花達の会
【大津 ラタトクス工業仮設倫理維持部隊駐屯地】
ルルイエは講義室で作戦を説明していた。
柳生の部隊が京都を占拠していること。
比叡山の修学院ではレジスタンスが抵抗していること。
ラタトクス工業は大津に戦力を集結させている。
やっと傭兵が揃いつつあった。
マリナとビリーもその一員である。
ルルイエは戦争の専門家ではないから、矢面に立たされるのはおかしい、元々、戦術コマンドとして雇っていた柳生は敵になり、SASは大連で壊滅状態。動けるのはルルイエということだった。
ルルイエはそもそも、UDAと久我幻魔が参戦しているのだから、自分のような素人に敵の本営を攻撃させる意味がわからない。
UDAの部隊は、生駒山系の南から、東大阪に到達しつつある。
「今比叡山以西で柳生の侵攻を止められているのは、各地でのレジスタンスと、僧兵たちのおかげです。ラタトクス工業はレジスタンスと僧兵に物資を提供し、ラインを強化すること、現在のラインの後ろにさらに二つ防衛線を引きました。大津ラインと、石山ラインです。」
傭兵達に説明をしているルルイエの横にはマリナの姿があった。
マリナは体を強化されているため、イグドラシルに接続できないというペナルティを持っているが、対人に関しては頼りになる。
「戦力と後方陣地、兵站が安定してきましたから、修学院で戦っているレジスタンスと協調して、烏丸を解放していきます。」
大津から三ルートに分けて京都市内へ侵攻する。
修学院へのレジスタンス強調作戦。
三千院と小浜ルートの港を封鎖。
高雄から嵐山に抜けて、西陣を制圧。
上記を持って、半包囲状態にして、豊岡に柳生を押し込む算段である。
「何か質問はあるか?」
手が上がった。マリナくらいの女の子に見える。
「柳生が大阪に落ち延びる可能性は?戦力をがより充実してしまうのではないでしょうか。」
「多少の合流はあるでしょうが、京都と柳生は別れての作戦をしています。ここでプライドを捨てて大阪に抜けることはやりたくはないでしょう。」
また、別の手が挙がる。また別の小さな女の子だった。
「今回の部隊編成はかなり大規模です。別に動いているUDAは80体のマシーンを軸とした作戦ですが、私たちの大津の駐屯部隊は140体を超えています。柳生はそれほどの戦力を用意しているのでしょうか。」
作戦資料に記載されている内容だ。たしかに柳生の戦力は60体とかなり少ない公算である。
「おっしゃった内容の通りですが、とても一度に140体のマシーンを動かすことはできませんし、大連の工業地帯では赤く発光するマシーンにかなりの損害を与えられています。同様のマシーンの配備は確認されていますから、攻撃3倍の法則に照らし合わせるとまだまだ不安がのこります。ですから、レジスタンスの勢力との協調が必要になります。」
ルルイエはモニターに赤く発光するマシーンを映し出した。
「このチェーンソーのようにも見える装備が、光の回転方向によって遠距離はライフルに、近距離では刃物に変化します。マシーンの装甲はほぼ役に立ちません。大連の被害状況と戦闘時の映像はこちらで・・・」
また、別の女の子が質問をする。
「すみません、その方はどこに投入されるのですか?」
「誰です?」
指差す先にはマリナがいた。
マリナはいきなり注目されたことに驚いていた。
「いえ、この子のはただの警備です。作戦への直接参加は予定していません。」
なぜ、そんなことを聞くのだろうか。
傭兵達を見ると、マリナに似た体格の女の子が固まって座っている。
子供と差別するわけではない、ラタトクス工業は一流どころを集めているはずなのだから、プロなのだろう。
資料を確認すると、その一団の作戦は岡崎でのレジスタンス救出任務に当てがわられていた。
女の子はわかりましたと、答えた。
あとは、攻撃のタイミングとか、連携方法とかそんなことが説明された。
作戦の決行は3時間後である。作戦完了は12時間後。
「時間まで休息を怠らないように。」
【駐屯地 傭兵の部屋】
布団が人数分敷かれた部屋に、先ほどの女の子達が休憩している。
傭兵会社 花達の会である。
「驚いたわ、マリナだよ。絶対。鬼マリナ」
「違うわ、ライトニングマリナ。」
人によって説明が違う、火食いのマリナ、グレムリン、悪霊の使い。
たくさんの名前があった。
「ラタトクス工業はこんな危険な任務なのにマリナを温存するわけ?傭兵だって捨て駒じゃないんだから。」
「柳生の目的は柳生家の復興でしょう?」
「だから?」
「ラタトクス工業は別に柳生家が復興しようとどうでもいいんじゃない?」
「だから、だから?」
「ラタトクス工業は柳生家と交渉しようとしているのかな。」




