その76
セムジュが先方に渡りを付け、
降りやすい場所を確保して待つが
なかなか来ない。
腰に手をあて15分、漸く姿が見えて
きた。
そう、自分はやらかしました。
あ、ズボンじゃないです。
出発して5分、
「カゼ」なのか空気抵抗なのか
わからぬまま飛んでいると、
焦りと恐怖から出た振動がグリップの枝を割り「ヤバイ」と危険を感じて
地上に降りた。
紐をほどき、「キ」の状態を諦める。
そこでパッと浮かんだのは
ヘリの救助シーンだ。
紐の端を輪っかにし、足に掛けて
飛ぶ構想だが、
いざやってみると空気抵抗で身体が
回転し、エチケット袋が必要な事態に
もう一度地上に降りて再考する。
次に浮かんだのは「アルプスの○女」
の空中ブランコ?だ。
輪っかの部分に別の紐を縛り付け、
それらしくしたのが正解だった。
飛んでしばらく、恐怖もあったが、
何とかセムジュを見つけられた。
ズボンの無事?も確認し、
案内を伴って進むと、テーブルと椅子のある場所に。
コチラが見えたのか、馬車から人が
出てきた。「参謀」さんと護衛か?
1人が前に出て一礼してくる。
こちらも会釈し、テーブルに向かう。
「不躾な呼び出しに応じて貰い、
感謝しております。
事態を急くとのことで、本題に入り
ますが、これにご存知ありますか」
渡されたのは、走り書きしてある紙だ
読めないのでセムジュに渡す。
文章になっていないが、纏めると
「有能な商人がサンザに埋没する 」
と書いてあるらしい。が、
それを聞いて納得した。
簡単に居場所が割れた理由がだ。
有能とある商人がこんなヘマをする
はずがない。
憶測だが、この衝突も仕組まれたと
いうことか。
自分の価値をアピールし、守ってくれ
るかを観る為に。
ハア、
自分を売り込むとはこう言うコトかと
半ば感心し、呆れもした。
「こちらには憶えのない物です 」と答弁すると、表情を変えず、
「やはりそうでしたか 」と返ってきた。
あちらも察しているようだな。
ならばと方向転換し、「参謀」さんに
お願いしてみる。
「本当に宜しいのですか? 」に頷く
それから色々摘めて云ったが、
「最後にお尋ねします。
我々が用いた最終手段。あれを
どのようにして入手されましたか」
やはり聞いてきたか。
向こうはこれが本題だったろうな。
正直に答えるべきか、
腕を組んで悩んだ。




