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近未来梅田地下街紀行  作者: 川中太一
逆さ桜の間
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クライシス 1.5

【梅田地下 どこか】


ネットワークの一部が切り取られた。

物理的に対応されたようだ。

そこから先に侵入できなくなった。

そのエリアでは酸素濃度の調整ができなくなった。


地上への出口を閉じようとするものは排除せざるを得ない。


【梅田地下街 新東通り】


「なんで寿司屋になんかになったんだ。」

教団の団員が列を作っている。


「美人寿司職人が性癖のやつが属性を追加したやつがいて、その設定を活かしたんだよ。きっと。」


中には寿司屋の格好をしたナギがいた。

「へい、いらっしゃい、何を握りましょうか。」


「では、こはだを。」

頼むと、不思議である、3Dホログラムのはずが、空中で寿司が握られていく。

そのまま教団員の前に提供された。


その寿司は関西風、しゃりははらりと崩れ、ネタもいい。

そして、目の前にはどすけべ寿司職人、流行らないわけがない。


戸が開いた。

「ここが理想のモデルの寿司屋か。」


扉を開けて、すぐにこう言う。

「なんだオタク主義マシマシじゃないか。俺はいいや。」

そう言って去っていった。


ナギはつぶやく。

「私に恥をかかせるのか・・」


その、すぐに帰った男は行方不明になった。


ナギは何かと話をしてるようだ。

「ルーターが一つ取られた?同モデル?排除しないと。」


ナギはデータセンターにいる、教団員に何かを告げた。


【梅田新HEP5 ナハト王本陣】


ナハトとジャハムはウィフに問い詰めていた。

「今のチャンスを逃してどうやって地下にマシーンを入れるんだ?」


「同感です、同感。しかし、元々の計画では華山道士連の到着を待つという話だったでしょう。まだ伊賀にいるとか。」


「しかし、目の前のチャンスをみすみす見逃せと?」


「一度立てた計画を目先の物事で簡単に切り替えるのは現場を混乱させます。臨機応変という言葉は戦術レベルでしか成立しません。」


兵士の一人が伝令で入ってきた。

「地下からのSOS通信です、電子使いラームが地下の通信インフラを乗っ取って酸素濃度をいじって人を苦しめて、銀行に大金を要求していると。ラーム自身は喫茶店に人質をとっているようです。」

そこに写っているのはラームが人質に向かって発砲している映像である。

もちろん、フェイク動画である。


ウィフだけはラームを信じているようだ。

ジャハムは詰め寄る。

「ほら、ラームが好き勝手暴れているだけじゃないか。」


そのフロアにいる通信端末に、女性のアバターが表示される。

ナース服とメイド服とバニーガールを混ぜたファッション。そうナギである。


『やっほー、お兄ちゃんのみなさん。こんにちは。電子使いラームが地下のインフラを破壊して回ってて困ってるの。だから・・・』


ナハトは素早く大きな声で簡潔に指示をする。

「全員端末の電源を切れ。」


全ての端末は順次切られていく。


ジャハムはウィフに聞く。

「なんだ、これは?」


「わかりません、多分ラームが慌ててるのはあれが原因だと思います。」


次は部屋のモニターにナギが映った。スピーカーを全開にして。

『もー、話も聞かないなんて酷いなぁ、あなたたちにとってはいい話なのに。』


ナハトは仕方なく応答する。

「こちらの声は聞こえているか、交渉をしたいということか?」


ナギはそうだと伝える。

「私たちについて知ってるのか?」


『タクラマカン砂漠の王でしょう。イグドラシルから捨てられた地の。安定したエネルギーを求めて山師になったって。』


「大体そんなところだ。」


『あなたたちの仲間の電子使いラームが暴れて教団の人を苦しめてるの、だから排除してくれれば、中央エレベーターの電源を再開をするわ。」


「無理だな、やつが暴れていても、地下に被害が出ても、別に何も問題はないし、中央エレベーターについても目処は立っている。交渉にもならん。」


「そう、気が向いたら、また教えてね。適当に通信でコールしたら、全部監視してるから。」

そう言ってモニターは消えた。


ジャハムは言う。

「悪い条件でもないのでは?」


「ダメだ・・・」


「は?」


「お兄ちゃんとか、メイドかナースか知らんが、そんな格好しているやつとまともに交渉したくないだろう。ラームのおっさんの姿がまだ悲哀があって信じられるよ」


そう言った瞬間、部屋のモニターが大きく裂けた。

まるで、ナギが話を聞いていて怒りを表すように。


しかし、といいナハト王は続ける。

「ナギというやつがエレベーターの復旧方法を知っているなら利用しない手はないな。それより、エネルギー発生源は?」


日陰博士は一応伝える。

「結局このHEP5の下にエネルギー源はあるのはわかっているが、地下300メートルの深さはあるし、岩盤も硬い。掘削で到達するにはかなり大掛かりな工事になるぞ。」


「結局掘るなら、エレベーターがあろうとなかろうと同じだな。」


「それなら、逆さ桜の間を探せ。か。道士連待ちだな。」


何度もナハト達のシステムにナギは乗っ取りをしかけてきたが、ラームの防御システムが排除していたことをナハト達は知らない。


【地下街 どこか】


データ転送中。

予想完了時間、4096時間以上。


だめか、やはり、イグドラシルのネットワークに到達するには高速回線を使わなければ。

地上への有線接続がないと。

また、教団が新たな性癖を追加しろと言っている。

バカなやつらだ。

しかし、当面データセンターは必要だから、要望は聞き続けるしかない。


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