その86
「ほほぉ、そなたが商人か?
確かに異国の者だな。
いやはやあの薬は助かったぞ 」
朝早くの訪問では失礼だと思い、
先にセムジュと
「持ち込んだ農具を見てもらう場」
を設けようとした最中、
男から声をかけられた。
地球人でいえば40代前半、
農作業にはむかない服を着て
後ろには護衛?が2人。
どうやら目当ての人物がやって来た。
だが、ん?薬は「ポカ○」のことか?
顔を上げるとセムジュが頷いた。
「これは失礼致しました。
初めまして、私は「教会従者」で
サンザ村と交易をしております
商人のヤスオと申します。
徴税係官とお見受けしましたが
相違はございませんか? 」
名乗りは受けなかったので、
しばらく様子を伺おうとしていたが、
すぐに地が出たようだ。
「異国人の割に礼儀を知るようだな。
ふむ、そなたの言うように
村には徴税するために来ておる。
はん、そうでなければこんな田舎、
来るわけなかろうが。
第一に宿もなく、駅舎もない、
公衆トイレもないし、
メシは... そうだ、思い出した、
昨夜の果樹の実、
村の者に聞いたが、皆知らぬと言う
あれはどこで手に入れた? 」
上から目線のもの言いが、急に怒気を
込めた感じになる。
論点を躱したいが、さて、どうするか
「係官の見た通り、異国人である
私の国から取り寄せました。
これらを交易し、村の再建に... 」
「そんなことはしなくてよい 」
急に割ってきた。
ぐいぐいとにじり寄る感じが
先程より高い。 何だ?
「は? いや、しかし? 」
「交易は直接わが国とすべきだ。
こんな村では勿体なさすぎる。
「教会従者」も辞め、この国直轄の
物流官になれ 」
セムジュがいるから手荒な事は
してこなかったが、
言葉はガンガン言ってくる。
これは躱し切れないな。
ストレートに断るか。と思っていたら
「こんな村で悪かったの。
それでも改善はしてきておる。
現に係官よ、前に来た時「村の中」
でもむせておったじゃろ。
今回、畑ではあったが、「村の中」
ではしておらんじゃろ。
それと商人の意はこの村と言って
くれた。
それを受けてわしが立ったんじゃ。
横やりは止めてもらえるかの 」
おばちゃんが「ドン」と胸張って
そう述べると、
係官の気勢が下がった気がする。
あり、「どうしてここへ? 」と
思ったら、
教会前の広間で徴税が行われるらしい
みれば奥に数人はいたが、
係官の気勢で近付けなかったようだ。
「は、話しはまだ終わってないぞ
私は諦めていない。
徴税が済めば、改めて物流官への
話しをするぞ 」
ええー面倒臭いな、と思っていたら
おばちゃんが手で
「行け、行け 」とするので
教会の中へ待避した。 はあ。




