27/55
0作品目 黎演
汗で布が皮膚に吸い付いてくる。
空気が淀み、息を大きく吸っても、呼吸できている気がしない。
ここはどこだ?
周りを見渡すと、暗くて何も見えない。
両手を前に出し、左右に振ってみる。
何もない。
ただ、湿った空気だけがまとわりつく。
次は、やみくもに歩いてみる。
すると、目の前が薄暗く光る。
そこには、一人少女が立っていた。
顔は、暗くてよく分からない。
だが、モンペを履いており、おさげ姿が可愛らしい。
誰だろう?
私は、きっとあなたを知っている。
「君は?」
思わず声をかける。
しかし、何の反応もない。
近づきたくて、一歩踏み出す。
すると、次は、少女の隣に軍服姿の男性が一人。
帽子を深くかぶっているせいか、やはり顔を認識できない。
少女同様にきっと、私はこの男も知っている。
だが、思い出せない。
「あなた達は?」
私の問いに、応えてくれない。
心が、叫びだす。
たった1つの言葉。
それは、伝えたくても伝えられない言葉。
「死なないで。」
ふたりに触れたくて、咄嗟に手を伸ばす。
しかし、届かない。
失いたくない。
あれ?
でも、何を?
ここは……。
どこだ?




