあ左はどうかと見ると、窓ガラスに1人の子供が映る。この距離で声をかけないのはなんで何だ?不意打ちを狙っているのか?でも、何もしないのなら後にしよう。


窓から端ギリギリで見ることができた。門があるので多分出入り口だろう。


窓側の壁に手を付けながら、その方向へと進んでいく。時々窓の反射を利用して後ろを確認しながらいくが、子供はこちらから一定の距離を保ったまま追いかけてくる。怖いな。わざわざ距離を空けているんだから何かをするつもりではないとは思うが、怖いことに変わりはない。・・・・・・声をかけてみるか。


「くふっ・・・・・・なぁ、追いかけてんの分かってんだけどさ、いつまでそうするんだよ?」


「・・・・・・・・・き、きの・・・・・・」


・・・?ただのコミュ障か?声は出てるみたいだし、多分そうだろう。こういう時はこっちから行ったほうがいいよな。


しかし屋内で帽子を被るってことは何か他人に見せたくないものでもあるんだろうか?


その子供に近づき背を同じ高さにして、向こうが話しやすいように視線を合わせようとするが、その行動が終わる前に口が笑みを浮かべる。何か・・・・・・がっっっっ!!!!!?


左腹部が振動と共に燃えるように熱くなる。足の力も抜けていく。振動の勢いに耐えられず俺は床に倒れこむ。子供は俺が逃げないようにする為にその上に乗りかかる。


「がっ・・・・・・」


「お前さえいなければ。お姉ちゃんが目を向けるような無能じゃなければ、こんな事にはならなかったんだ!お前が、わたしの日常を潰したんだ!」


声をまともには聞いていなかったが、俺がここ最近で知り合ったのは、インか窓原かシラヌイの3人だ。


前者は男だし、お姉ちゃんと呼ばれるのはおかしい。窓原もだ。ということは・・・。


「・・・・・・イ、イサリビ、か?」


左腹部の熱くなる部分をグリグリと混ぜるように回しながら抜き取ると、次はトドメだと言わんばかりに両腕を大きく振り上げる。


ああぁ・・・ちょっとでも鍛えておくべきだった。だからこういう時に子供に負けんだよ。まあ、向こうは経験値も多い訳だし関係ないか。


周りには誰もいなかった。俺は諦めて腕を広げて降参する。ヒナに遺言を言っておきたかったなあ。命を狙われるのってこんなにキツイもんなんだなあと思いながら、目を瞑りイサリビの行動を待った。


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