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近未来梅田地下街紀行  作者: 川中太一
古都攻防戦
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外伝 回顧録 7

ルルイエはイワンを確保しようと

地元警察と連携している。


20名程度警官が集めて、客席のイワンを確保するように要請した。


そのとき、どこかへ急ぐマリナとぶつかった。

「ああ、すまん。」


「あなたは・・」


そのマリナの表情は普通ではない。

なにか思い詰めた顔をしている。


マリナは無言で走り去っていく。

女の子が泣きそうな顔をしているのを見捨てるのは倫理的じゃないし、ルルイエがイワン確保に立ち会ってもあまり役には立たない。

それならと、ルルイエはマリナの後を追った。


ルルイエのもう一つの目的に適うから都合も良かったのだ。


【スタジアム 資材倉庫】


マリナは資材倉庫に着いた。

五人の男達がいた。


「レイジーは殺したの?」


一人の男は無言で弾丸をマリナに打ち込む。

マリナは最小限の動きで弾道をかわしている。


男達はざわつく。


「別に人殺しをしたいわけじゃない、でも、答えないなら、こういう仕事ができない体にはなってもらう。」


マリナは怒りながらも、敵をよく見ていた。

履いていた靴をリーダーの男に顔面に投げつけて、怯んだところに、首筋に一撃を加えた。


人がしてはいけない悲鳴を発した後、リーダーの男は倒れる。


その様子をドアの外からルルイエが伺っていた。

なんて凶暴なんだ、フランにしてもこのマリナにしても。


一人の男が見たこともない、鞭のような武器を取り出した。

九節鞭、古来より伝わる携帯用の金属の鞭である。


ヒュンッという音ともに、マリナに振り下ろすと、男の顔はマリナの突きで陥没していた。

次の男は青龍刀であったが、結果は同じだった。


残りの二人もまたたくまに片付けてしまう。


ルルイエは全てが終わったのを確認した上で、マリナに声をかけた。

「見事な手並みだな。警察を呼んだからもうすぐ来るはずだよ。」


しかし、この場合は女の子が男五人に暴行したことになるのか。


「ダメっ」

マリナがそういうと、影に潜んでルルイエを襲おうとした男にハイキックを食らわしていた。


「ああ、こりゃ、ありがとう。守ってくれたんだね。」


【スタジアム 観客席】


イワンは端末に対して怒鳴っている。

「なにっ?逃がした?何をしている?」


観客席のイワンの後ろに二人の人影。

「チームライジングは三位だったから、賞金はもちろん貰えるんでしょうね。」


レイジーと銀次だった。

銀次は特に何も武器を持っていないが、誰もその姿を見て勝てるとは思わない。


周りの警備も少しも動けずにいた。


【スタジアム】


リックジャガーとフランの戦いはギリギリであった。

片腕になったハンデはリックジャガーのドラッケンにはもちろんあったが、ほぼ戦闘レベルでエネルギー供給されているドラッケンの動きについていけていること自体が奇跡である。


こういう場合、過去自分ならどうしたのか、戦場では不利の場合はどうしたのか、フランは昔を思い出しながら、右足を引いた。

呼吸は荒い。


それに合わせてドラッケンが踏み込んできた。誘われたのだ。

ドラッケンは足を払われて、地面に倒された。

リックジャガーはフランが弱気になったと思って下がったと思い、そこを攻めたのだ。

すかさず、フランは顔面に蹴りをいれる。


実況は興奮して解説する。

『すごい!ジュードーだ!優勝はフランに決まりました。ラタトクス工業からのゲストチームの優勝です。』


「違います、ジュードじゃなて、バリツです。」

一人、フランは実況に対して回答していた。


フランは体が疲労で鉛のように重くなった。

気が抜けたのだろう。

「やりましたよ、ルルイエさん、あなたの願い通り優勝しました。」


【ラタトクス工業 本社ビル】


「イグドラシルへの不正接続はなかったということか?」


ルルイエとフランはその言葉に耳を疑った。


「いえ、報告の通り、不正接続のログもありますし。怪しい男達もたくさんいました。警察に任せましたけど。」


「確かにイワン商会長はチームライジングに仕掛けをしたようだが、それは違法接続ではなくて、不正賭博だろう。」


イワンはたくさんの借金があってリックジャガーの優勝に賭けていたらしい。

マリナが襲われたのは試合後だからこの推理はおかしい。


「しかし、不正接続はですね、あったんです。」


「それはフランくんがなかったと証明してくれた。」


「なんです?」


「戦闘レベルのマシーンに勝ってしまうなんて有り得ない、相手はプロのパイロットだったんだろう。その事実を否定してイグドラシルの不正接続があったなんて認められんよ。」


それくらい戦闘レベルのエネルギー供給と一般接続には差があるのだ。

そこの供給レベルの設定にはラタトクス工業は絶対の自信があるし、疑う余地もない。


下を向きながらフランは落ち込んでいる。

こうして、ルルイエとフランの仕事は無駄に終わった。


【ラタトクス工業 廊下】


廊下にはマリナが待っていた。

証言の必要があるかもしれないから、わざわざ同行してもらったのだ。

レイジーからは三位の賞金の負け前が振り込まれて、用事ができたから、しばらく留守にするからというメッセージがあったという。

それに加えて、ルルイエには報酬としてマリナの仕事の面倒を見てやってほしいとのこと。


「しばらく、お金はあるから、別にいいよ。」

マリナはそう言ったが、寂しそうである。


「ラタトクス工業は半分公僕みたいなもんだから、危険な仕事がそれほど回ってくるわけじゃない。だからしばらく一緒に仕事しようよ。」


マリナは少し悩んだが、レイジーが戻ってくるまでの間という条件で了承した。


ルルイエの二つ目の目的についてはまだ解決していないのだった。


【華山道士連 本部】


「かなり問題はあったが、太極図の起動は確認できた。」


「起動プロセスと、持続時間に難がありか」


「久我流に勘づかれて探りを入れられているらしい、次はもう少しクリーンな場所で実験をする必要がある。」


「他の宝具についても同じ価値があると見るべきだろう。起動実験を急がせろ。」


華山には大きな部屋一面に数百の宝具が並べられていた。


この時の解析データは後に流出し、赤い発光するマシーンの成り立ちにも繋がる。

太極図のエネルギー受容体はあらゆるエネルギーを受けることができたからだ。



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