真相 6
ラームと二代目の談迷子が、初代談迷子の元に向かった後に、最深部へのシャッターは全て閉じられた。
初代談迷子は、最深部の表層にいたようだ。
また多くの風魔も向かっていた。
ガルムも心配そうにラームに随伴している。
表層の会議室エリアに初代談迷子は20名ほどの子供達を連れていた。
その会議室には焼き焦げたような死体。
「あら、懐かしい。」
「なぜここにいるの?」
「貴方も談迷子でしょう。だったら目的は同じね。」
今更の質問もする。
「なぜ若いの?」
蛇が巻き付いた杖を見せる。
「アスクレピオスの杖で少し若くなったみたい。おかげで焼肉もたくさん食べれるようになったわ。」
風魔が会話途中にもかかわらず、一斉に飛びかかる。
しかし、不思議なことに、重力が強まったように、地面に落ちた。
「重力使いの力。なぜ、こんな魔法使いみたいなことができるの?」
「インドでね、少し修行してね、後は山でも稽古したわ、滝に打たれたりして。」
「雷蔵さんみたいなことを言うのね、少なくとも人を殺した理由ではないみたい。」
初代談迷子は目的を簡潔に話した。
「貴方のこと、大切なのよ、だから邪魔はしないでほしいけど、談迷子同士が出会ったら、逆さ桜の間の争奪戦になるのも当たり前かしら。」
人を殺していなければ、二代目談迷子も話をしたのだろうが、この姿は異常すぎる。
風魔が一瞬でやられたのだ、二代目談迷子は自分との戦力差で戦いになるかを考えている。
そのとき、照明が落ちた。
視界が失くなったのに乗じて瞬間電子使いラームが銃弾を初代談迷子に打ち込んでいた。
その次の瞬間にはガルムが飛びかかり、首筋に牙を突き立てた。
「ちょっと、人の母親に何をしてくれるのよ。」
照明が非常灯に切り替わる。
ラームが通常証明を落としたのだ。非常灯は別系統のため制御が難しい。
「お前が難しそうだから、俺がやった。それだけだろ。」
完全に致命傷である。首から血が吹き出しながら、座り込んでしまった。
なぜか、後ろの子供が一人、二人、最後は四人と倒れる。倒れる子供を別の子供が支える形である。
「見事な、さすが電子使いラーム、久我流の娘なんかよりも、かえって残酷で残忍で無駄がない。」
いつのまにか首は止血され、ゆっくりと立ち上がった。
二代目談迷子は後ろの子供の安否が気になるようだ。
「心配しないで、あの子達は少し力を使いすぎただけ。寝ているだけよ。」
警報が鳴り響く。岸田の声だ。
「中層と表層の間を緊急事態によりロックする。表層に取り残された船団の兵士は日本政府と連携して帰国するように務めてくれ。」
「ありゃー、あんたらが長いこと足止めしたからロックされちゃったじゃない。」
ラームにしろ、風磨にしろ、船団にしろ、まだ命の保証がされたわけじゃない。
「あんた電子使いラームでしょ、あたしに協力しなさい。」
「何について協力?」
「大連で大規模な作戦があるから、その作戦で、逆さ桜の間の位置を突き止めようとしている。あんたも探しているんだろ。リーダーが坊ちゃんだから、とても心配でね。」
初代談迷子は帰り支度をしている。
「何でそんなわけのわからない計画に。」
「あらじゃあ、なぜ、ここに来たの?しかし、その娘は邪魔だから。」
初代談迷子は杖を振り上げて、重力を発生させる。
その部屋の中の人間は地面に縛り付けられた。
ガルムが動けなくなるほどの重力である。
その後はゆっくりと懐から銃を取り出して、二代目談迷子に向けて撃ち込んだのだ。
また、後ろで子供の一人が倒れた。
杖越しに二代目談迷子の様子を確認する。
「今確認したけど、娘の命は助かるから。まぁ、私の娘だから、どちらかというと、そのうち助けるけど。同じ知識があると、先に到達されるかもしれないから。」
子供達に、倒れた子を離すように指示した。
その後は子供達と一緒にフワリと浮いてどこかへ消えたのだ。
それが、大連に行く前のあらましだった。
【大阪駅前ビル 現在】
雑賀故我は言う。
「初代談迷子は二代目談迷子の知識で、逆さ桜の間に到達できてしまうと考えていた。だから、口封じをした。娘だから殺しはしなかったけど、今も船団の本拠地で昏睡状態にある。」
「それも後で治すから問題ないってこと?」
「そう考えているんだらうね。」
電子使いラームは、それから雑賀故我に勧誘されて大連の作戦に参加したことを語った。
しかし、3代目談迷子は不思議に思う。
「で、貴方、雑賀故我の目的は?」
「強い力に憧れているというか、人間の可能性を探っているというか、強くならないと倒せない人がいてね、その人から逃げながら未知の力を探しているというか。だからできれば誰よりも先に逆さ桜の間に到達したいかな。」
ラームは聞く。
「お前は槇島博士のクローンなんだろ、今回の逆さ桜の間にも因縁はあるだろ。」
「クローンと言っても同一の記憶を持つわけじゃないんだから他人だよ。」
これは事実として、あらゆる変な事件に関与している雑賀故我としてはこの事件だけが特別ではない。
柳生の蜂起を仕掛けたのは雑賀故我だ。
みんなナハト王だけでは作戦が不安なのだろう。
「船団に協力して、逆さ桜の間を探す要素としては、3代目談迷子と、赤い光の発生源、要は問題の位置を手に入れて、ここに戻って来たんだ。岸田にあとはどう接触するかだが。」
青い神の男ウィフが横にいた。
その男を見ながら談迷子は言った。
「まだ説明していないことはあるでしょう。」
ラームはウィフに断りを入れて。
「この男はイグドラシルユニットで生まれた人間さ、もう一人いたけど、それは子供だった。」
ウィフは説明が雑だと自分から説明を始めた。
「私と、もう一人の子供はイグドラシルから派遣されました。イグドラシルは元々地球の戦争を倫理的に管理するためにありましたから。だから、赤い光の発生源を抑える必要がありました。その指揮はもう一人の子供の方が段取りをつけてくれました。」
ラームはむしろ質問をした。
「日陰博士というのは誰が連れて来たんだ?」
「あれは、そこにいる雑賀故我さんがです。研究したいからって。あの人が赤い光を使えるマシーンを作って大連の計画は成功したような感じですね。」
柳生については明らかに私欲であったから、誰も確認はしなかった。
現状は下記である。
柳生←私欲で蜂起。柳生宗千佳によって鎮圧、ラタトスク工業と協調
ナハト王←HEP5にて初代談迷子と協調、自国のエネルギー問題を解決したい
日陰博士←ナハト王に協力、何をしたいのかわからん
電子使いラーム←船団に情報を持ち帰りたい
雑賀故我←逆さ桜の間に行ってめちゃくちゃできればOK
ラームは全部説明した上で言う。
「じゃあ。全てがわかったんだろ。大阪の地下にみんなで潜ろうぜ。」




