大阪城 攻略戦 その1
【大阪城 天守閣】
柳生の番頭である、丸山は、柳生の代表が柳生宗千佳に変わったことを、公共放送で知ったのだ。
あんな小娘が、倉間すら押さえ込んで柳生宗家を倒したと。
今では、柳生宗千佳が宗家となっている。
しかも、この状況はなんだ、生駒山脈を超えて、UDAの部隊が展開している。
すでに肉眼でも見える範囲に到達している。
救いとしてはUDAの部隊は人数が少ないことだ。
丸山は決めかねている、柳生二十三人衆も何人かは位置されている。
戦力としては敵を圧倒的に上回っている。
なんなら、ナハト王の部隊と合わせると、日本全てを相手にもできるだろうか。
柳生宗千佳についていくべきか、それとも、柳生宗千佳を打ち取って、旧宗家を救出して柳生を立て直すべきか。
思案していると、誰かが尋ねてきた。
二十三人衆筆頭の倉間である。
「丸山さん、武装解除をと、新宗家から連絡がでていたはずだ。なぜ、それをしない?」
「裏にはナハト王の部隊がいて、ここで裏切ると、両面から攻撃されるのだよ。とっとと、新宗家がナハト王を倒してくれればいいのに。しかも、南からは久我幻魔の部隊も迫っているのだ。」
倉間は繰り返した。
「それとは関係はない、武装解除が目的なのだから、ここを放棄して、京都に移動すればいい。新宗家は今でも京の支配権を手放してはいないのだから。」
「それは理屈だな。日本軍、UDA、久我幻魔、ナハト王、下手すると全てから狙われることになる。」
倉間は丸山にわかっていないと言う。
「このままだと、柳生新宗家も、その勢力にくわわるだろうさ。」
「どうすればいいと?ほれ」
その指先ではUDAの大阪城攻略が始まった。
双眼鏡を使うまでもなく、天守閣からその様子が観察できる。
「始まってしまった、とりあえずUDAの勢力を蹴散らして、京都に合流しますかな。」
これは強がりではない。久我幻魔のチームを和歌山で足止めできているのは丸山の采配の結果である。
やったことは、地雷原とコンクリの防御柵の設置と、縦深防御であるが、ナハト王の逆さ桜の間到達までの時間を稼ぐとすれば有効であった。
少し想定外であったのはUDAのマシーンが一体のみ突出していた事であったことである。
塗装はUDAのカラーではあったが、マシーンは連合のヴァイオラである。
【UDA 布施本営】
生駒山を越えたところにUDAの本営はあった。
ドラム缶に薪を入れて暖を取っている。
「驚いた、薪ってあったかいんですね。」
「遠赤外線というやつだろ、イグドラシルのエネルギーからのヒーターとはだいぶ違うだろうな。」
連合から、離れてUDAに合流した、三谷秀一と、UDAの将校の日創少尉はわりとうまくやっていた。
「裏切った道士連が石山のルートから大阪に向かったけど、先に大阪に入ったのは結局こちらの方が先になったね。」
「伊賀、生駒山上と真っ直ぐなんなから、そりゃ早いだろ。」
「それはそうですけど。」
真っ直ぐに来るほど敵は多い。
そんなことは当たり前である。
しかし、幸いなことに、ナハト王はほとんど柳生に任せていたので、厄介な黒いマシーンは見かけなかった。
「京都の柳生で反乱だってさ。」
「さっさと京都の支配権も放棄したらいいのに。」
「日本軍と和解してからだろうね。交渉してから解放。」
実は放棄していないのは、久我天根の助言であった。
この意味は後でわかることになり、大きな意味を持つことになる。
三谷秀一の目的は赤い光のエネルギー源の破壊である。
しかし、連合は命令をした中将が別の動きをし始めたので、敵のUDAと組んで任務を継続している。
「戦力が絶望的に足りない、UDAはやる気ないのか。」
連合や、UDAからすると、ナハト王のマシーンはキルレシオが違いすぎる。
全方位からジワジワと締め落として、食糧から攻めるのがいいが、全方位できる戦力もないし、おまけに、道士連が離反している。
「平野川の防衛ラインを割れば一気に大阪城だよ。」
「そううまくいくかな。」
UDAの兵士から二人に報告が入る。
『白州キョウジのヴァイオラが難波離宮に到達、とのことです。』
二人は目を合わせる。
平野川を越えて、大阪城の付近まですでに肉薄している。
「突出しすぎだ、待たせろ、大阪城への攻撃は。」
『それが、すでに攻撃をはじめたようで。』
【難波離宮】
難波離宮は大阪城から少しだけ、南側。
土地が広く、柳生の仮設基地となっている。
その基地をキョウジは燃やしていた。
ラタトスク工業の戦闘倫理アドバイザーのミメイは通信越しに慌てている。
アドバイスを全くキョウジが聞かないのだ。
「キョウジさん、この作戦はUDAとして参加しているのですから、もう少し周りと協調すべきです。」
「協調なんかしていたら、大連の黒いマシーンが出てきて、こんなに進むことはできなくなる。どうせ、黒いマシーンにはUDAは歯が立たないんだから、進めるうちは進むんだ。」
喋りながらフレームスロワーで、食糧庫を焼いていた。
大連の時はなかった兵装である。
大きなタンクを背中に積んでいる。
「そもそも、火炎放射器なんて兵器を使うなんて、これはイグドラシルに報告させてもらいますから。」
「この作戦は時間との戦いなんだろう。だったら、手段なんてどうでもいいんじゃないか。」
フレームスロワーは、大きな火を放つが、マシーンに対してはそれほどの威力を持たない。
しかし、このように物資を焼いたり、人に恐怖を植え付けるには効果的なのだ。
そもそも、マシーン戦でこのような兵器は用いられることは少ない。
背中のタンクもわかりやすい弱点でもある。
「新たな敵影です。三体。これは大連の黒いマシーンです。」
その言葉を聞いてフレームスロワーのタンクの切り離しを行う。
「ここからが、やっと本番ってことね。」




