4.5作品目 楽演
この映画館には、さまざまなお客様がいらっしゃる。
それは、例外なく。
人や、猫だけではない。
たまに、こんなものまで訪れる。
ギシギシと扉が開く。
すると、豆鉄砲でも飛んできたかのような勢いで、何かが通りすぎていった。
「おい!今の何だよ!」
あまりにも突然すぎて、見習いは尻もちをつく。
私も、顔面に向かい飛び込んでくるような迫力に驚き、よろけてしまう。
「なんか、バタバタいってねぇか。」
見習いは、何かを警戒するように叫ぶ。
確かに、天井から羽音が聞こえる。
私は、ゆっくり上を向く。
すると、翼を全力で前後させる、色鮮やかな鳥がいた。
「ピーチャン!」
なんとも可愛らしい鳴き声。
「これは、インコでしょうか?」
眩しいぐらい純白の羽に、海のように美しく映えるマリンブルー。
優雅さとは程遠い飛び方をしているが、とても愛らしかった。
「見習い。仕事です。」
「なんだ。」
「準備はよろしいですか。」
私は、彼に目線を送る。
見習いは、腕をぶんぶん回し、準備体操をはじめる。
「いつでも来い。」
「では、お言葉に甘えて……確保しますよ!」
「よっしゃー!」
見習いは、ハヤブサのごとき素早さで飛び回るインコを捕まえるため。
箒片手に追いかけっこがはじまった。
これはとある物言わぬお客様の、羽休めをする物語だ。




