その92
お盆最終の日曜日
30分以内に来いと言われ、
何とか時間内に到着。
顔パスされ、案内されたのは
「商品受渡し倉庫」
本来は客がトラック等、搬送車で
乗り付けて、受け取りをする場所だ。
そこへ近付くと、トラックが一台と
作業着の数人がおり、あとは依頼した「物置小屋」があった。
只の物置でならホームセンターので
充分だが、村の入口の見張りや
輸送時の荒天の退避、或いは休憩場所を
兼ねるので、改造をお願いした。
前におばちゃんに尋ねたことがあった
1年を通して、天気や温度はどんな
ものか、その結果が
村には雪が降らず(雨季はある)、
珠の嵐がある位で、季節で例えれば
夏:6割 春秋:4割 らしい。
又、雨季を除けば寒くはないそうだ。
であれば、ソーラー発電には持って
こいだが、嵐対策が必要に。
そして暑さ対策もだなと「うっちー」
に要望したのは一週間前。
忙しいのもあるが、お盆を満喫する為
会長に丸投げしたなこりゃ。
そうたかを括っていると
作業着の1人が説明してくれた
「ここに居るのは現場で働くのが趣味
という会長と息のあった者達で、
生産ラインに影響しないよう、
社のお盆休みを期限とし、
色々と好き勝手しました。
あと実益を含みますがね 」とのこと
仕様や注意点等を伺っていると
奥で休んでいた会長が飛んできた。
「自慢しながら話そうと思ったが
なんじゃい、聞いてしもうたか。
本当に30分で来るとは。
お前の有希子に対する苦手さが
ようわかったわ 」
会長だって娘のことが「苦手」だと
言っていたのに。
そうとは言えず、「ハア」とごまかす
「手を出せ」と言われ、「無理無理」
と断れば、
「なっ、何を考えとるんじゃアホが、
手じゃ、手 」
で我に返り、DVDを受け取る。
「向こうの言葉は分からんから
イチから物置を建てる様を録って
おいた。
後は通訳を入れるなり役立ててくれ」
「会長~ 」と感極まったところで
渡された紙。
「今回の請求書じゃ。倉庫までの
運搬費も含んどる。
お盆料金はサービスしてあるぞ 」
すぐ現実に引き戻された感じだ。
イエ、分かってます、払いますよと
2人の茶番をよそに、作業着の人達は
物置をトラックで搬送する為、
解体を始めていた。
解体が終わり、皆が一段落していた時
DVDで思い出し、デジカメで撮った
向こうの世界を披露する。
カメラの映像にはガーディアンが
空撮した山中や木々の画像もあり、
植生や景色が日本でないことが伺えた
物置を建てる予定地や仮設店舗の場所
の映像はもとより、
会長達が興奮したのは
「廃街道とスクーター」の1枚。
自分達の粋を結集して出来た物が
どうなったか気になっていたんだろう
「もっと詳しく頼む」とせっつかれ
あれよあれよと皆で昼飯を食うことに
会長の
「牛丼はナシで」が爆笑を誘った。




