復帰
遅くなりました。少し更新が遅くなります。
「おい!こっち持て!」
「段取り逆だろうが!」
「そろそろ材料注文しとけよ!」
今日も現場では荒っぽい声が飛び交っていた。
「グラン!お前はほどほどにしとけ!」
「大丈夫ですよ!早く鈍った身体戻さないといけませんから!」
「やかましい!言われた通りにしとけ!」
「わかりましたよ。」
今日から復帰したグランとマルスがいつも通りのやり取りをしていた。
「よぉし!休憩だ!お前ら!」
「うっす!」
マルスの号令で作業をしていた人々が次々と作業を中断し暫しの休憩を取り始めた。
「ふう。」
「どうだグラン?久々の現場は?」
一息ついたグランに同期のガマが話しかけてきた。
「なんかすごい久しぶりな気がするよ。(実際は2か月なんだろうけどなんせ18年近く精神世界で過ごしたからな。)」
「ほとんど意識なかったんだから一瞬じゃないのか?」
「長い夢を見てた感じかな?」
「夢ね。呑気なもんだぜ。こっちは事故の後大変だったんだからな!」
「迷惑かけたよ。起きてからはこっちがどうなってるか全くわからなかったからな。」
「こっち?」
「あ、いや仕事とか生活とかの事だよ!(あぶねぇ!口止めされてるのにうっかり喋る所だった!)」
グランは冷や汗を流しながら意識が戻る直前の事を思いだしていた。
「そろそろ戻るのか。長かったな。」
「何言ってるのよ。今からが本番でしょうが!」
「そうだったな。」
「ホンマ頼むでなぁ、グラン。」
泉川がやれやれと言った感じでグランの肩に手を置く。
「わかってるって!向こうはどうなってるんだろうな?」
「あと数刻もすれば分かる事だろう。」
重久が素振りをしながらグランに答える。
「まぁ、そうなんだけどな。そうだ!戻ったら皆に向こうの仲間を紹介するよ!」
「グラン。そのことについてだけど、少しいいかしら?」
「ん?どうしたんだ、アマン?」
「出来れば私たちの事は内緒にして欲しいの。」
「何でや?良いやないか。俺も今の内から知り合いとか作っときたいんやけどな。」
「俺はどっちでもいいぞ。」
重久はともかく泉川は性格もあるのか早く現地に馴染みたいと思っているようだ。
「それは理由がちゃんとあるのよ。」
「理由?なんだそれ?」
「それをこれから話すわ。その理由は・・・」
「・・・ラン。グラン!」
「え?あぁ!」
「何をボーっとしてるんだ?やっぱり調子悪いのか?」
「そんな事ないよ。もう大丈夫だ。ちょっと考え事してたんだ。ガマまでマルスさんみたいな事言うなよな。」
「ならいいけどよ。けどお前、マルスさんにはちゃんとお礼言っとけよ?入院している間家賃払ってくれてたんだろ?」
「そうなんだよ。すごい助かった。危うく家財道具一式処分される所だったんだ。」
グランの住む地域は労働階級の人々が住む地域でグランの様な作業員から職人や冒険者、それに流れ者と言った者たちがよく部屋を借りていた。特に冒険者が一時の拠点とする事が多い。その職業柄もあって家賃は週払いの前払いの所が多い。特に冒険者は帰って来ない事も少なくなく、2週間も支払いを滞納すると家財道具一式を売られ部屋を強制的に追い出されるのだ。
「マルスさんはお前の事ずっと気にしてたからな。それと気になったってたんだが、入院費は大丈夫だったか?あそこ、腕は良いけどぼったくるだろ?」
「それは組合が面倒みてくれたよ。請求書見たときは卒倒するかと思ったけど、後で組合で聞いたら。組合が払ってくれるんだってよ。」
「そうか、なら後は身体を戻すだけだな!」
「・・・いや、実は一つ重要な事が残ってるんだ。」
グランは神妙な顔をして頭を抱えながらガマへ言った。
「な、なにがあるんだ?俺に出来る事なら協力する!言ってくれ!」
「実は・・・」
「実は!?」
張り詰めた空気が二人の間に漂う。
「ミリアに奢らないといけないんだ」。埋め合わせだそうだ。」
「「・・・」」
暫しの沈黙が流れた。風が木の葉を撫でる音が心地いい。
「この野郎!ふざけやがって!」
「悪かったよ!でも協力してくれんだろ?」
「あぁ!?何をさせようってんだ!」
「お前にも礼がしたいからミリアと一緒に今晩マルットさんの店に来てくれ!さぁ!そろそろ仕事に戻るぞ!」
「あ!待てよ!おい!ったく、あいつは!・・・まぁいいか、今日はあいつの金でたらふく飲ませてもらうとするか。」
そういってガマはグランの後を追い仕事に戻るのだった。
仕事が炎上してますのでしばらく更新ペースが落ちます。すいません。




