青い髪の子供
日創少尉はよくわからない女?からトランクケースを渡されて、三谷秀一に渡せと言われた。
よく知った上司からもトランクケースの中身を三谷秀一に渡せと同じように言われた。
中には青い髪の子供が入っていて、事態の異常さを際立たせた。
目の前にいる、連合のパイロット、キョウジに渡してもいいのだろうか。
「交渉をしたい、可能であれば三谷秀一に。」
キョウジの目的はシャオミの回収だった。
しかし、シャオミのビーコンは日創から出ている。
それはどういうことだ。何かをシャオミから奪った?
日創少尉が不誠実で嘘つきに思えたら、交渉にならなかっただろう。
また、この戦場ではいつ状況が変わるかもわからない。
キョウジからすると、現場判断ではなく、三谷に確認してもらうのが良い。そう判断したことは自分のストレスを溜めないために合理的であった。
スピーカーモードの端末でフランに話しかける。
「この場合交渉は俺がしてしまってもいいの?」
「交渉の内容を私に聞こえるようにしてもらえば構いませんよ。」
わかったと、キョウジは伝えると日創にフランを紹介した。
「三谷に話を通すのはいいけど、こちらから、先に聞きたいことがあります。」
丁寧な言葉であったが、上官を呼び捨てにするのは軍属としてはどうかと、日創にすると癪にさわる。
「なんです?」
「高身長でスラッとした体型の男か女かわからないような人と会いませんでした?」
「見ての通り避難民を何人か抱えていて、その中にならいたかもしれませんね。ほら、あの人とかそうでは?」
日創の指差すほうには、初老の女性が座っていた。
キョウジは聞き取りは意味がないと考えた。
「ありがとう。とりあえず三谷が応答可能かを聞いてみます。貴方の名前は?」
「日創少尉です。」
身分証にも確かに同じ名前がある。
携帯端末で認証したところ本人である確認がとれた。
キョウジはフランに経由で、三谷に状況を伝える。
その回答は冷静なキョウジからしても意外だった。
「三谷から回答がありました。今からそこに行くから待て。です。」
「この戦場に?避難民もいるのでできれば早めに退避したほうが。」
「避難民を含めた安全についてもこちらで確保する、もちろん、uda側に送り届けるとのこでした。」
にわかにはしんじられない。
テロリストの黒いマシーン、巨人、連合、udaが入り乱れる戦場でどうやって安全確保するのだろうか。
日創少尉が自分の後ろに置いてた、トランクケースが、パカっと開いた。
「青い髪・・?」
明らかに自然の生物ではない髪の色だった。
白い服を着た青い服の子供がそこにはいた。
ナハト達といたこの物語の黒幕である。
子供はあたりを見回している。
「あの女?はどこだ?」
シャオミのことだろう。トランクケースに詰め込まれて運ばれてきたのだから気にするのは当然である。
日創は銃を構えた。
「おい、動くな。」
しかし、特に銃には関心がなさそうであった。
「白州さん、彼を止めてください、子供に銃なんて非人道的です。」
キョウジは日創少尉の銃を止めて、これが三谷への要件?と聞いた。
日創はうなづく。
キョウジはフランに指示を仰いだ。どうしたら?いいと。
フランからの回答はわかりやすかった。
キョウジは腰のポーチから板状のチョコレートを取り出した。
「食べるか?」
「おい、そんなもので釣れるわけがないだろ。」
日創の話を気にせず、青い髪の子供はチョコレートを受け取った。
「ほら、銀紙を外して食べるんだ。」
「言っておくが毒の部類は効かないからな、」
銀紙を外して、チョコを一心不乱に食べ出した。
「うん・・うまいわ」
キョウジは子供には銃より、お菓子なんだよ、と日創に言う。
「馬鹿にして、子供じゃないんだぞ。」
キョウジはもう一枚あるぞ、と見せた。
すぐにそれも受け取って開封した。
「こんなものをもらっても、意味がない、とくに喋ることもないからな。」
「いや、君がこの事件の黒幕なんだろ?」
「えっ。なんで」
キョウジが背中を指差す。
コノ子供ガ、コンカイノ事件ノ、黒幕ミタイだから捕まえた。
アトはよろしく。
シャオミより
という紙がセロテープで貼ってあった。
子供は顔が赤くなる。黒幕がこんなに簡単に捕まって、チョコを渡されて、子供扱いされて。
「子供だから、黒幕じゃないとは思わないけど、今回の事件について説明してくれないか。」
「断る!捕虜としての扱いを求める。」
「チョコ食ったじゃん。もらいっぱなしは倫理的なのか?」
「うっ・・」
沈黙の時間が流れた。
「君を捕まえて、この騒乱が終わればいいんだけど、できれば子供に拷問もしたくないし。」
そういいながら、食べかけのチョコを取り上げた。
「お、おい。子供からチョコを取り上げるなんて倫理的じゃないだろう。」
「2枚目はあげるとは言ってないからな。知ってることをまずは話せば、3枚目だってあげるよ。」
日創は見ていることしかできなかった。
自分の部隊にお菓子があるかとか、おもちゃがあるかを考えている。
また、捕虜のテムーレンにこの子供を知ってるか聞いたが、見たことはないと言っていた。
黒幕であれば一般兵は知らないか。
「質問によっては答えてやらんでもない、ただ仲間を売るわけにはいかん。」
なにが知りたいのだろう。フランと相談すべきか。
今の目的はイグドラシルへの違法接続の破壊
この事件の黒幕が違法接続のエンジニアとも限らない
この大連の状況の解決方法を聞くのは?でもそれは自分の仕事ではないか
そもそも、自分の仕事は雑賀故我の退治だから、そちらを聞くか
まぁ、全部聞くか。どうせ答えられないことは答えないだ。
「①イグドラシルへの違法接続の方法は?だれが考えた。
②この大連の状況を騒乱を解決するにはどうしたらいい?
③仲間に雑賀故我はまだいるのか?」
子供は回答する。
「①イグドラシルへの違法接続などしていない。
②大連の状況解決が騒乱の鎮圧であればもう少しで終わるから放置すると良い、ナハトは無駄に戦場を広げていないはずだ。
③言えない。」
わりと誠実な回答だった、それほどチョコが欲しいのか。
日創が横から割り込む。
「④だ。貴様らの達成目標を言え、何が狙いだ。」
「なんだ、そんなことか。」
目配せをすると、キョウジがチョコを渡した。
「仲間と私は別の目的で動いている。すでに通信がされたと思うがナハトの目的は言う通りだ。誠実なもんさ。」
「他の仲間の目的は?」
「さきほど言ったように仲間は売れないよ。」
キョウジの質問の①から③は一応、彼の仲間に関する情報は避けて質問していた、
フランがその会話に割り込んできた。
「仲間じゃなければいいのね、⑤あなたの出身地は?」
なんだそんなことか。と子供は言い、空を指差す。
「ユニットワンの神宮だ。」
「神宮?親は?」
「それもユニットワンだ、または槇島博士。」
槇島博士といえば、イグドラシルシステムを構築した博士の名前である。
しかし、とうの昔に亡くなっている。
「⑦あなたの今の回答に嘘は?」
「ない。与えてもいい情報には回答している、嘘はバレるから、そもそも回答しない。」
キョウジはもう一枚、チョコレートを出そうとした。
しかし、それにフランは異を呈した。
「だめです、チョコレートは甘いんです。子供にそんなに食べさせたら虫歯になります。それに子供を物で吊りすぎると碌な大人になりませんよ。」
フランはこのように止めたが、キョウジは得れる情報を全て取れたという意味だと解釈した。
ここから先は三谷が来てからかな。尋問や謎解きは自分の仕事ではない。
しかし、雑賀故我については、答えないということはまだ雑賀故我が仲間にいるということと理解した。
日創はまだ聞きたいことがありそうで、おい、まだ終わっていないぞ。と言おうとしたそのとき、近くで戦闘が始まった。
華山道士連と黒いマシーンの戦闘である。




