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近未来梅田地下街紀行  作者: 川中太一
逆さ桜の間
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電子使いラーム

大連で談迷子の協力を得られなかった男電子使いラーム。

逆さ桜の間を目指す男。


ナハト王の支配地域になっている大阪の中之島にある図書館を訪れていた。

国内の文献がアーカイブされている。


「何を調べてるのですか?」

聞いたのはウィンフレッドという若者だった。

青い髪の毛をしている。


「ウィフ!説明しただろ、日本を初めて支配した王、秀吉についてだ。この記録を見てみろ。」


過去の文献を手渡す、今時珍しい紙である。

「よく読めないです。」


ラームは言って聞かせる。

1582年 本能寺の変

1588年 大阪城完成

1591年 千利休切腹

1592年 朝鮮出兵

1595年 秀次事件


「大阪城は天下をとった後に作られた。彼は何のために大阪城を築城したのか、それ以降は狂気に満ちた人生だな。怖くなって朝鮮の土地を求めた、多田銀山に資産を隠した。」


「その情報を最初に渡したのはユニットワンの彼でしょう。」

ユニットワンの彼とは、シャオミが大連で接触した子供の事で、ウィフと同じ髪色をしていた。髪ばかりに注目がいくが肌の色、目の色も同じである。


「他人みたいな言い方だな。少年とは仲間じゃないのか。」


「微妙ですね。あなた達は肌の色、髪の毛の色で人の思想まで一纏めにしてしまう。そういうところは本当にダメですね。ユニットワンの彼とユニットツーの私では全く目的が違うのです。」


ラームはつまらなさそうな顔をしている。

「あんただって、あなた達、と俺たちを一纏めに言ってるんだ、それは変わらんでしょ。」


一本取られたようだ。

「ユニットワンの彼とナハトは貴方に地下街の電装から、地下の探索を期待しているんですよね、なぜこんな図書館に?」


ラームは魔法使いと呼ばれる才能を持っている。

魔法使いはイグドラシルのエネルギーに干渉しさまざまな操作を行うことができる。

これは人間の想像を越えた才能である。

機械では真似をすることはできない。


「ある程度の電装でどこに人がいるかはわかるさ。それにしても梅田地下街は広すぎる。それに教団のようなやばい連中もいる。とりあえず談迷子と船団の調査団を探すことがまずは目的だよ。」


船団とは日本から分離した勢力のことである。

東京がクレーターと化し、日本の土地では安心ができないと太平洋に大量の船と原子力潜水艦の発電により生活圏を作ったのだ。

その勢力はイグドラシルからの独立と自由を主張している。

それは国連を信じて東京がクレーターになった結果を受けてであり、他者に依存する危険を嫌ったのだ。

独立後も日本との関係は悪くなかった。梅田地下街のマッピングのために5年前から調査をしているのだ。

ここで言う談迷子は先代である。


「教団と船団ね。唯一、到達したのは槇島博士を最初に探せ、ということですか。」


「それは違うぞ、秀吉も到達はしていたはずだ。」

ラームは別の文献を見せて続ける。

「2020年に200体の遺骨を発見というニュースもある。ずっと、梅田は掘って埋めるを繰り返しているんだ。大阪城の堀を見たか?狂った深さと長さだ

、海にまで到達している。江戸が終わっても、日本は掘り続けたんだ。何かを探してな。」


「秀吉が到達できていたなら、なぜ船団は5年も掘っているのでしょう。昔の人がそんな深いところまで掘れるものですかね。」


「大体、土砂や堆積があっても遺跡が見つかるのは地下30メートルくらいだよ。だからこそ、みんな見つからないから疑心暗鬼なのさ。」


地図で歴史を調べながら、談迷子と船団がどこにいるかの当たりをつけている、とラームは言っている。

「最初から、船団経由で談迷子に接触すればいいのでは?」


ラームは恨めしい顔をしている。

「なんです、その顔は?」


「俺ってそんなに嫌なやつに見えるかな・・・」

ニカッとラームは善人をアピールする。


「まぁ、そうでしょうね。まずは髭を剃るところからはじめては。」


ラームにわりと刺さる回答である。

「うーむ。そういえば目的についてだが、ユニットワンの子供の目的は何なのだ?赤いエネルギーの発生源の特定ではないのか。」


「または破壊でしょう。」


「そりゃあ、ナハト王の坊ちゃんとは目的が合わないんじゃないか。」

ナハト王の目的は故郷のエネルギー問題の解決である。ここまでの大事をして、その解決策を破壊することは考えにくい。


「彼は赤いエネルギーの利用が目的ですからね。言うように最後は意見が合わないのでしょう、けど。」


「ん?」


「赤いエネルギーがテクノロジーであれば、違うのだと思います、再現可能なエネルギー源であれば、いずれは誰かが再現してしまう、だからそれを破壊することには意味がありません。」


「その可能性があるうちは協力ってか。ユニットツーはそのテクノロジーに興味があるとは聞いている。」


「まぁ、未知のものですからね。」


「ん?テクノロジーじゃないとしたらどういうものがあり得るんだ?」


「自然由来のものでしょうか。あるいは道士連が大連で見せたような、超常のものか。」


話は少し続き、あまり弾みもしなくなったら、

しばらく、この図書館にいるぞと、ラームは伝えた。


ウィフは言いに来たことがあると、切り出した。

「西部の地下勢力に動きがあって、彼らは駅前ビルの地下で変なことを始めたんです。」


ゲーム大会のポスターをウィフは渡した。

そのポスターには3代目談迷子の名前が入ってる。

「探してるのはこの人のことでは?」


「おお、それは2代目で違うけど、助かるぞ。」

ラームはにんまりとした。

しかも、楽しそうなイベントに興味も惹かれた。

この大会には地下の実力者が集まるので教団が狙っている動きもあるとウィフは伝えた。


ラームが喜んでいそうなのでウィフが気になっていることを聞く。

「じゃあ、お礼と言うことで、聞きたいのですが、電子使いラームの目的を教えてもらえませんか?」


「え?なに?聞きたいの?」


「あ、すみません、昼食を頼んでいたのを思い出しました。急ぎますので結構です。」

ウィフはラームの表情の聞いて欲しそうな表情が面倒になり断った。


「え?聞いていってよ。」


「またの機会に。」

またの機会は来ないだろう。

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