見つめなおす仕事
正直言うと、嬉しかった。
1冊の本。
それは、俺にまつわる記憶。
途中から、案内人の視点が入った日記。
そこには、少し恥ずかしくなるようなことも書かれていた。
優しい。
勘が良い。
褒める言葉。
俺の悪態が心地いい。
一緒にいると、安心する。
思わず顔が火照る。
褒められることに慣れていないせいで、むず痒くなる。
だが、それとは全く違う位置にある、案内人の記憶。
体中が、締め付けられる感覚になる。
あの人が抱えてきたものは、想像を超えていた。
それでも、決めたんだ。
全て受け止めて、いつもの俺でいると。
いつもの様に、掃除道具片手に準備を進める。
奥の方で、何やらおっさん二人は談笑している。
きっと、笠木さんも心配だったんだな。
思わずにやけてしまう。
だって、案内人のあの反応。
まるで、思春期の男の子のようだ。
こんなこと言ったら、「いい大人です!」と怒るだろうな。
「お~い!二人とも、お客様が来ちまうだろ!」
俺は、二人に声をかけながら、ポスター用看板の埃を落としていく。
すると、ギシギシと扉が開く。
笠木さんは、ものすごい勢いで映写室へ走っていく。
案内人は、モノクルをかけなおす。
そして、俺は襟を正して迎える態勢に入った。




