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ようこそ、ゴーストシアターへ!  作者: 乙葉


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慣れていく仕事

 本当にいろいろな奴らがここへ来る。

 人も来る。

 猫も来る。

 時には、死んだはずなのに妙に元気な奴も。

 俺は、出会うお客様に抱く感情。  

 これには、何度経験しても、新鮮だった。

 残念ながら慣れない。


 しかし、準備は別。

 案内人からの何気ない質問に応えながら掃除をする日々。

 時折、うざくて悪態を吐く。

 これについては、身体が勝手に動いてくれる。

 それが、月日を感じさせた。


 それでも、未だによく分からないことはある。

 案内人だ。

 最初はあんなに不気味だったのに。

 今では、他愛もないことを話している。

 これが、気づけば当たり前になる。


 新しい日常。


 頭によぎると、少し嬉しくなっている自分がいた。


 三島様の最期の言葉は、衝撃だった。

「だって、こんな世界に救いはないでしょ?」


 やるせない。

 しかし、俺も感じていた感情でもあった。

 かつおぶし様のように、「大好き」と伝えられる相手がいなかった俺。

 相談する相手もいなかった。

 逃げ場所はゲーム。

 何も考えなくて良かった。

 ゲームを介しての、人とのつながりに安心感があった。

 だが、ここへ来て思う。

 俺は、助けを求めたら救ってもらえたのだろうか?

 顔も知らない、画面の中だけでつながった関係に今さらながら思う。

 寂しいと。


 案内人は、不器用ながら俺と向き合おうとしてくれている。

 そう、実感することが多々ある。

 こうやって、きっと知っているであろうことも、何気ないことも、教えろとせがんでくる。

 本当のところ、どうなのかは分からない。

 でも、それが少し嬉しかった。

 生きているとき、こうやって会話をする。

 きっと当たり前のことが、できなかった自分。

 案内人には知られたくないが、ほんの少しだけ。

 まぁ……、感謝してるのかもしれない。


 掃除を進めながら、どうでもいい会話をしていると、ギシギシ音が聞こえてくる。

 お客様がお越しになった合図だ。


 案内人は、モノクルをかけなおす。

 俺は、掃除のときについた埃はないか、払い落とし確認する。


 よし、問題ない。

 扉の方に視線を向けると、俺は思わず固まってしまった。


「え……。何で。」


 そこに立っていたのは。

 何度も、何度も。

 勇気をもらうために聞いていた声の主だった。

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