ビリー
日本に柳生大隊とナハト王が進出した。
いや、柳生は元から日本の者たちだが。
舞鶴港、小倉港、松江港の三ヶ所から日本は攻撃され、日本の近畿圏は、京都の中心部を残して彼らによって制圧された。
作戦は一ヶ月もかからなかったから、もとから柳生は手を回していたのであろう。
ナハトは自分の国がエネルギー供給の恩恵を受けるために活動をしている。
エネルギー供給の発生源を抑えることが目的であった。
簡単に目的を果たしたのだ。
誤算ももちろんあった、九州は日本軍緑山駐屯地の怪物二階堂の反撃にあい、京都の中心部は杏野都子の自警団と比叡山の僧兵によって制圧できない状態である。
また、和歌山の串本からは久我幻魔のチームが大阪に向かい奪還作戦を続けている。
戦争は難しい、侵略と維持は別である。柳生を味方に入れたのも出来るだけ長い間支配圏を維持するためである。
これからは、連合、UDA、ラタトクス工業、日本軍の攻撃が続くだろう。
戦争の最も悲惨な部分は誰もコントロールできない点にあるのだ。
【英国】
世界が混沌に陥る中、ビリーは英国に戻っていた
SASの部隊は二人だけ生き残れた。
英国はビリーが無事であることを喜んだ。
「申し訳ありません、ロバート達が・・」
英国の女王はこう言う、
「生き残った者がいるだけで尊いのです。今はそれを噛み締めてください。」
善意の言葉であった。
ビリーは気持ちが落ち込んでいる。
その後にSASの本部に報告で訪れた。
「我々が不甲斐ないから、魔法使いである君に迷惑をかけた。すまない。だから死んだ仲間の責は考えないでほしい。」
ビリーは元SASである。
自分も仲間だと思っている。
しかし、魔法使いという希少性は周りを仲間意識から遠けたのだ。
ロバートの家族を慰問に向かった。
未亡人は言う。
「私の主人が不甲斐ないせいで、貴方まで巻き込んで、またこんなところまで挨拶に来させて。」
「違います、ご主人は勇敢でした。だから亡くなったのです。わたしはそれに守られたから生きている。ご主人は国の宝です。」
「でも・・・、どれだけ素晴らしくても、息子のために帰って来ずに、、、帰って来れない父は本当によいものでしょうか。」
ビリーは言葉もなかった。
誰も死んだロバートのことは評価をしてくれない。それは悪意からではない。
なんのために死んだのか、名誉のためでは決してないのだ。
しかし、この結末は酷い。
ロバートやSASのメンバーは超がつく一流だ。
だからラタトクス工業と作戦をしていたのだ。
違うのだ、あの状況が異常なんだ。現場にいないとわからないのだ。
不測の事態の連鎖で誰が正常であれたのか。
色んな人と面会したが、誰一人として、それを理解していない。
街を歩いていても、パブで酒を飲んでいても、SASの弱さを嘆く声ばかりだった。
未亡人に声をかける。
「SASは世界で一番勇敢で誠実な人間の集まりです。」
「ありがとうございます。」
嫌味に聞こえただろうか、世界に12名しかいない魔法使いである。
その魔法使いがどんな言葉をかけても、嘘に聞こえるのである。
頭を深々と下げて、遺影に献花し、SASの名誉の回復をすることが今後の自分の人生であると、そう言い聞かせた。
しかし、魔法使いの自分が今後いかに活躍しても、SASの、ロバートの名誉の回復には繋がらない。
力があっても何もできない、思うようにはならないのだ。




