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近未来梅田地下街紀行  作者: 川中太一
逆さ桜の間
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大阪城 攻略戦 その5

グラビトンという存在が槇島博士の第一のテーマだった。

地球に対してものは落下する、しかし、なぜ落下するのだろうか。

当然重力が存在するからである。

物と物を引きつけるものを重力と呼ぶ、


不思議である、磁石が引き合うときには磁力です磁場が存在する。

重力の場合はどうか?地球に対して向かっていく力は磁場よりも大きく作用する。それなのに引き合う力場を観測することができないのだ。

これを槇島博士は第三の波と考えた。

その重力の力を操ることが魔法使いの力の原理と考えられている。


【大阪城 地下シェルター】


丸山は倉間に告げる。

「ついに着いたようだ。ナハト王からの援軍の本隊が。南では久我幻魔を撃退した本隊が。」


「久我幻魔を?世界最高峰の部隊だぞ。」


「それも、神には敵わないのだろう。」


「神が援軍だとでも?」


「そう、刀一本、男気一本でなんでもできると思う世界はもうないのかもしれない。」


【大阪城前 本町通り】


魔法使いを二体撃破したところだった。


キョウジは何かがあることに気づいた。

大阪城の南側の広場である。

たくさんの人がいた。


100人?500人?いやもっとである。

それよりも、一人浮いている?


杖を持ったひとが浮いているのだ。

20メートルくらいの高さだろうか。

「生身の人間?」


「キョ、キョウジさん、あの広場の人たち・・・」


「なに?」


「全員が魔法使いです・・・」


その言葉を聞いて、キョウジは直ぐに提案を行う。

「未知の攻撃が来る、部隊に撤退を提案、余計な攻撃はしないように、できるだけ距離を取ること。」


ミメイはその指令を全部隊に伝える。

戦略兵器に近い攻撃をあの浮いている人間がするのだろうか。


---


宙に浮かぶ人はインカムをつけている。

「敵のサーチは済んでいる。味方を巻き込まないように。最初だから、できるだけ派手に、ね。」


そして呟いたのだ。

「ケラウノス」

そう手の杖に言った直後には、雷雲というのは生やさしい、雷の塊が一瞬球になって、そのあとは全方位にはじけた。


UDAのマシーンを一斉に貫いたのだ。

まさに、魔法すらも超えて神の力に近いものだ。


---


イースーチは慌てて状況を確認する。

マシーンは動かなくなっていた。

「おい、無事なやつはいるか?」


応答が返る。

しかし、三体はもうダメのようだ。


「被害が多すぎる。撤退もままならんぞ。」


この戦力差は戦争ですらない。これほどの規模の攻撃に歴戦のイースーチですら、戦意すら消滅していた。


---


ミメイはキョウジに話しかける。

「キョウジさん、キョウジさん、しっかりしてください。」


まだ、キョウジのマシーンは稼働していた。

先程の雷によるショックで気を失ってはいたが。

意識をはっきりするように首を振った。


「どれくらい時間が経った?」


「30秒程度です。」


戦場では、その時間は致命的である。

しかし、キョウジのトドメを敵が刺さないのは攻撃が広範囲すぎたからだろう。

あの一瞬正確な攻撃だったが、キョウジは攻撃の気配を察してギリギリで避けていた。


「味方は撤退できた?」


「わかりません、ほとんどのマシーンは沈黙、最も後退できたマシーンは逃げることができているようです。」


ヴァイオラはよろよろと起動する。

「じゃあ、せめて逃げれるようにしないと。」


「まだ戦うのですか?もう一度あの攻撃が来るかもしれないのですよ。」


「逃げてる間にもう一撃食らったらアウトだよ。あれも魔法使いの攻撃なら、ダウンタイムがあるはずだ、それに、あの宙に浮いてる人間に攻撃をできるチャンスはもうないかもしれない。」


もう、戦争ですらない、そうミメイは感じている。

敵は時間が来たら雷を放つだけでいいのだ。

周りの景色を見ても、綺麗であり、とても無差別には見えない。

敵は環境を破壊せずに15体はいたUDAのマシーンのみを正確に破壊したのだ。


---


シャオミは聞いた、あれが貴方達が探していた力?

青い髪の子供は答えた。

「違う、出力は凄まじいが。おい、子供、何か知らないか?」


重力使いの子供は答える。

「語迷子先生の魔法の杖。あんな大規模に使ってるのは見たことがないけど。」


「マジックワンド?あれも魔法使いの力ということか。」


「くわしくはしらない、言う通りの見た通りだとは思う。」


シャオミは迷っている。キョウジの支援をするかどうかを。

目の前の味方はどう見ても劣勢である。


---


キョウジは息を整える、手の指が、瞼が、匂いを感じることを確認する。

次にヴァイオラの動きを確認する。

戦いに赴くには問題がないようだ。


ミメイに言う。

「魔法使いの反応は?」


「変わりません、大量に反応しています。たぶん、あの飛んでる人に力が集中していっているように見えます。」


多分としたのはこのような現象を観測したことがないからだ。

ミメイはおそらく飛ぶことで力を集めやすくしているのではという。


「その反応に向かい、支援攻撃の準備を。できればヘルファイアを使って。


「人に向かってミサイル攻撃なんて倫理に反します。」


「危険な兵器に向かって使うんだ。」


その通信を聞いて、三谷秀一はすぐに攻撃を承諾した。


「キョウジさんはどうするのですか?」


「僚機の逃げる時間を稼ぐさ、人が死なないように戦うのは倫理的だろう。」

これは嘘である、もし、あの敵を倒すためとミメイに言うとマシーンを強制停止させられる可能性があるからだ。


「自己犠牲は人道的ですが、倫理的ではありません。」


「勝てるようなら勝つさ。とりあえずは勝つための指示をお願い。」


すぐにヘルファイアが、降り注ぐ。

爆炎が大阪城の広場を包み込んだ。

しかし、先程の黒いマシーン同様になにかバリアのようなもので阻まれて、被害は出ていないようだ。


ミメイは言う。

「すべての力場は、あの宙に浮く人の杖から力が出ているようです。」


「解析ありがとう。」


とても大きなライフルを載せた軍用のバイクがキョウジの後方から近づいてくる。

シャオミである。

通信から声が聞こえた。

『キョウジくん、やる気なのね?』


「ここでやらなきゃ後方まで全滅だよ。やるしかない。」


『多分、何度もチャンスはない。協調して攻撃しましょう。』


「了解。」


ミメイは困惑している。

シャオミはマシーンにすら乗ってはいない。

困惑と混乱の中、キョウジからちゃんと指示を出すように受け、いくばくかの作戦を立てた。


---


三谷秀一は聞き直す。

「なんだって?」


簡単に言うと魔法使いが500名以上いて、とんでもない威力の攻撃を放っている。

そこにヘルファイアを撃ち込んでほしいという要請だけ。


日創に依頼して、ヘルファイアを大量に発射する。

キョウジからはあるだけ撃ち込んでほしいと伝えられた。

それほどの難敵なのだろうか。


---


「じゃあ、行くよ。」


シャオミはその言葉を聞いて了解と返す。

シャオミのバイクはそのまま、本町通の直上のバイパスに上がっていった。


「あなたはどこに行くのですか?」


その言葉に回答しないまま、キョウジはヴァイオラを敵に向けて真っ直ぐ進めた。


---


宙に浮く人、重力使いが談迷子と呼ぶ人は不思議に思う、真っ直ぐに突っ込んでくるマシーンに。

インカムでヴァイオラの情報を聞き出す。

「なるほど、あの子が所属してたチームの関係者なのね。」


杖に再び雷が集まり、攻撃の準備をしている。

攻撃を待たずにヴァイオラがデュアルレールガンを撃ち込んだが、それはバリアのようなもので弾かれた。


--


500人からの魔法使いと、宙に浮かび、雷を纏う姿、その神話の光景を見たミメイはキョウジはもう助からないと確信した。

その後、すぐにヴァイオラは機能停止し、崩れ落ちた。

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