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近未来梅田地下街紀行  作者: 川中太一
古都攻防戦
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束の間の休息

【比叡山山頂 宿坊】


宗千佳が攫われる前。

少し前である。


やっと比叡山は落ち着きを取り戻している。

ルルイエは宗千佳と対面した。

「千佳ちゃん久しぶり。」


「千佳ちゃんて呼ぶな。」

ラタトクス工業は上海に宗千佳を閉じ込めていた。

そこから逃げ出した宗千佳は味方なのだろうか。


「どうしてここに?」


「逆に聞きますが、こんな無茶苦茶なことになって、どうしてじっとしてられるのですか。」

宗千佳の性格からするとそうだろう。


「性格ね。通信端末を持ってるんだろう。克久さんとは連絡を取ったの?」

樽井とは通信をしていたが、真っ先に連絡を取るべき父と、通信をしていないのである。

鳥羽に上陸したときにはすでに端末を手に入れている。

「怖くて。何を考えているかわからなくて。」


「じゃあ、やはりなぜここに。」


「多分ダメなんです。父に会えば、父と話せば私は父に従ってしまいます。だから、自分の目で見て考えてどうしようと思ったんです。」


世界中が柳生のせいで混乱しているのである。

木津の街で、田辺の街で人が死んでるのを見た、街が破壊されてるのを見た。

泣いている子供、子供を失って気力を失う親。

たくさん悲しい人を見た。


だから、比叡山の被害を減らすために、宗千佳はやってきたのだ。


「結局、柳生のやっているのとを理解はできませんでした。人死の悲みを差し引いて、残るものはあるのでしょうか。」


ルルイエは少し、宗千佳が大人になったように感じる。

最初に宗千佳を見たのは、柳生の剣法道場であった。

幼く、誰よりも強かった。

しかし、その時の強さとは今は違うように思える。

「あまり自分の家族のことは悪いように考えない方がいいかな。」

天根であれば、こういう言葉をかけないであろう。ルルイエは優しい。


「・・はい。」


「あとでマリナにも会ってあげてね、少しだけ心配してたから。」


「ええ。ありがとう。」


そこに和服を着て松葉杖をついた杏野都子が現れた。

「宗千佳!久しぶり!」


「ああ、都子、無事でよかった。」

旧知である。都子は有名な武士の家系ではなかったが、非常に優秀である。

足を悪くして武道からは遠ざかり、地域の自警団に入った過去がある。


「あの頭に耳が生えてる子は誰?」


「ああ、ウサギさんね。私を助けてくれたの。」


ルルイエもそこには興味を示している。

「そう、あの耳の子、どっかで見たことがある気がするんだよな。あんな耳が生えてたら忘れられないと思うんだけど。」


【比叡山 宿坊 食堂】


ウサギは食堂でうどんを食べていた。

宗千佳も仲間が来て安定してきたから、そろそろ役目も終わりかなと考えている。

柳生にいる、雑賀故我、つまり、天元を久我天根が仕留めれば用はなくなる。

天根の動きはないように見えるが実際は天元だけを狙って確実に動いていることを知っている。


ウサギは雑賀故我のシリーズの一人だが、クローニングに失敗し、女子として生まれた。

失敗作として危険要素として、雑賀故我からは狙われて、天根からも殺されかけたが、女子の姿のウサギを天根は殺しきれなかった。

天根から離れると、命の危険がある。だから同行しており、最終的には他の雑賀故我が世界からいなくなればいいのにと考えている。


「やはり、きつねは関西風に限るな、この揚げの暑さが素晴らしい。」


そう考えていた時、何か気配がした。

「ここに、いたのか。失敗作。」


振り返った時、誰もいなかった。

ウサギはその聞き覚えのある声に怯えている。


すぐに耳を使い天根に通信行う。

「おい、天根、何してる?」


『ん?どうした?宗千佳は無事か?』


「どうしたもこうしたもない、雑賀故我が比叡山にいたぞ。お前達はどこにいるんだ。」


『比叡山に行ってるのか、その情報はありがたい。可能であれば捕まえておいてくれ。』


「できるか!同一個体だぞ!」

性能が同じなのである、戦っても引き分けか、運の戦いになる。

雑賀故我はウサギと戦うときは、基本的に2対1になるように仕掛けてくる。


だから、今は何もしてこなかっのだろう。


「早く排除してくれ。」

そういい、現在の座標を天根に送った。


【烏丸御池 柳生本陣】


時間は進み、宗千佳が木屋町に捕えられた後の話。

柳生宗家は克久と話をしている。

「娘は元気だったか?」


「はい、変わらず強情でした。落ち着くまで、座敷牢に入れておきました。何もできないでしょう。」


「そのうち慣れるさ。それより、もう少しで世界放送の準備が整う。テレビ局の準備がな。そうすれば世界中の同胞も増えるだろう。できるだけ、ある程度の階級以上には出席させろ。」

バズデータの氾濫により、インターネットがなくなった、それからテレビはある程度役割を持っている。


そのテレビの電波を使い柳生のプロパガンダ放送をして、柳生の存在を考えを世間に示そうとしていた。

侵略者の考えそうな事である。


克久の端末が鳴動する。

通信先は柳生宗千佳とあった。

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