その91
翌朝
遣いを託されたガーディアンが空を
飛ぶ。
目的の1つは返答の書簡を石塔に
運ぶこと。
もう1つは....
サンザから最寄りの小さな町
「コンタン」
主な産業は木材加工で、業者を含め
多いときは1500人以上はいたが、
今は廃れ、800人を割る。
町がそうでも教会は残っていた。
中年の男が急ぎ、教会の裏手にある
薬草園に報せを持ってきた。
「助祭様、その、...例の、...」
園の傍ら、しゃがんで雑草を抜く女が
手を止める。
「そろそろだとは思っていましたが、
今日とは。
従者殿、控え室にお通し下さい 」
顔の汗を袖で拭い、女は教会に戻って
いった。
............................
身なりを整え、控え室に向かえば
これで4度目となる、
黒いガーディアンだった。
初見の時よりは馴れたものの、
やはり緊張感が漂っている。
勇気を出して語ろうとする前に
「サンザより半月分の手数料を
持ってきた。
書面の取引と金額を確認してから、
捺印を求める。
それが済めば、ポーションを5本
売って欲しい 」
と先出しされた。
頷き、まずは台の上の金を数える。
銀貨7枚、銀端5枚、雑貨少々と
いったところか。
いや、金貨以上の取引でないと
こんな額には届かないはず。
貧しい村の筈なのに、一体何なの?
書面をみても「農具新調」としか
書かれておらず、訳が分からない。
初めての手数料は銀端数枚だったが
2ヶ月でその6倍以上とは。
ますます怪しい。
そういえば、あの村に上位の傭兵団が
関わっていたが、その結果も
分からずじまい。
そのお陰と云うわけでないが、
久しく大多数の逗留費が、
従者の宿屋兼食堂に入り、
又、戻りの際にはポーションの
大量購入があった。
あの村には何かある。
そう考え込もうとした矢先、ズイっと
ガーディアンの顔が目の前に。
「捺印をお願いします 」
「は、はい、ただいま」と
ポーションまで手渡した頃には
緊張の糸が切れ、
考え込むのも止めてしまった。
フウ、疲れた。
............................
ガーディアンに諸事を託し、
日が変わるとともにドアを伝い、
諸島から貸倉庫へ自宅へと帰って
行った。
目覚ましを掛けず、久々の惰眠を
貪れば「ウチダ」の会長さんから
メールが来ていた。
目を通し、「明日行きます 」と
レスしたら、速攻で着信音が鳴る。
「コラ、メールしてから
いつまで待たせるつもりだ。
さっさと来んかい。
嫌っちゅうなら、お前の苦手な
有希子に迎えに行かすぞ 」
「ブゥー」
さらっとした物言いに悪意を感じ
流石に吹き出した。
「ハイハイ、今行きますよ 」
と返すのがやっとであった。




