異形
日陰博士はそもそも人型にマシーンを似せることに疑問を感じていた。
人は万物の霊長といわれるが、人の形をしている生物は人間だけである。
人間は人の形をしているが戦闘に向いているかというと違うのだ。
キョウジは日創とともに三谷の到着を待っていた。
外にいるよりマシーンのコクピットのほうが少し快適であった。
青い髪の子供は、手錠をして日創少尉が監視している。
「不思議だよな。」
「何がだ。」
「お前って黒幕なんだよな。だれも助けに来ないけど。」
「仲間が私を見捨てるわけがないだろう。私の居場所がわからないのだ。」
「ふーん。」
そもそも日創少尉はこの子供が黒幕とは思ってはいない。
「お、強いやつがきたな。」
日創少尉はマシーンのエネルギー供給の低下には気づいていたが、敵のマシーンもそうだし、戦闘が発生しなければ問題ないとも考えている。
キョウジもあまり変わらない考えである。
フランに状況を聞いてもまだ調査中という回答のみであった。
逆に平和でいいかもね、とキョウジは考えていた。
が、少し近くで戦闘音がする。
慌ててフランに状況を確認した。
「何か大きな物がこちらに向かってくるようです。」
まだ遠い。
「戦闘を始めたようです。戦闘をしているのは連合のようです。」
「やばい雰囲気がするな。」
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三谷は通りすがりにルルイエを助けて
「早くエネルギー供給を再開しろ、みんな死ぬぞ。」
と脅し出す。
「何回もさっきから要請している。」
「繋げ、説得してやる。」
ラタトクス工業の重役は会議をしていた。
なぜ、エネルギー供給を止めていても動けるか、だった。
「あー、すみません、ルルイエです。」
「何かね、こちらは忙しいんだ。」
「連合の三谷秀一だ、何人か知った顔がいるな。」
重役達はざわつく。
「スレイプル事件の三谷秀一か。」
「あの時はどうも、そして今回もどうも。」
「なんだね、今は忙しいんだが。」
現場の状況も知らずに忙しいとは思って片腹痛い。
「ああ、結構。急いでいるのはこちらも同じだ。今からラタトクス工業がエネルギー供給を再開しない場合、ラタトクス工業の社員全員をテロリストへの共謀罪とする。」
「なんだと、我々は倫理に従って行動しているだけだ。」
「管理者が、間違った判断をして、たくさんこちらでは人が死んでいる。」
「連合のエネルギー供給全て停止するぞ、それでもいいのか。」
「構わない、その場合には、三親等に渡り、共謀罪とする。」
「何だと・・」
「とくに付け足すことはない。」
通信を切断した。
ルルイエは呆れている。
「なんという脅しを。」
「脅して人の命が救えるなら脅せよ。」
少しの時間差はあったが、エネルギー供給が再開された。
しかし、それよりも驚くべき事態が起きた。
空から海老が降ってきたのだ。
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「こちらヴィンス。久我幻魔のマシーンを発見した。今から攻撃する。」
日陰博士に言われて久我幻魔のチームを足止めするために出撃したのだ。
乗っていた黒い機械は、エビを彷彿させた。
「しかし、この海老で本当に戦えるのかね。」
「蠍だ、海老なんかと間違えるな。」
「蠍型の海老なんてなんで作ったんだ。」
「蠍型の蠍だ間違えるな。」
日陰博士は蠍を見たことがなかったから、海老を参考に蠍を作ったのだ。
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巨大な海老は久我流のマシーンを何体か吹き飛ばした。
その周りには黒いマシーンが大量に随伴している。
三谷秀一はエネルギー供給が復旧していなかったら、全滅していたと感じている。
エネルギー供給が通常であっても、黒いマシーンのスペックは一般的なマシーンより数段上なのだ。
「おい、大丈夫だな。」
久我幻魔はすぐに回答する。
「え?ああ、特に問題はない。」
数で負けてはいたが、それだけである。
「では、あの大海老を破壊する。」
海老は巨大であった。マシーンの体積の5倍はあるのではないか。
黒かった海老のボディは今は全身が赤く発光している。
海老の尻尾の鋭い針が、三谷のマシーンを攻撃した。
ギリギリで三谷は攻撃をかわした。
しかも、多脚である。その全ての足に黒いマシーンに搭載されていたチェーンソーを搭載している。
すぐに久我幻魔のチームメンバーは戦闘にとりかかる。
「大海老は俺が引きつけるから、お前たちは黒いマシーンをやるんだ。」
「え?いいの?」
「引きつけるだけだ。そのあとはお前たちが追い払うんだ。」
「はいはい。」
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宗千佳はエネルギー供給が再開して、僚機をまとめあげている。
「やっと戦闘に戻れる・・戦闘に戻る?」
目の前の光景は地獄である。
巨大な海老が暴れて、黒いマシーンがさっきより遥かに強力になって、世界最強の久我幻魔のチームが戦闘をしている。
絶対に勝てないとさっき絶望したときでも久我幻魔は変わらず戦闘を継続していたのだ。
戦闘倫理アドバイザー経由で通信がはいる。
柳生の本家からだ。
「すみやかに戦場から離脱せよ。」
のみである。
仕事を放棄して離脱するのは倫理的なのだろうか。
しかし、先ほど自分はすでに仕事を放棄していたのではないか。
もはや自分はこの戦場を構成する要素になっているのだろうか。
宗千佳はルルイエをコクピットに引き入れて、撤退を開始した。
マリナ、談迷子は僚機へ。
ビリーとSASはどうなったのだろうか、もはや通信は繋がらない。
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「この蛇、普通じゃないぞ。」
キョウジは三体の巨大な蛇の機械に襲われていた。
青い髪の子供は日創に言う。
「私を引き渡してくれれば危害を加えないように言うから、戦闘を中止しろ。」
「その言葉を、テロリストの言葉を信じるのも危険だな。」
ただでさえマシーンの動きが低下しているのだ。
その上、この巨大な体躯である。
「白州さん、撤退しましょう。危険です。」
「避難民も、日創少尉もいて見捨てて撤退なんでできないよ。日創少尉に連絡して先に撤退させてくれないか。」
「・・・わかりました。自己犠牲がいいとは言いませんが、その選択は倫理的です。」
「犠牲にはならないって。」
まるで、蛇の攻撃がわかっているようにキョウジは最小限の動きで攻撃をよける。
バルカンで攻撃しながら、間合い離していく。
できるだけ、日創少尉から離れるように。
「バルカンの攻撃が弾かれている、何かがあるのか。」
「研究されているとは聞きましたが、エネルギーフィールドの類です。大型すぎて実用されていないと聞きましたが。」
「実際に大型ではあるね。」
キョウジはマシーンで瓦礫を投げてエネルギーフィールドの様子を見て確認する。
確かに、何かに弾かれているようだ。
「バリアなんて反則じゃないか。」
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ヴィンスはつまらなさそうにしている。
「エネルギーフィールド、針、赤いチェーンソー、どれも強すぎる。こんなんじゃ、相手を倒すのも気が引ける。」
「全てを倒す必要はない。久我流だけ倒せばあとはナハトの部下がやってくれる。」
「せめて同じ条件で戦いたいよ。」




