第21話_魔族の襲来と仲間の目覚め
「ちょっと待って。ここで詳しく聞くのは止めましょう」
リーンはまだ目を覚まさないカナエを横目にレオンと部屋を出て、隣のレオンの部屋にカーターを連れて行った。
「みゃう。」
まだ寝ているカナエを見守るようにミアが鳴いた。
「それで?魔族が来たってどういうことだよ。」
レオンが焦っているカーターに水を渡しながら詳しく聞いた。カーターは水を一気に飲み干すとカーターは説明を始めた。
「ああ、お前たちがデシラ王城から出て行った2日後に、魔族の国との国境の警備隊から報告が上がってよ、魔族が数百体一斉にデシラ王国へと侵攻していると、だが変なことに村や町への危害は一切なく、どこにも立ち寄ることなく国の中心のほうに向かっていると」
「なるほどな。これまで王が変わってから20年くらいか......
その間は一度もデシラ王国に対してやほかの国に対しても何もしていなかったんだよな......
強いて言えば魔族の国の中の統治で、エルフの国を滅ぼしたり、ドワーフの国を取り込んだりしていたくらいだもんな。」
レオンがカーターの説明に対して、少し考えて直近の状況について、説明をした。
「それで?目的は何かわかっているの?」
リーンがカーターに向けて聞くと、カーターは首を横に振るにとどまった。
「そう...目的が分からないんじゃ手の打ちようがないわね。でもレオンの話をまとめると、魔族の国を平定したから次はデシラ王国を取り込みたいってところかしら。もしくは......いえ...」
そう加えて言うリーンに対して、カーターは一枚の紙を見せながら話し始めた。紙にはこう書いてあった。
『今から1週間後に国王の元を訪れる。我々はそれまでの期間はゆっくりお前たちの国を観察するとしよう。せいぜい残りの時間を楽しむがいい』魔王ゼル
紙をリーンとレオンが見たことを確認すると、カーターはうなだれながら小さい声で話し始めた。
「この一文が送られてよ。俺らの国を滅ぼすつもりなんじゃねえかって。王の元で従うか殺されるかの選択肢を与えてよ。」
カーターはそういうと、リーンとレオンの目を見て言葉をつづけた。
「国王はこれを見て、少し側近と話した後、俺を呼びつけ、リーンとレオンを連れてくるように言われてここまで来た。頼む。デシラ王国のために力を貸してくれ」
カーターは頭を下げてリーンたちにお願いをした。
「......リーン。俺は行くぜ。あんなくそ家族だけど、国が亡くなるのは嫌だからな。」
レオンはそういうとリーンはため息をついて立ち上がった。
「分かったわ。レオンあなたは先に行って、カーター。連れて行ってちょうだい。」
「でも私はここで手に入れた"駒"が起きるのを待ってから戻るわ。1週間後、いえ4日後ってとこね。その訪問に間に合わなければ、ごめんなさい。私も体調が万全ではないの。」
リーンはそういうと、レオンとカーターは出て行こうとした。
「ねえ、カーター。今その魔族の軍団はどのあたりにいるの?」
「詳しくは分かんねえけど、数百体の魔族が入れるとしたら、南門だろうからその付近にいるんじゃねえかな。」
そう言うと、カーターとレオンは部屋から出て行った。
(紙に書いてあることを考えると、カーターの推測は間違ってはいない。
でも......どこにも被害は出ていない。
普通はわざと火種を作ってから行動するはずよね。
屈服させるつもりはないけど何かをお願いしに来るっていう可能性もあるかしら?
でもそれなら数百体の魔族と来る必要はないわね。)
そうリーンが考えているとあることを思い出して、急いでカナエが寝ている部屋に戻ってあるものを探した。
(......あった。あのおばあさんからもらったカードにゼルって名前が......)
(名前:ゼル、場所:不明、状況:いまだに悩める魔族、性別:男性、秘密:クリーチャーの召喚)
「まあ、後はカナエの目が覚めるのが先か、魔王が王に会うのが先かってとこね。」
そうつぶやくと、ミアの頭をなでてほしいもを食べ始めた。
(......タイムアップね。今から行っても半日遅い到着となりそうね。
でもレオンを回収しないとだから、どっちにしてもカナエが起きたら向かわないと)
そうリーンが思っていた矢先、カナエの目が覚めた。
「あれ、私、、何でここにいるの?」
目が覚めたカナエは隣で本を読んでいるリーンに声をかけた。
「あら、起きたのね。私も一昨日目が覚めたところ。10日くらい寝ていたらしいわ。病み上がりで悪いんだけど早速デシラ王国へ向かう用事が出来てしまったわ。
そこにあるほしいもでも食べて栄養を取った後にすぐ出発するわよ。」
そういうリーンにカナエは少し戸惑いながらも了承した。
「わ、分かりました。急いで用意します。それと......私を助けてくれて本当にありがとうございました。その......私の”秘密”は......」
カナエがリーンに秘密を伝えようとしたとき、リーンはこう言った。
「...私は分かっているから改めての説明は不要よ。そしてレオンにも言っていないわ。レオンに伝えるとまた暴走しかねないから。」
カナエは頷くと、リーンの方を向いてベッドの端に座った。
「その本、魔族の歴史。魔族の国に動きがあったんですね。
私、デシラ王国への最短ルートは、ワコル様から逃げようとしたときに何度も調べているので分かります。
少々歩きにくいですが、通常のルートよりも1日は早く着きますので、その道で行きましょう。」
そう言いながら、リーンとカナエ、ミアは部屋を後にし、急いでデシラ王国へと向かった。
続く
次回更新:8月2日(日)18:30




