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ようこそ、ゴーストシアターへ!  作者: 乙葉


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変わっていく仕事

 あの日から、案内人の様子がおかしい。

 いや、もともとおかしいんだけど

 でも、最近は輪をかけて変だ。


 時折、頭を押さえて何かに耐えている。

 酷いときは座り込み動けなくなっていた。

 俺の前では、いつも通りを貫こうとしているが、隠すのが下手になるほど酷いようだ。

 何より、誰が見ても分かる。

 それは、顔色と声色だ。

 色白が青白くになっていて、覇気がない。

 いつも鋭く飛んでくる痛いブラックジョークも、張り合いがない。

 本当に大丈夫なのか?


 記憶に干渉できる力。

 使いすぎると、身体に響くことは最初の頃に教えてくれた。

 だが、見るだけでこんな状態になるものなのか?

 もしかして、「記憶の干渉」は他にもあるのだろうか。

 ピーちゃん様の時も、空気が凍り付いた感じがしたし。

 考えてみたら、俺にいろいろ教えるため、休まず何度も使っているのも良くないのだろうか。

 もし、そうなら無理しないでほしい。


 そして、予想外のことが起きる。

 あんなに嫌ってやりたがらなかった掃除を、自ら率先して始める。

 分が悪くなると、誤魔化すように手を動かすのだ。

 残念ながら、綺麗になっているかというと寧ろ散らかってしまうのが悲しい。


 俺は、案内人の後ろに張り付くように、掃除した後を追って片付けていく。

 なんだよと少し虚しくなりながら。

 それでも、やっぱり心配だった。


 案内人は、誰かに甘えることはない。

 俺より長くいる、映写担当の笠木さんにすらだ。

 考えてみたら、あの日以来会話しているところをあまり見ていない。

 そうなると、ふと思ってしまう。

 不甲斐ないのは重々承知ではあるが、頼ってほしいと。

 まぁ、悲しいぐらい何もできないから、任せろとは言えないが。

 それが、妙に胸につかえた。


「あぁ、なんで呼んでくれねぇんだよ!」

 思わず叫んでしまう。

 だって、見習いって!

 俺には、成見映介って立派な名があるんだぞ!

 奏さんに、映介さんって呼ばれたとき、めちゃくちゃ嬉しかった。

 そして、気づいてしまった。

 そう言えば、呼んでもらったことがないと。

 深い関係とまではいかないが、一応一緒に働いている仲だ。

 仲間として、名前で呼んでほしい。


 そんなふうにむしゃくしゃしていると……。

 その瞬間。


 扉の開く音が、静かな映画館に響いた。

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