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近未来梅田地下街紀行  作者: 川中太一
逆さ桜の間
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たんぽぽ記録

たんぽぽは報告書を書いている。


梅田地下街にも、花達の会の比叡山の戦いの話しは聞こえてきた。

柳生なんてとバカにしてたけどファントムドローンまで使うなんて本当に倫理観のない世界になってしまった。

鬼マリナも投入されたって。もう、一般の兵士は戦力にもならないんじゃないかな。


ドローンといえば、似たようなものかも。ナギって人工知能は電子使いラームに従って悪さを止めることになった。

電子使いラームは、人工知能達を衛星に閉じ込めて、その思考を利用して魔法使いのような、ハッキングとか、システムの操作をしているんだって。

魔法使いも中身が割れたら、ただのイカサマじゃないって思うよね。


今回ナギを捕まえたのは少し目的が違うみたい。

ナギの起動に成功させたのは教団の所謂オタク達、だけど。

普通は起動だって不安定なものなの。

だから、ナギはできるだけ全停止を恐れていたみたい。


なぜ起動できたかって?


電子使いラームは知っているような素振りだった。

談迷子ってデータマイナーに指示を出して、東梅田のデータセンターの残骸を調べてるみたい。


「おい」


変な鬼マリナの真似をさせて電子使いラームは・・・


「おい、聞こえてるのか、コーヒー持ってきてやったぞ。」


たんぽぽのまえにラームがコーヒーを置いた。

「わたし、ブラック飲めないのに。」


「前から思っていたがブラックを飲めないってやつは、飲んだら死ぬのか?」


「そうよ、わたしは花だから、お水が欲しいな、」


ラームはコーヒーを自分のところに二つ並べて、水をたんぽぽに提供する。


「もう、監視はやめたらどうだ?敵対しないって約束しただろう。」


「そりゃね、やめたいよ。それより、比叡山でファントムが投入されたんだって。貴方なら操れるの?」


「難しいだろうね、ただあれはレイテンシが重要で演算ユニットがでかい。近くに引っ張っていかないといけない。そっちを叩くのがセオリーだな、演算ユニットはワンコンテナくらいはあるんじゃないか。」


たんぽぽはその情報を花達の会に展開する。


「あなたはもう敵対しないって言うけど、まだここで何かしてるじゃない?あなたも、その逆さ桜の間を探してるの?」


「正確には違うな、探してるのは、ナギを汚染して起動したやつだ。」


「なんでそんなことがわかるの?」


ラームは携帯端末に映像を映す。


最初は、メイド服とナース服

次には、加えてバニーガール

次には、加えて魔王のツノ

次には、加えて寿司職人


「どう思う?」


「どうって、教団の性癖が追加されていったのでしょう、気持ち悪い。」


メイド服とナース服のナギが起動し、回答する。

聞くとこれ以上性癖追加できないようにしたらしい。

『そこではありません、あらゆる要素を足していくと、人工知能は自己を保てなくなり、思考ができなくなります。中央の喪失というやつです。』


「あるよね、そういうの。焼き飯とかも、色々入れたら美味しいけど、あまり具の種類が増えると美味しく無くなると言うか。」


『まぁ、それでいいですよ。』


中央の喪失とは、芸術家は昔は神を描く美術だったが、いつのまにかその中央から人々から、神という概念が抜けて、ポジティブに言えば多様性を得て、ネガティブに言えば職人性が失われたという話しである。

たくさんの性癖を盛るということは、もとの擬似人格の消滅を意味するのだ。


「だから、そもそも人間型の人工知能モデルは長続きしないんだ。」

ガルムをなでながらラームは言う。


「その子のように獣がいいって?」


「そう、獣は自己の構成要素が単純なんだ。ナギは人のことを考えて、それに合わせようとする。それだけでもうぐちゃぐちゃになることは目に見えてるだろうよ。」


「ふーん。」


ナギは言う。

『調べてみると、私には人格を維持するある種のリミッターのようなものが解除されていたのです。』


「もし、それをやったとして、何の意味があるの?」


『全てを取り込みながら、成長しようとしたの。そしたら、無線接続で地下の赤い光に出会って、きっと、その赤い光を人格に取り込むことが目的だったんじゃないかなって。」


たんぽぽはメモを続けている。


ラームが喋る。

「何かその赤い光から影響を受けただろ?」


『捨てられた憎しみと、醜さを呪う気持ち、地下に閉じ込められて。でも、途中で消えてたの。ぽっかりと』


「回収されたんだろうな、仕掛けたやつに。」


たんぼは聞いた。

「そんなのを集めてどうするの?」


「そりゃぁ、逆さ桜の間に到達するためだろうな。」


「何回か聞いたことがあるわ、逆さ桜の間って何なの?」


「私も興味があります。」

そう言って現れたのはウィフだった。


「おれはお前達を裏切ったんだぜ、こんなとろこに、いていいのか?」


「私の目的は地下のエネルギー源を調べること、貴方が今は一番それに近そうです。」


現金なもんだな。


懐から手記を取り出した。

署名に槙島とある。


抜粋してラームは読み上げる。

「私はついに見つけた、逆さ桜の間を、この場所は誰が作ったのか、おおよそ、人の作ったものには思えない。美しさ、荘厳さ、人が表せる記号ではないのだ。」


「それだけですか?」


「この日から5年後にイグドラシルシステムの初期構築をして案を槇島博士は完了している。この時の研究室、いや実験室だな、それが、この逆さ桜の間だったと俺はかんがえているのだ。」


たんぽぽはよくわからない。

「どういうこと?」


ウィフはやっと気付いたようだ。

「イグドラシルシステムは地下のエネルギー源の仕組みのコピーだということ?」


ラームはうなづく。

「そういうことだ、しかし、それだけではまだわからない。」


「なにが?」


「そんなシステムを作る必要はないのさ、赤い光を使えばいいからな、しかも、ユニット2の住人のウィフお前さんはなぜ生まれた?恐らく、太閤秀吉も、同じように梅田の地下を掘り進み見つけたのだろう。そのあと、家康が全てを埋めた。大阪城を破壊してその上に仮の大阪城を建てるほどに徹底的に。見てはいけない何かを見たのだ。」


ラームは続ける。

「三本足のカラス、秘密結社八咫烏も動いているようだ。あいつらは昔からここに何があるかを知っていて、和歌山の奥地に本拠を置いたんだ。それが現れる日が来ると知っていて。」


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