第27話 奇妙?エリルが手にしたその本は その1
エリルが行方不明になって早数十分が経ち、俺とミストは広大な図書館の建物中を捜し回った。…けれど彼女の姿は見当たらない。タイミング悪く彼女も移動しているのだろう。
デパートとかで子供が迷子になった時の両親の気持ちが良くわかる…。そしてあちらの世界であれば、迷子の子供を知らせる放送なんかを流してくれるのだが、こっちの世界ではそうもいかない。自力で探す他ないのだ。
俺は別の場所を捜していたミストと合流し、頭を抱える。
「2人で図書館中を捜し回って、もう捜していないところはないはずだ。…あとは」
俺は語尾を弱めると、窓越しに広大な庭園を眺める。…いや、あっちも捜索範囲?
ミストはハァーとため息をつき、困り顔を浮かべる。
「困った子ね。結局、本を探す時間よりもあの子を捜す時間の方が多くなっちゃった。花の香りに誘われて庭園にでも繰り出したのかな」
「ミツバチじゃあるまいし…」
そうだとしたらとんでもない気分屋だが…、エリルならあり得そうだから怖い。
「あっ!2人とも見つけました!」
そこに、不意に背後からエリルの声が!俺とミストはすぐさま振り向く。
「「エリル!」」
ハモらせるくらい同じタイミングで俺とミストは彼女の名を呼ぶ。エリルは何やら一冊の黒っぽい本を抱えていた。
「見つかってよかった…。急にいなくなったから心配したよ…」
「すみません。私もいつの間にかおかしなところに行っちゃったみたいで…」
「おかしなところ…?」
俺は彼女の発言に疑問符を浮かべる。おかしなところって…?何か秘密の場所でもあるのか?
「それよりエリル。その本は?」
ミストはエリルが抱えている本が気になったようで指差して尋ねる。
「あ…、これですか?えっと…魔物に関することが載っている本だそうです…」
「エリルが見つけ出したんじゃないの?」
“だそう”というところが気になったミストは問いかけを続ける。どうやらエリルもすんなりと答えられることじゃないようだ。
「この本はクレアって方から貰いました。…それ以上のことは、よくわかりません…」
エリルも困り顔だ。俺もミストも納得したとは言い難いが、ここはそういうもんだと思うしかないのだろう。
「まぁとりあえず、目的の本は手に入ったんだし、ようやく先に進めそうだな」
立ち止まっていても仕方がない。謎は今すぐ解決しなきゃならないわけじゃないし、追々わかるだろう。
…ところで、気になることが一つだけあった。
「図書館だから…本を借りるんだよな…。その本って借りれんの?」
「………どうなんでしょう」
この世界の図書館にも禁帯出とかあるのかな…?普通に探したわけでもないこの本の扱いが良くわからん…。特にラベルも貼ってない感じだし。
「クレアって人から貰ったんでしょ?じゃあその本はこの図書館のモノじゃないかも。このまま持ってっちゃえば?」
確かに一理あるが……良いのか?
「そうですね!魔物について調べようなんてコアな人いないですし、持ってっちゃいましょう!」
エリルがよく考えるといろいろおかしいと気づく発言をするが、まぁいいか。それじゃ、魔物の謎を解明してみるか。




