3作品目 実演
見習いのこの反応。
意外と心に来たようだ。
彼は、少し考えこみながら拭き掃除をしている。
まぁ、もともと純粋な人だから致し方ないかな。
私は、この右目のおかげで、記憶を見て干渉することができる。
なぜ記憶と呼んでいるのか。
それは、感情が読めるとは別物だから。
ある物語に、触れると今何を思っているのか感情を読み取ることができるキャラクターというものが存在すると聞いたことがある。
だが、私は違う。
感情だけではない。
その人が見た景色すら、流れ込んでくる。
だから、記憶なのだ。
私が今まで何事もなく案内できた理由は、この力のお陰と言っても過言では無かった。
しかし、例外はあるもので……。
見習い案内人――映介。
この男は、純粋、素直、裏表がない。
ありがたいことに、表情で全て理解できるのだ。
力を使わなくていいのは、実は助かる。
使いすぎると、激しい頭痛が起きるからだ。
だから、あまり使いすぎないようにモノクルをかけている。
あ!もちろん、お洒落のためだけではありませんよ。
実は、ちゃんと理由があるのです。
かつおぶし様の一件から、少し考え込むようになっている見習いがいた。
まぁ、今まで掃除や雑用ばかりさせてきたからな。
実は、お客様と対面したのは、かつおぶし様が初めてだったのだ。
最初はこうなるものなのかと感動する。
私の時は……。どうだったのかな?
アハハ。あまりにも昔のことで思い出せないや。
いつか、思い出せると良いな。
そんなことをよぎりながら、次の上映準備が始まった。




