6作品目 明演
なんだか、気恥ずかしい。
あれだけ、盛大な記憶開示をしたせいかな。
見習いと顔を合わせると、泣きながら語り合ったことが呼び起こされる。
「ん?どうした?」
はたきで、埃を払いながら見習いが声をかける。
何事もありませんって顔をして……。
すこし、ムッとしてしまう。
「いえ、何でもありません。」
「そうか。まぁ、今日も精を出して頑張りますか。」
「確かに、魂だけの存在ですしね。」
「だから、そういうのはやめろって!」
鋭いツッコミだ。
前は嫌そうだったのに、今回は少し嬉しそうな気がした。
何となく分かったこと。
それは、私が死んだ理由。
私だけでは分からなかった。
しかし、見習いのお陰で少し整理ができた。
見習いが言うにはこうだ。
「戦争中、沖縄で誰かを守って死んだ。」
だが、肝心なことはまだ分からないまま。
彼女は誰なのか?
軍服の男は?
何より、自分は?
まだ、分からないことだらけだ。
そして、見習いとした約束。
「名前を呼べよ!」
感情に身を任せてしてしまった。
本当に、呼べるだろうか?
少し胸が痛む。
隣から、ガハハハッとうっとおしい笑い声が聞こえる。
「おう!元気になったようで何より。」
この豪快な声の主は、タヌキ親父。
映写さんだ。
「なんです?珍しいですね。」
反射的に、ぶっきらぼうな返しをする。
「なんだよ~。可愛い愛弟子の様子を見に来ちゃダメなのかい?」
私は、わざと聞こえるように溜息をつく。
「映写さん。彼に私の部屋を見せましたね?」
「まぁ、そろそろ知っても良い頃合いだと思ってな。あ、勝手に悪かった。」
「その、ついでに謝る感じ。やめてください。」
「良いじゃない!でも、どうだった?」
ふいにくる、やわらかい問い。
こういう所が、好きになれない。
「おかげで、少しだけスッキリしました。」
「そうか。」
いつか、呼んでほしい。
その時は、きっと。
私も呼べるようになれると、今は信じようと思う。
見習いの優しさに免じて。
「お~い!二人とも、お客様が来ちまうだろ!」
威勢のいい、彼の声が館内に響き渡った。




