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俺の周りは絶望ばかりだ  作者: キノコ二等兵
日南休直史の周りは絶望ばかりだ
36/202

車の中で・・・

ガタンッという揺れで目が覚めた俺は、ここは何処かと周りを見渡す。もちろん首は痛いのでほぼ目だけという感じではあるが。


ガタンガタンと揺れているので、何か乗り物に乗っているのは確実だ。


「目が覚めたみたいだなキュウ」


この声はシラヌイか。よかった、無事だったみたいだな。俺とは違って怪我も見える範囲ではなさそうだ。まあ俺も(はた)からから見れば、特に大きな怪我があるようには見えないし、念の為聞いた方がいいよな。


けど、どうやって話そうか?単刀直入に聞くのはいいとして、今の俺では音を出すだけで喉が痛いしなあ・・・窓原とかインがいればそれ経由で話せるとは思うが・・・。


顔が見れたんだ、話すことなんて後でいくらでも出来る。今はとにかく身体を———っっっ!!!!!?


「——————ぐっ!!!!」


痛みがズボンの右ポケットから走りその痛みで声が出てそれでさらに喉がいたい。


「シラヌイ、助手席に今の日南休と話せる道具がある。そいつ今のお前と話したいみたいでな」


すまねぇな、窓原。そういやお前は目を合わせなくても話せるんだったな。


「何もしていない。思考内通信とはいえお前の身体はボロボロだ。テンションは上げるなよ?変な事で痛みが出る状態なわけだしな」


ああぁ、分かってる。そこで窓原からシラヌイに話す意識を向けてシラヌイに声をかける。思考内通信がしっかりとシラヌイと繋がったようで、反応がある。


「私達みたいに何かをやっている訳じゃないお前が何であんな無茶をしたんだ?あのままいてもお前が危険なのは分かる。なら、スザクという男を見捨てて逃げてればいい話だ。私の時もそうだし何故お前は自ら危険な所に首を突っ込む?ヒナさんと一緒に暮らしたいんだろう?」


そうだな。優先順位はヒナだ。けどなヒナが側にいてもその安全が確保されているんなら、俺は突っ込むぜ。ただの肉壁にしかならなくてもな。バカだろ?


「バカとかそういうのの度が超えている。死んだらヒナさんは誰が守るんだ」


まあそうだけどさ。ヒナの前で人が死んだらそれはそれであいつが悲しむし。そういうこった。


そこで話が止まる。俺もシラヌイも今相手に言っても意味がないと思ったし、向こうもそう思っているようなので、シラヌイはため息をつくと窓の外を眺め始めた。


うーむ俺は何して時間を潰そうか?目だってそんなに動かせないから何かを数えるってことは出来ないしなあ・・・どうするか?


『なら俺が代わりに話そうか?』


運転に集中しなくていいのか?事故るの嫌だぜ俺は。


『周りにイレギュラーがなければ俺はそんなミスはしない。現に俺が何か起きているには大体イレギュラーが起きた時だろう?』


そのイレギュラーの回数が多いだけってか?笑えるぜ。


『笑えるのなら大丈夫だな。ああいうことがあったしな。PTSDとかになってもおかしくない。特にデパートから続けてお前はBOWに襲撃されている訳で、運が悪ければ死んでいてもおかしくないし、顔の傷だってもっと酷いものになっていた訳だしな』


運だけじゃねえよ。あんたらが俺みたいなのを自分の命よりも優先して助けてくれるからだろ?


『利益になるからな。そうでもしないと助ける訳がない』


正論ですなぁ・・・窓原やインにとって俺がどんな利益があるのかは知らないけどな。知ったところでハイそうですか。っていう感じだしなあ。


『———そうだな。・・・む、もうすぐ着くな。シラヌイと言ったな。ちょっと手を出せ』


ちょうど信号で止まったので、窓原は助手席のバッグから何かの錠剤を2粒取り出すと、それを飲料水と共にシラヌイに渡す。


「それを日南休に飲ませろ。そいつの身体から痛みが出るのは、1種の筋肉痛だ。折れたように本人は感じているようだが、こちらが日南休が寝ている間に調べたところ一切骨折が見受けられなかった。そいつを飲ませていれば数日で普通の生活が出来るぐらいにはなる筈だ。病院で処方されたものではない、判断はそちらに任せる」


シラヌイは自分が判断すべきなのかと少し戸惑っているように見えたが、どうなのだろうか?


もう薬は出ているんだ、飲むしかないだろ。変なことがあったら次から飲まなければいい。


軋む身体を動かして飲料水と薬をシラヌイから取ると、それを呑み込み流す。


「・・・・・・がはっ!・・・・・・がふっがふっ」


痛みは走るが、痛みが引くのが早くなるなら多少の無理は構わないだろう。


薬が喉を通っていくのを感じるとまた横になる。


「・・・・・・・・・」


『・・・・・・・・・』


何だよ2人揃ってその冷たい目はさ?悪いかよ?


「何でもない・・・ただ驚いただけだ」


へいへいそうですか。


身体が少し前に引き寄せられて、車が目的の場所に着いたことを知らせる。頭を向けている方の扉が開き何人かの人が俺を掴み、担架に乗せる。シラヌイはそれに続いていく。窓原は1人の女性に、何かを頼んでいるようだ。多分、俺とシラヌイのことについて話しているんだろう。


窓原と女性が頭を下げると窓原は車に乗り込み帰っていった。後処理が残っているからそれをしに行ったのかな?


「いやあ、ボロボロになったね、ナオフミ君」


リーリャさんか?何であなたと窓原———ましてやインと関係があるんだ?あまりインに対してはいい反応してなかったのに・・・。命令だったのか?


「聞きたいことはこっちにもナオフミ君にもあると思うけど、今日はもう休もう。疲れたでしょ?」


一応反応するために、少しでも痛みが少ないように頷く。リーリャさんが分かったと答えるのに少しずれて、担架が動き出した。


ここんところ忙しすぎてまともに考える事もなかった。リーリャさんの言った通り今日は休んで明日に備えよう。


俺は、担架で何処かの部屋の一室のベッドの上に置かれたあと、そのまま眠りについた。

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