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世界中の能力を喰らい尽くす偽りの遊戯~とある終末の観測者より~  作者: 古谷 怜
第一部_第一章_リーン編

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第18話_真実を見せる嘘と確信した表情の死

「な、なんだあいつ。2滴も毒を飲んでおいて、なんていう表情をするんだ。これまで殺してきたやつらとはわけが違う。」

 驚くワコルを横目に4回戦は始まった。


(まずは、どの人に魔法の秘密が移動したか、はっきりさせないとね。ここまでで分かったこととしては、ワコルが秘密の種類を誤認させることができるってこと。そして、それをするためのトリガーは、対象者の体に触れること。短時間で秘密のカテゴリを変えるには、血管が多く集まっているところから魔法を流して、すり替えているってところね。)

(そうであれば、ワコルが対象者に触れることが最大のNG。でも私が選択した後、ワコルが連れて行ってしまう......逆転の1手をつかむためには......)

(嘘、そしてあの息子から奪った、増幅......やってみようかしら。)


「ねえ、ワコル。あなたにお願いがあってね......私が指を差した人をあの魔具の元に連れて行ってほしいの。お願いできるかしら?」

 リーンはワコルに対してこう言うと、何か考え事をしていた。

(もしかして俺の秘密に気が付いたのか......それともまだ確信はしていないのか。まあよい、どっちにしろ間違えて3滴目の毒を飲んで死ぬだけだからな......)

「死ぬ直前の最後のお願いだからな。俺は優しいから聞いてやろう」


「ふふ。ありがと。じゃあ、あの人を魔具のところまで連れて行ってもらおうかしら。」

 リーンはそう言うと魔具から一番遠い女を指さした。


 ワコルは勝ちを確信したかのような表情で指をさした女の元へと歩き出した。

(何を血迷ったのか。こいつは何も秘密を持ってはいない。俺が秘密を使うことなく、連れて行って魔具に手をかざさせればお前の負けは決定する。)


 ワコルが女を連れて魔具のほうに半分くらい歩きだしたタイミングで、息子の方から、声が聞こえた。

「黄色だ。せ、正解です。」


 ワコルの思考が停止した。

「な、何が起こったのだ......お前がこの女を指さして、俺に連れてくるように言ったんじゃないか......」

 ギャラリーにいる人全員が、ワコルの動きに対して完全に同意しており、何が起こったのかが分かっていないようだった。


 リーンは微笑みながら、こういった。

「そんな事実どこにあるのかしらね?幻覚でも見ていたんじゃないの?何が起きたか、レオン説明してもらえる?」


 レオンは、ただただ驚いていたがレオンが見ていた事実を全員の前で伝えた。

「あ、ああ。俺は、リーンがワコルと何を話していたのかは分からねえ。ワコルは『この人は違う』って言った人のもとに近づいて行った。そしてリーンが『この人』って言った人を俺は魔具のところに連れて行っただけだ。それで、ワコルの息子もその理解のはずだぜ。何かおかしいかよ......」

 魔具のところにいた、ワコルの息子もレオンと同じ反応をしていた。

「おやじ、俺もこいつが言っていることと同じふうにあの女から確かに聞いたぞ......まだ2人目だし、女のところに行くのはおやじがよくやってるから、特に変だとは思わなかったんだ......」


 レオンとワコルの息子の反応を見て、リーンはワコルに確認した。

「確かに、魔具の反応も黄色だし、あなたの優秀な息子さんもそう言っているわよ。私が嘘をついているなら、息子さんも嘘をついていることになるわね。そんなことはないと思うんだけど......」

「残念ね。ワコルもギャラリーのみんなも都合のいいような夢を見ていたんじゃないのかしら?」


(全員のノイズが疑問だけだったのが、この一言で、殺気に変わるのね......この秘密の組み合わせ面白いじゃない。)


 そう言うとリーンは最後の一人を探し始めた。


 驚いていたワコルが、急に手に取っていた女から乱暴に手を離した。

「なんだよお前が悪いんだからな。後でお仕置きだからな。覚えておけよ。」

 そう言い切ると、女は恐怖、生への執着のノイズが強くなった。


(......あと一人ね。これまで省いたのは4人。この残り6人の中から1人を探さないといけないのね。。でもさっきワコルが触っていた女は確信をもって移動させていた。ってことは、魔法の秘密を持たないってことよね。だとすれば、残りは5人。少し揺さぶってみましょうかね。)


「ねえあなた達って、何でワコルのところで奴隷をやっているの?もし魔法の秘密を持っているなら、奴隷なんてめんどくさいこと誰もやりたがらないでしょ?」


 そう言うと、5人の奴隷からは、諦めのノイズが聞こえてきた。そう。それは、初めてカナエにあった時にもうっすら聞こえていたノイズだった。


(全員が諦めのノイズ......ね。これじゃあまるで、全員が秘密を持ってないみたいじゃないの。)

 リーンは回答がないことを不思議に思いながらも続けて考え始めた。


(”全員”が同じ反応......さらにこの5人もカナエの中にもあった感謝の感情も少し透けて見えるわ。確か彼女は最初は救われた......と。それはこの国では魔法の秘密を持たないものをごみのような扱いをしているからって言ってたわね。ってことはそもそも2人しかいないって可能性はないかしら......でもワコルは認めるわけがないわね。。そうと決まれば、”賭け”ね......)


「ねえ、ワコル?あなたはこの中で魔法の秘密を持つものを知っているのよね?最後はあなたの良心にかけるわ。一人を魔具の元に連れて行きなさい。」

「レオン。カナエ。後はミアを頼んだわね......」

 リーンがそう言うと、ワコルは喜びながら、魔具の元に一人連れて行った。

「不正解。透明だ。」


「俺に良心だと?そんなことあるわけないじゃないか。なぜ俺を信用したんだよ。笑えるぜ。さあ、3滴目の毒を飲んでそのまま死にな。」

 そう言われると、リーンは3滴目の毒を飲んで、ワコルの目の前で血を吐きながら倒れた。


「おい、リーン」

 レオンから血の気が引いて、獣のような目でワコルを睨みながら、彼の目が赤く染まり始めた。大気が震え、周囲のギャラリーが呼吸を忘れるほどのプレッシャーが放たれた。


「はははは、そもそもこの10人の中には2人しか魔法の秘密を持つ者はいなかったんだよ。なんでそれを最初に確認しねえか不思議だったんだがな......」


 レオンが剣を持ち、魔人のごとく切りかかろうとしたとき、リーンの手が微かに動いたのを確認したところでレオンの目が元に戻っていった。

「やっぱり......そうだったのね......思った通りだわ。」



 続く。

次回更新:7月30日(木)18:30

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