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近未来梅田地下街紀行  作者: 川中太一
巨人事変
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巨人が倒壊する時

華山道士連は連続稼働に制限のある太極図を休ませてから、前進を開始する。


イグドラシルのエネルギー供給が制限されても変わらず、太極図が機能することは確認済だ。


ジーチン、リー、リウは巨人の破壊を狙っていたのだ。

「本当に太極図を発動するだけで巨人は動けなくなる?」


「そのはずだ、あの巨人は自重を支えることができなくなる。」


「40分しか使えないんじゃ、巨人を止めても、そのあと黒いマシーンに囲まれてはなぁ。」


「だから、次の太極図の起動はギリギリじゃないといけない。俺たちが逃げる時間がいるからな。」


【巨人内部】


日陰博士はナハトに準備ができた旨を伝える。

「じゃあ、そろそろ撤退するかな。」


【ラタトクス工業 本社】


ラタトクス工業の役員達は協議をしている。

「テロリストどもを早く無力化しないと信用に関わるぞ。」


「ラタトクス工業の有事戦力を全て投入してでも、早急に鎮圧するんだ。少しもテロリストのマシーンを残してもいけないし、イグドラシルへの違法接続技術を完全に破壊するのだ。」


「我々の有事戦力は圧倒的ですから、今日から移動を含めて、6日もあれば可能でしょう。


報告がはいる。

ナハトの全チャンネルへの放送であった。


役員の1人が

「今放送しているのか、この場で流してみろ。」


『先ほどはイグドラシルのエネルギー供給が減衰したのを皆さんは確認できましたか?その中でも我々のマシーンは問題なく動作しました。」


「そんな技術を放置はできんよな、今更交渉をするつもりか?」


『我々の目的はラタトクス工業へのアンチテーゼであるから、そのような技術を独占する気はない。』


「なんだ、この放送は」


『いまより、ラタトクス工業を経由せず、より強いエネルギーを得られる技術資料を全人類に提供させていただく、各メディア、国家主席、連絡先が公開されている全ての企業に送付するから、ぜひ活用してくれたまえ。技術資料を見ていただければ、誰でもエネルギーを受信可能になるということだ。』


役員の一人が泡を吹いて倒れた。

「われわれが・・戦争の悲惨さを語り、犠牲者が出ないようにコントロールしてきたのに、それを全て無に返すということなのか。」


『そもそも、単一の倫理観というのは倫理とは言わない、本当に人が倫理と言われる物を持ち得るならば、全てがフリーであっても自然と現れるのだ。』


放送は終わった。


「エネルギー受信装置を解析しろ、そして、その原因を一刻も早く破壊するんだ。世界大戦が始まるぞ。」


国自体がイグドラシルから排除された、世界にはいわゆるならずもの国家は24も存在する。

もちろん工業レベルや、生活レベルは低い。

今回の設計図を受ければすぐにでも実用化するだろう。


【巨人内部】

ナハトと日陰博士がいる。


「実用化までどれくらいかな。」


「わかっているやつが作れば二ヶ月もかからんよ。ほとんどは今の機械をそのまま使えるからな。凡人なら技術を盗んで半年だろう。」


ナハトは作戦が完了したことを巨人内部で宣言する。

同時に巨人を投棄し、自壊させることも。


「やっと、迎えがきたようだ、少しずつ戦力を港に寄せていく。博士はこれからどうするんだ?」


「日本までは送っていってくれ、故郷に立ち寄りたいんだ。もう知ってるものは山くらいだろうが。盤古じゃくて、ヤマトを完成させたい。報酬もしばらく不自由にならないように頼むよ。」


「ああ、色々と苦労をかけた。」


「いつか、博士の思いが達成されるといいな。」


「今回は無理だったが、いずれ巨大兵器の有用性を皆がわかるときがくるさ、小さいマシーン同士の戦争は結果がわかりにくく、犠牲者が多くなるからな。」


【華山道士連 部隊】


華山道士連のリーは、巨人からほぼ700メートルの地点で、太極図を発動する。

効果範囲が少し足りなくても、巨人は少しのエネルギーロスで十分に停止すると考えている。


しかし・・・


発動の少し前だった。

巨人は膝から崩れ落ちる。


300メートル近い巨人が崩れるのである、起動しただけで、周りのマシーンの半数を吹き飛ばしたのである。

その衝撃はリーの想定を超えていた。

ただ崩れ落ちただけである。


ジーチンが慌てる。

「や、やばいよ、これじゃあ、みんな潰されてしまう。」


工業地帯は埋立地である。

地盤が弱い。

液状化をはじめ、地割れが広がっていく。


「はやく脱出しないと。」


瓦礫をうまく、片手のコマで弾き飛ばしながら、退却を始める。


リウは太極図を優先した。

「ダメだ、あれは崑崙の至宝だぞ。なくなったら崑崙は。」


リーは声もなく、すでに地割れに飲まれていた。


巨人は存在だけで脅威なのである。

その崩壊さえも、日陰博士、ナハトは脱出に利用したのだ。


【大連工業地帯 郊外】


遠くのビルからラームは状況を確認している。

「おー、派手にやったな、作戦は完了だな。逆さ桜の間の場所をわかりやすくしてやったんだ。やっと会えるな。」



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