その87
「ヤスオ、係官がお呼びじゃ 」
待避すること1時間、
控室におばちゃんが顔を出す。
どうやら徴税が終わったらしい。
そりゃ諦めきれんだろう、
というのは待避したこの間に
持ち込んだリンゴ
青森産「つがる」3Lサイズ300円
をガーディアンに尋ねたら
「銀貨3枚~5枚、又は銀板1枚程」
いい物を持ってきたつもりだが、
それが6千円~2万円。
これにはドン引きした。
歓待を含めての思い付きだったが
まさか、そこまでとは。
他の果物は恐ろしくて聞けない。
「 佐藤君 」の渋滞のお陰で何とか
踏みとどまれた。 ナイス佐藤君
しかし、果物がこれ程の価値を
生み出す要因が害獣被害。
セムジュによると
数種類の内、最も危険なのは
タウンエ○スを上回る大きさもある
「 黒い牛? 」らしい。
それが集団で暴れまくれる様は
地獄絵図だという。
退治して「 牛肉? 」を得ようにも
割が合わんだろうな。コレは。
などと雑談を含め、
待避した間に対応を模索していた。
セムジュの捕捉を足し、修正して、
漸く道筋が出来た。
呼び出しに腰を上げる。
「この時間で頭も覚めただろう。
露店商人などと、あやふやな渡りを
するより、
国に仕え、安定した収入を得る方が
最善と判断出来るのでないか?
王都には、村では味わえない
よい生活が待っているぞ。
さあ、共にまいろう。 」
ふう、押せ押せで語りかけてくる。
悪い人ではないだろうが、
自身の出世に利用しようとの考えが
透けて見える。
こちらも意を決し
「お時間を頂き、目も冴えました。
ですが、係官のご期待には
沿えません。
それには3つの理由がございます」
係官の顔が歪むが話しを続ける
「1つは収入に関してです。
国に仕えれば、確かに安定した給金
を得られるのでしょう。
唯これ以上の給金、出せますか?」
合図を送ると鞄の中身、複数の金板を
係官にみせつけた。
小声で「む、無理だ 」と言ってるが
聞こえないフリして続ける
「2つめですが、私が国に仕えれば
祖国への往来に支障をきたし、
取引が出来なくなります。
そうなればこの国に仕えれる意味
がなくなるのでは? 」
「3つめは「教会従者」を辞める
ことです。
私は見た通り異国出身でして、
言葉を喋れず、ガーディアンに
通訳をお願いしています。
教会を去れば加護を得られず、
意思疎通が困難になります。
以上が理由となりますが、
それでも勧誘なさいますか? 」
宝石を外し、
話せないフリをする前に、
係官は立っていられず、
ドタっと座り込んでしまった。




