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90/145

その90

人が幸せを感じる時


その一つが

「自分が持っていて、他人が持って

いない時の優越感 」


キリストや阿弥陀様など

聖人君子でない限り、あり得ること


こちらの世界に来た時、自分にも

それは感じられた。

しかし、それ以上に身の危険があり

身体能力の差が我に帰るきっかけと

なった。


そう回顧するのはおばちゃんの

演説を聞いた後、年配者が高揚に

沸き立っていたからだ。


その傍らに、両手を地につけ

項垂れる女性が1人。


「これは夢か。誰も支持しないとは。

か、考えられん 」


誰が「村長」に相応しいか。

その結果が100:0でおばちゃんに

(村人百人いないけど)


-------------------------------


収穫物の適切な買取りや

「醤油」があったとはいえ、

年配の方々は燻しがっていた。


そんな中、「ジョウロ」を畑に持って

おばちゃんが演説する。


「これは新しい農具「ジョウロ」じゃ

これがあれば若いもんに頼らずとも

「水やり」が1人で出来る。

しかも効率良く手軽にだ。


これは他の村にもない新しい物じゃ

皆の分はすぐには揃わんが、

ワシが先払いして、

近々商人が仕入れてくれることに

なっとる。

其までは回しながら使って

使い方を練習しておくんじゃ 」


それを聞いた年配者は歓喜し、

「ジーク、ジオ○!! 」

みたいな賛辞を送っていた。


精々8割の方から賛同を得られると

ふんでいたが、

まさかこのタイミングでの演説。

旧来の柄杓様式には戻れまい。


そしてとどめの一撃が残留する

取り巻き達の一言、


「ご母堂には感謝しておりますが、

此のままの強さにおいては

我らは役に立ちません。

更なる強者に教えを請い、

村の安寧に務める所存です 」


強者=セムジュ=商人=おばちゃん側

という構図。


もはや反論する意欲もなく、

項垂れるどころか大泣きする事態に。

屋敷の前であったので、

現村長である息子に支えられ、

静かに帰って行った。

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