第11話_暴走した赤目とこれから
ミアがレオンの大剣に触れるか触れないかのところで、レオンの動きが止まった。
「ぐあああああああああああ」
レオンは変わらずまるで獣のように吠えている。だが、ミアの前には見えない壁があるかのような感覚がレオンに伝わったのだ。
「みゅー」
ミアがそう鳴くと、レオンが持っていたはずの大剣が浮いて、小さくなった後、ミアの体の中に吸収された。
剣がなくなったのを確認したレオンは、動物的な本能で、ミアの前から姿を消して、すさまじい速度で出口を駆け抜けた。
『秘密:「硬化」を取得しました』
『秘密:「感覚遮断」を取得しました』
『秘密:「〇〇」は取得できませんでした。』
ゴンッ......レオンの頭に衝撃が走ると、そこには剣の柄の部分を構えたカーターがいた。
レオンは眠るように倒れこむとカーターは肩を組んでレオンを支えていた。
「ふう、危ない、一般人にも被害が行くとこだったぜ......」
「お前焦るとこの最短ルートを通るからな。それにこの速度だ。これにぶつかれば脳震盪起こるだろ」
カーターはそう言うと国王がいる部屋を指さした。
「ゲームは俺らの勝ちだぜ」
「ふん。こんな結末になるとはのう......」
国王はそう言うと、キッと長男と長女のほうを見た。
「分かっておる。こんな異端児2人が組み合わさっては勝てるものも勝てぬわ......
いいから、あいつらを拾ってこい。」
リーンは眩しいシャンデリアに目をかすめながら目を覚ました。
ふかふかのベッドと温かい部屋、外は暗く雨がザーザーと降っていた。
「ああ。ここは王の客間かしら......ということは私たちは負けたのね......」
「何を勘違いしている。俺らは勝ったんだよ」
隣の椅子に目をやると、カーターがなぜか落ち込みながら椅子に座っていた。
リーンは隣のベッドに目をやると、レオンがまるで悪夢を見ているかのようにうなりながら寝ていた。
「ねえ、カーター。何があったの?」
カーターは首を横に振りながら答えた。
「俺にもよくわからねえ、ただ、あんたが何かをしてレオンを出口まで送った後によ、昔、レオンを捕獲したエルドってやつと戦ったんだがよ......」
「そこからはわしが話そう」
そう言うと、デシラ国王が部屋に入ってきた。
「......まさか、わしの完璧な盤面が、あんな猫1匹に崩されるとはな
カーターから聞いたかもしれぬが、おぬしらの勝ちじゃよ。それは変わらん。」
続けて、レオンについてこう語り始めた。
「レオンはな、小さいころから知略の能力の才能はなく、ずっと武力を磨いてきたんじゃ。わしはそれを気に食わずに冷たい対応を取っておった。じゃがしばらくしてから、レオンの秘密をカーターは見てしまったんじゃ。まるでバーサーカーじゃと。」
「そこでわしは、秘密が暴走しないようにエルドに指示して閉じ込めたんじゃ。でもお前らが来て、レオンを脱出させてしまった。そのあとは、エルドというやつと出口の手前で殺し合いをさせたんじゃが、エルドが降参を宣言してもレオンは止まらなかった。そこに突然ネコが出てきてレオンは人を殺さずに済んだんじゃ。」
そう言うとリーンはベッドの中でゴロゴロしているミアを見つけた。
「あなたが助けたのね。えらいわね。」
そう言いながら、リーンは、国王に厳しい眼光で伝えた。
「あんたって、国王としてだけじゃなくで親としてもクズなのね。言い方悪いけど、レオンが暴走しないように彼の基礎能力を向上させることをしていれば、こんなことにはならないんじゃないの。何が知略の国よ。聞いてあきれるわ。従わせるだけではなく、国の中にある力を生かすことこそ最たる知略だと思わないの?」
そうリーンに言われた国王はこう返した。
「ふん。小娘が......おぬしのようなものに何が分かる......」
「レオンが起きるまではこの部屋を使ってもいい。あと約束は忘れる出ないぞ......」
そういい、国王は部屋を出ていった。
(やっぱり、私だけでは......)
しばらくするとレオンが目を覚ました。
「あれ、俺......エルドのじいさんに殺されかけて......」
そう言うと、カーターは続けてこう言った。
「そう。でも生きているということはそういうことだ」
カーターはレオンの頭を小突きながらそう言った。
「そうか。俺はまた、暴走を......みんなすまねえ。俺が暴走したばっかりに、ゲームに負けてしまって......」
そう言うと、カーターは笑いながら答えた。
「何でお前までリーンと同じことを言うんだよ。何回俺にゲームに勝ったって言わせるんだよ。」
「そう。暴走したお前が出口を突破したんだよ」
続けてリーンも笑いながら答えた。
「そうらしいわよ。私も秘密を限界を超えて使って倒れたらしいから......」
少し談笑をしていたが、リーンがふとカーターに声をかけた。
「ねえ、カーターあんたはこれからどうするの?」
「迷宮の中でレオンには私の駒になって動いてくれるって了承を得たんだけど......」
カーターは驚きつつも言葉を詰まらせながらこう言った。
「......レオン。いいのか。お前の夢の武力の国へ行くのは当分時間がかかりそうだけど」
「んーー。まあ。いいよ。別に剣の修業は続けられそうだし、なんか面白そうだしな」
レオンは笑いながらカーターに答えた。
「そうか。まあ、私は実はこの国の守衛としてまた、雇われることになった。東棟は俺、西棟はエルドが中心となって守衛団を作ってほしいとさ......もともとレオンが助かれば何でもよかったからよ。拾われて感謝している部分もあるんだぜ」
カーターはバツの悪そうな顔をしていたが、続けてこう言った。
「国王たちがお前らが出口に言った瞬間の空気や顔が面白かったんだぜ......こんな感じにな」
そう言うと、当時の国王の顔を真似してまた談笑に戻っていった。
「それじゃあ、行きましょうかね。カーターも知略の国なんだからもう少し勉強しなさいよ」
笑いながら言うリーンにカーターは焦った表情を浮かべた。
「それで次はどこに行くんだ?」
レオンがそう尋ねると、リーンは情報が書いてある3枚のカードを取り出した。
「そうね。この中から一枚選ぼうかしら。」
そう言うとリーンはカードの中から貧困の感情が読み取れるカードを選んだ。
情報にはこう書いてあった。
(名前:カナエ、場所:デシラ王国とカナレレ王国の間、状況:奴隷として町の人を騙している。性別:女性、秘密:秘密を持たない?)
「次はカナレレ王国に向かいましょう。長旅になるから、気をつけようね。」
そうリーンが言うと、レオンは複雑な表情をしながらこう言った。
「カナレレ王国か......何度か俺もあったことがあるけど、気に食わんな。魔法とやらが全ての国らしいからな。」
「まあ、国王に会うわけでもないから、町の雰囲気とかは、分からんし行ってみるとしますか。」
「じゃあな、カーター。またなんかあったら教えろよな!」
旅立とうとしているリーンたちにカーターは焦ったように伝えた。
「もう、夜も遅いし、今日はここに泊まって明日出発しなよ......後、お金ここに置いておくから使ってくれ」
「そうね。気が付けばもう夜中ね。このままお邪魔させてもらいましょう」
リーンたちは、見慣れないシャンデリアなどを眺めながら眠りについた。
続く
次回更新:7月23日(木)18時30分




