その72
セムジュが話しかけているが、
接触してくることはなく、
斥候らしき人物は警戒を続けている。
今は「カゼ」を感じられない。
本隊は遠く、罠等に警戒しながら、
少しずつ進んでいるのだろう。
向こうもそうだろうが、お互い
何もしない時間が正直キツイ。
日は段々と明るくなり、暑さも増してきた。
争いを知らない者が、こんなとこで
消耗してはいられない。
なればと、虫避けスプレーをして
木の影に腰を下ろす。
徹夜&仕事明けが重なった身は、座ることで緊張が緩み、眠くなってくる。
そう段々と、段々と...
zzz......
zzz...
「来マシタヨ 」
「ハッ、...」自分の護衛に、隠れていたガーディアンが声をかけてきた。
頭が半分位覚め、セムジュの方を
視認する。その頭上には別の
ガーディアンが待機していた。
セムジュは革製の鎧?に身を包んだ
10人、その中のリーダー格に
対話をしていた。
あちらにも別動隊がいるのだろう、
斥候はそのまま警戒を続けている。
想定される質問に、50以上の返しを
準備した。
落とし処として、
クリートムの司祭が、スール氏の意志
を問わずに連れ戻そうとするなら
それは教会の本意ではない。
教庁に報せれば、この依頼は反故
されるから、達成できなくてもよい。
前金は「そのまま」と口添えする。
問題は成功報酬の部分だろうな、
前金と差があるなら決裂するかも。
そうならなきゃいいんだが....
しばらくしてセムジュが「お手上げ」
をオレにしてきた。
目の前の壮年1人とひ弱な男、それに
ガーディアン1体を寄せ付けねば
達成出来ると踏んだのだろうな。
隠れていた後衛が、木々の隙間から
「ヒュー、ヒュー 」と時間と射軸を
ずらして、数本の矢を放つ。
セムジュは回避し、死角の矢も振り返らずに止めてみせた。
革鎧の10人に緊張が走る。
怪我を負わせ、通り抜けるつもりが
失敗したのだ。
槍を持つ2人が即座に対処するも、
間に合わず、1人、また1人と地に転がされる。
後衛も慌てたのか、隠れることを捨て
速射を試みるも、悉く不発におわる。
リーダー格が下がった処で「カゼ」を感じる、右からだ。
上空のガーディアンに右を示す。
左側の射手達が先端に包みを付け、
セムジュに向かって放たれた。
こちらも手を振り下ろすと、右射手の
手前に紙袋が投げ落とされた。
5キロ×2袋だが、辺り充分に拡がり、
火矢を待機していた射手達に、
引火し、爆風が起きる。
視界が回復すると、こちらを伺う
リーダー格に手をかざす。
ブラフだったが、思わせ振りに成功し
退散してくれた。
残ったのは、転がっている前衛5人と
爆風で負傷した射手2人だ。
こちらは怪我なく切り抜けた。
あとは話を詰めるとしよう。
最初は詳しく、「セムジュ無双」を
書いてましたが、
ほのぼの系なので、ほとんど割愛
しました。
バトル展開を期待してたら
申し訳ないです。




