表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
近未来梅田地下街紀行  作者: 川中太一
古都攻防戦
PR
47/77

外伝 回顧録 4

ドラッケンを調べても何も出ないだろう。

イワンと華山道士連の男はそう考えている。


しかし、レイジーはイグドラシル接続へのブラックボックスにエネルギー受信ログがあるのを知っている。

そのログは受信感度を直接の調べるものではないが、プロトコルのシーケンスが記録されるから、その記録時間でおおよそのエネルギー受信状態を確認できる。


レイジーはルルイエに報告書をまとめていた。

マリナも同室にいる。


マリナは心配そうだ。

「今回誘ってもらって戦争とかじゃないクリーンな試合でお金をもらって嬉しいんだけど。」


レイジーは振り向く。

「ん?」


「危険なことなら手を引きたい。」


レイジーは久我流である。そもそも危険に対しては敏感だ。

マリナが言うほど危険なのか。


「あなたも戦場では、何度も戦ってきたのでしょう?」


首を振る。

「戦ってきた、そのたびに仲間も死んだし、怪我した。一度怪我をすると完璧に元のように動けるってことはないから、つらくて。」


「自分が心配じゃなくて、周りが心配ってこと?」

レイジーは久我流だから心配されることはなかったから、新鮮な気持ちだ。


報告書を再び打ち始める。


「そうじゃなくて・・」


「じゃあ、お互い守りましょう、わかったわ。危険な事は高い給金でもしないようにするから。」


レイジーはマリナの気持ちをきっとわかってはいない。

マリナは自分の実力を考えるとどうしても守る側なのだ。


【スタジアム】


バトルロワイアルは取り壊し予定の旧市街で行われる。

7平方キロもある敷地で1時間半戦ってポイントが一番高い選手、または最後まで生き残った選手が優勝する。


参加選手のメインどころを実況が紹介していく。

『一番の優勝候補は久我流の銀次だ!久我流のエースがゲスト選手として参加してくれた。マシーンはもちろん愛機のトリプルフィールズだ。』

銀色の騎士のようなマシーン。数々の戦場で名の知れた機体だ。


フランは実況を聞きながら、ゲッという声を出す。

レイジーだけじゃなく、銀次まで出ているのか。


「おい、フラン、フランソワーズ!」


「何ですか?」


「優勝する必要はないんだぞ。違法接続がわかればいい。」


銀次のブックメーカーオッズは1.2倍だった。

フランは4.2倍。


「・・・全部」


「は?」


「あんたのところの今期予算全部私に賭けなさい。」


フランは自分が低評価なのを怒っている。しかも、久我流の銀次と比較されてである。


「落ち着け、倫理的じゃないぞ。」


「今日は戦場倫理アドバイザーの仕事で来ているわけじゃないんです。一人の闘士としてきています。」


「調査は?」


『人気の順にお伝えしております。チームライジングのマリナ。戦場の傭兵で有名は花達の会のリーダーをしていた実績があり、このトーナメントリーグでは全勝です。愛機のハヌマンと共に参戦です。』


人気の順と聞いてフランは血管がはじけそうである。


『次に期待するのはラタトクス工業からの交流選手、フランソワーズだ。こちらは先日の展示試合と同じく、キャバリエにて参戦。』


残りのマシーンの紹介もあったが、ここでは省略しておく。


【オーナー室】


「最後の盛り上がりはあのフランと、銀次の一騎打ちにさせろ、それが一番良さそうだ。それでリックジャガーに優勝させる。」


イワンは倍率の良いリックジャガーに賭けているのだ。


道士連の男はわかったとうなづいた。

そのようになるよう部下に指示を出した。


「気になるレポートがあの女からラタトクス工業へ送信されてるぞ。」


「結局、消すしかないな、ラタトクス工業側はまだわかっていないから、レイジーと言ったか、あの調査している技師を消せ。」


【バトルロイアル 主戦場】


観客席はスタジアムに設置されていて、正面の大きなモニターと、来場客だけ自分の端末で戦況の確認と、各所に設置してあるドローンの映像を確認することができる。


ルルイエはスタジアムの選手側の司令室にいる。


「フラン、わかってるんだろうな、目的は勝つことじゃないぞ。二つの目的があるんだ、わかってるな。」


「わかってますよ、ギャンギャンとうるさい。」

フランは段々と素が出てきている。

こんな観光地に来て、パイロットやらされて、しかも、客からの期待値が低いとなれば。


「おい、じゃあ、目的を言ってみてくれ。」


「勝利と優勝でしょう!」


フランは近くにいたマシーンに飛び掛かる。

瞬間的に、首を跳ね飛ばして動きを無効化させる。


ヒィーっと、敵のドライバーの悲鳴が聞こえた。

基本的にはレギュレーションの範囲で安全な試合のはずが、動きの違う一体が混じっているからだ。


ルルイエはマッドマーダーになったフランについては諦めることにした。


試合前に届いたレイジーからの報告書に目を通している。


『マシーンに残っていたログからです、時刻調整のプロトコルが動いていました。20秒毎に時刻調整をしていましたが、戦闘が終わる一瞬だけログが存在しませんでした。その時間帯のログが消されているということを示唆しています。また、左股関節部が損傷していました、急な負荷がかかったからでしょう。これはエネルギーダウン特有の症状になります。継続調査の必要あり。 レイジー』


ルルイエはレポートを自分達の仲間の技師にまわした。


スタジアムから歓声が上がった。

マリナと銀次の戦いが始まったのだ。


銀次のトリプルフィールズは細身のマシーンでいかにも、素手の戦いには向いていない。

基本的にマシーンの素手での戦いは被弾前提だからである。


観客の予想とは別だったのは被弾前提のはずなのに、双方とも攻撃が当たらないのだ。

別次元の戦闘をしていることに観客席が沸いている。

しかし、それの他にも別次元の戦いをしているマシーンが一体。


「私のオッズより低いマシーンは全員かかってこい!その評価が正しいことを証明してやる。」

フランは人には倫理を薦めるが、自分の評価に対しては厳しい。


「もう、完全に現役時代に戻ってるな。精神性が。」


フランは退役軍人である、

多数の戦場で数多の敵を倒してきた。更には高い戦術眼をもっている。その両面でラタトクス工業が戦闘倫理アドバイザーとして雇ったのだ。


マリナと銀次が鍔迫り合いしている裏で、フランは猛烈な勢いでポイントを稼いでいた。


「こんなやり方で違法接続なんてつかめるのかな。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ