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95/145

その95

お代わり男は地球人でいうと

30代半ば、均整のとれた体型に

手入れの入った顔付き。

これに紫がかった外套を纏い、

内からのぞく黒い服には金と白の刺繍

が入り、質の良さを顕している。


普段は野良着の村ならば、男の異様

さに気がついただろう。

だが今日に限っては行事の為、

よそ行き用の服がほとんどだ。



「カゼ」は感じられないので、害意は

無さそうだ。しかし村の入り口は

取り巻き達が監視してる筈。

どうやったかは分からないが

その素性はすぐに知れた。


押し合いの騒ぎに村への最後のお勤め

(糞尿集め)を終えた7人の傭兵達が


「 総隊長?! 」


と叫んでいたらしい。

(ガーディアンが教えてくれた)

男の方も彼らに気付き、この場から

離れていった。


「フゥゥ 」と安堵するも

まずは手前の仕事を片付けてしまおう

彼ら一団を気にするのは後だ。


30分後


村人に配り終わり、火を片付けた後の焼き鳥を自前の大皿に載せ、

教会の中へと入る。


礼拝堂には取り巻き達や7人の傭兵、

前村長とその家族がおり、

此方が来るまで茹でた芋や花酒には

手を着けずにいたようだ。


ガーディアンを伝い、

「 どうぞ始めて下さい 」

と声掛けをしたが、皆動かない。

「んん? 」と思っていると

傭兵の1人が

「その、少しよろしいでしょうか?」


と連れて行かれたのが教会の横、

そこにはセムジュやスール氏、そして

先程の総隊長がいた。


近づくと、皆で世間話と言うよりも

隊長が1人、捲し立ている様にみえる

途中で足を止めるも、視界に入ったのか、隊長がこちらに詰め寄る。


「何故大金を積んでも、意として首を

振らんのだ

商人にとって金は信用なんだろう!

お前もスール氏も商人だ、

これ以上の信用は有るまい。


この論理が間違いなら、世に商いは

成立しない筈。

それでも異論があるなら

無学なオレに分かるよう、ようよう

説明してくれ! 」


無学とは思っていないだろうが、

そんな隊長からの問に対し、

反論し易く安堵した。只、

上手く伝わるかは別として

気を引き締めていこう。


「隊長の言う通り、私達は商人です

しかし商人である前に「1人の人間」

であります。


例えばの話ですが、

傭兵団の1人が誰かから恨みを買っ

たとします。

その誰かから仲間を切れという

大金の依頼がきました。


隊長は訳も聞かず、善悪を確認せず

に仲間を切りますか?

出来ないでしょう。では何故か?


それは「金は信用」ではなく、

「信頼の対価が金」であるのです。

物を買う際、人は品質を信用して

お金を払うのです。

それが違えれると商人は信用を失くし

次から買って貰えなくなるでしょう


それは団でも同じではないですか?

隊長が理由もなく仲間を切る。

そうならない信頼があるからこそ

仲間は命を預けられる。

それに対し、団は給金を払う。


どうです?説明になりませんか? 」


隊長は腕を組み、項垂れながらも

頷いていた。

「確かに、お互い見ず知らずの

間柄では、

金を積まれても怖いだけですな。

いや、納得いきました。


自分の不甲斐なさもありますが

スール氏からでは、上手く諭して

貰えなかったもので。 」


「人それぞれ得意分野と言うものが

あります。個性ともいいますが

私は話す方が、彼は人との取引が

得意なのでしょう 」


隊長が納得したのか踵を返し、

スール氏の方へ戻っていった。


それを見送っていると視界に入って

きたのは、案内したさっきの傭兵だ。

ソワソワしているのを見て


「 アッ 」と気付く。

急いで教会に戻るもやはり「お預け」

のままだった。


「は、始めて下さい 」と言ったが

今日一番の冷たい視線を受け、

自分も「まだまだ」だなと悔やんだ。

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