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近未来梅田地下街紀行  作者: 川中太一
巨人事変
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24/78

港から現れる仲間

巨人が崩れ落ちた。

談迷子はやっと戦場から遠ざかれることにほっとしてる。


息をつく暇もなく、宗千佳が不思議な反応をキャッチしている。

「何かの反応、まさか・・」


まだ、敵の陣地内である、黒いマシーンに出会わないとも限らない、だから、できるだけ戦闘音や、炎が上がらない方に向けて移動している。


宗千佳が気づいた反応は柳生家のマシーンの反応だった。

しかも、かなりの数である。

柳生の本隊が応援に来てくれたのだろうか。


宗千佳は日本の奈良からここまでどれだけ時間が

かかるかを失念している。

それでも、超常の世界の中で多くの仲間が来てくれたことに感謝した。


「ルルイエ、柳生です、柳生の本隊が来てくれた、保護を要請しよう。」


談迷子が割り込む。

「ダメです。嫌な予感がします。」


もともと先程までは宗千佳が空気を読んでいた。

今度は同じことを談迷子がしている。

「なぜ?私の仲間だよ。父が来ているかもしれない。」


「どん底の時ほど希望は危険なんです、もう私たちは逃げきれます。不確定要素を積んでみんなを危険に晒してはいけません。」


これは理屈ではなかった。

経験なのだろう。しかし、自分の仲間を否定されて宗千佳は冷静になれるわけがなかった。


「とりあえず呼びかけてみます。」


談迷子はそれ以上何も言わなかった。

「こちら、柳生である、柳生の克久の娘、柳生宗千佳だ、応答を頼む。」


2度、同じ発信をした。


ルルイエも割り込む。

「もし、ここで柳生本家が介入しても、彼らは戦闘に来たのだろう。だったら、下手な合流をしたらまた前線に送られちまう。やめるんだ。」


ルルイエの消極的な思いは伝わったのか、無線の応答はなかった。


いや・・・


「こちら、柳生本家大隊である、ラタトクス工業へ派遣された、柳生宗千佳と言ったか?」


応答があった。


「そうだ!私はまだ戦える!何か協力することは?」


「確認する。指示を待て。」


談迷子は大体事態を見透かしていた。

だからもう何もいわなかった。


ルルイエは慌てている。

「撤退の安全なルートを聞くんだ、それ以外は巻き込まれるな。」


更に通信が入った。


「指示をする。優先事項があり、動いている故。ラタトクス工業に捕虜として投降をしろ。あとから引き渡しを要求する。だから、今の救出と合流は諦めろ、とのことです。」


「ラタトクス工業に?どういうこと?」


「伝令は以上。」


談迷子は宗千佳の手を握って言う。

「早く行きましょう。」


轟音がなった。大多数のマシーンの群れだった。

柳生の本隊が巨人に向かっていくのだ。


いつも見慣れたマシーンの群れだった。

柳生庄の・・・


しかし、一つだけ違っていた。

「赤く発光している。」


柳生の大軍のマシーンは赤い光を放っていた。

それは黒いマシーンの光と同じであったのだ。


談迷子は再度繰り返して言う。

「早く行きましょう、彼らが我々と敵対しないうちに。」


【大連工業地帯 港沿岸倉庫】


ナハトは出迎えた。

柳生克久が率いる大軍を。


「なかなかの手腕だった。見事だよ、全て計画通りだったようだ。」


「華山道士連、久我幻魔、イレギュラーはいくつかあったが、なんとか目標は達成できた。柳生はもう我々を助ける必要もないんじゃないか。」


「まぁ、それはそうだが、我々にとってはこれからが本番だから、協力してやっていければとは思う。」


「じゃあ、行こうか、日本へ。」


柳生の大隊は港へ、ナハトと日陰博士を連れて日本へ消えていった。


【大連工業地帯 巨人残骸付近】


ジーチンは瓦礫の中で目が覚めた、

「リー、リウ、どうなった。」


なんとか瓦礫を押し除けたが、マシーンはそれ以上は動かない。

仕方なく、コクピットを開けて歩き出す。


別にリーもリウも長い付き合いでもなんでもない、しかし、仲間ではある。


「たまたま、私だけ、タンク役のマシーンだったから助かったんだ。みんな死んだのか。みんな・・・」


すこし息を吐く。

「リーの作った料理美味しかったな。」


少しだけ歩いて、瓦礫でこけて、少しだけ血が出た。

「UDAの基地まで歩いていけるかな、華山の仲間は助けに来てくれるかな。」

心細かった。


しかし、弱気になるよりも、復讐心が湧いた。

仲間を殺された恨みである。

「次はやつらを一人でも多く殺してやる。」


神様というのは残酷である、それは不幸を与えたことではない。

瓦礫でこけた先に落ちていたのは、太極図であった。

不幸は悲しい、しかし、復讐はもっと悲しい、その復讐のための力を運命という神はジーチンに与えたのである。

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